版元ドットコムの2024年と2025年
版元ドットコムで理事を務めるスタイルノートの池田です。
あけましておめでとうございます。本年が佳き年となりますようお祈り申し上げます。
創設26年目を迎える版元ドットコムを本年もどうぞよろしくお願いいたします。
昨年は、62社の新規会員社と34名の会友の方々が新たに入会され、2024年末時点での会員社数は585社となりました。版元ドットコムのシステムも一新され(まだ進化は続いていますが)、一昔前からは考えられない規模感と役割を担っていると感じます。
昨年の版元ドットコムの最大のできごとといえば、やはり有限責任事業組合(LLP)から一般社団法人へと組織体系が変わったことだと思います。これにより、会員のみなさんにとって特別何かが変わるということはほとんどありませんが(銀行口座が変わったことくらいでしょうか)、版元ドットコムが行っている様々な事業への取り組みには大きな影響があると感じます。LLPは任意団体でしたが、一般社団法人はその名の通り法人格を持つので、株式会社などと同様に他の企業等との取引が以前よりもスムーズになります。現在取り組んでいる様々な施策もより幅広く発展していけると思います。
その他、進んでいる大きな事業としては、書店在庫情報プロジェクトと昨年終了してしまったSRC倉庫に代わる新たな倉庫プロジェクトがあります。
書店在庫情報プロジェクトは、すでに版元ドットコムサイトの書誌ページに設置されているのでご覧になった方も多いと思います。書誌ページの本が近隣の書店に在庫しているかどうかを表示するシステムです。トーハンや日販の協力も得て、また、くまざわ書店等からのリアル在庫情報の提供も受けて、実現に踏み出しました。現在はより多くの書店とリアル在庫情報の開示に向けて交渉中です。そのため表示されるのは一部の書店に限られますが、開示される書店の数は今後どんどんと増えていく予定です。また、この表示は各地の図書館サイトでも採用が増えています。現在貸し出し中、貸出の順番待ち中の書籍でも、「近隣のここの書店に行けば買えますよ」と教えてくれるというわけです。全国紙からの取材も受けるなど注目の機能です。(なお、書店在庫情報プロジェクトは、昨年末にJEPAアワードの「デジタル・インフラ」賞・大賞を受賞しました。)
SRC倉庫に代わる新たな倉庫プロジェクトとは、昨年3月まで版元ドットコム会員社の希望によって、丸善ジュンク堂書店の在庫倉庫に、自社の書籍の在庫を置くことができるシステム(SRC倉庫)に代わる倉庫在庫プロジェクトです。SRC倉庫では、会員社の希望により在庫を置けば、丸善ジュンク堂書店のオンラインショップの在庫表示が「在庫あり」に変わるという画期的な仕組みでした。しかし、残念ながら丸善ジュンク堂のオンラインショップの一時閉鎖にともなって、終了となってしまいました。そこでそれに代わる、新たな取り組みとして、現在、ネット書店で「在庫なし」「取扱不可」などとなっている表示を変えていける、新たな倉庫プロジェクトとして取り組んでいます。まだ、詳細は公開できませんが、今年の春頃には発表や試運転ができるのではないかと思います。楽しみにしていてください。
版元ドットコムの根幹と言ってもよい、版元ドットコム・サイト。ここも大きく進化しています。見た目の変化はあまりないかもしれませんが、様々な機能が追加されています。例えば、検索結果の本の横に「お気に入り」ボタンが設置されたことにお気づきでしょうか。書店や図書館の方が検索結果から選書したものを一時的に選んで、あとから選んだ本の一覧をダウンロードできるようになっています。また、データベースの再構築などにより、検索の速度なども大幅に改善されました。まだまだ進化中ですので、「こういう機能が欲しい」「ここの使い勝手を改善して欲しい」といった要望も、ぜひお寄せください。
昨年の版元ドットコムのリアルイベントとしては、1月18日人形町で、株式会社ブックセラーズ&カンパニー社長の宮城剛高さんに講師をお願いした新年会と、6月11日には神保町で、和氣正幸さんを講師とした会員集会がありました。どちらも大勢の方にご参加いただき、その後の懇親会も久しぶりの方々ともお目にかかれる楽しい時間となりました。また、初参加の方々は業界の様々な方と面識を得るチャンスともなったようです。今年も新年会を予定していますので、ぜひご参加ください。
また、版元ドットコムには地方の活動グループ(北海道、関西、九州)があります。そこでも、それぞれに集まりがあったり、販売促進の企画を実施したり、サイトを構築したりと独自の活動も行われています。
このように、一歩一歩進化している版元ドットコム。本年もその一歩にどうぞご注目ください。