編プロと出版社の間から見えてくること
CS出版で代表を務めます藪内健史と申します。
CS出版は、書籍制作・エディトリアルデザインをメイン業務としている株式会社クリエイティブ・スイートがつくった版元レーベルです。
2022年に設立し、現時点で2冊の本を出版しました。
出版社にとって一番の会社紹介とは、つくった本そのものです。
とりあえず宣伝をかねてご紹介。
『おとなも子どもも夢中になれる! 魔法の計算あそび』 単行本 – 2022/11/18
杉之原眞貴 (著)
『テストで使える! 「19×999…(むげん)」魔法の暗算ドリル 』単行本 – 2023/12/12
杉之原眞貴 (著)
CS出版は出版社としては2冊出しただけの、新参者です。
が、CS出版の母体となる株式会社クリエイティブ・スイートは来年で設立20年になります。
宝島社、PHP研究所、Gakken、KADOKAWA、池田書店、理論社、山川出版などなど、常時十社ほどとお取引させていただき、月2冊程度で単行本やムックを制作しています。年25冊として、これまで500冊は制作してきたことになります。
社長であり創業者である藪内はこの会社をつくる前から、10年間東京で編プロに在籍しており、集英社や講談社とお付き合いをさせていただいていました。
「そうそうたる出版社さまとお付き合しているので、俺は偉いんだぞ」とアピールしているのではなく、要は、日本の出版界の最前線はどういう感じかを、実体験で見聞きしているということだけを、お伝えしています。編プロというのは、基本的に大手出版社を相手にすることが多いものです。そこで、大手出版社の編集のいわば代行をすることになるので、一流編集者しか持っていない人脈に、裏口から入ることにもなるのです。
そういう立ち位置で本を制作してきて、数十年もやっていると、要は出版という仕事の裏も表も(ときに出版社以上に過酷な環境で)知ることになるので、出版社をつくったといっても、新参者が抱くフレッシュな夢物語はもっていない、といえましょう。
いま、出版社をつくるとはどういうことか。
よほどの覚悟と高い志が必要になることでしょう。
でも、我々は始めました。高い志がなくて、今、出版で、ヒットを出せますでしょうか。読者に届く本をつくれましょうか。
ファッション業界には大手ブランドの商品制作を一手に引き受ける工場が、独自のファクトリーブランドを立ち上げて、大手と同じ品質の商品をリーズナブルな価格で提供している会社があります。われわれCS出版は、そんなファクトリーブランドのような存在を目指しています。
出版業界での、編プロの立ち位置とその現実、というものをご存じの方は、新しく出版業界に入られる人のなかにはあまり多くないと思います。長くこの業界にいる人は、この不思議な立ち位置にいる謎の存在を知っています。そして、その役割を知り、利用価値を知れば、非常に使える、とわかります(ただ使いこなすのに少々慣れが必要だと思いますが)。
ずっと編プロでやってきて、版元を始めてわかること。それは、逆に、編プロというものの価値です。そしてこの立ち位置のメリットです。一つだけをいうと、在庫がない、ということ。これがいかによかったか。
株式会社クリエイティブ・スイートはこれからも編プロ業務を続けます。本作りでお困りのことがございましたら、気軽にお声がけください。同時に、CS出版は良質な本をつくります。高いクオリティのものを安く。これはどの商売でも共通して目指すべきところだと思います。