縄文人に思いを馳せるツール「縄文ランドスケープ カレンダー2014」
そもそもが、ミュージアムショップやミュージアムグッズを流行らせたいと考えて作った雑誌「ミュゼ」があって、そこから出版社の体裁を整えていったという経緯の弊社ことアム・プロモーションである。さらに、私の恩師である小林達雄氏(國學院大學名誉教授)が大のミュージアムグッズ好きということもあって、実は出版をしながら、恩師の願望にいくらかでも応えようといろんなグッズの企画や制作もしてきた。ちなみに昨年は、MIHO MUSEUMで小林先生が監修した大々的な「土偶展」があったので、ポストカードやクリアファイルも作り、ショップで販売してもらった。(国宝の土偶が揃い踏みのクリアファイルは、ホームページからも買えます!)
ということで、前置きが長くなったが、その延長上にあるのが「縄文カレンダー」である。
今年で、4年目。小林先生が理事長をされているNPO法人ジョーモネスク・ジャパンが編集で、発行元が弊社。これまで、縄文土器、土偶をテーマにしてきたが、2014年は「縄文ランドスケープ」だ。遺跡調査の結果から想像できる、縄文人が見たであろう風景で構成されている。もっとも、三内丸山遺跡(青森市)、大湯環状列石、(鹿角市)キウス周堤墓群(千歳市)など、北海道・北東北の縄文遺跡群は世界遺産登録を推進している関係から、ぜひ活用してもらおうと意識的に多くなっているのだが…。
とはいえ、縄文ランドスケープという概念や研究が、土器や土偶に比べたらまだまだ新しいので一般にはなかなか見られない風景かもしれない。面白い構図の写真も多いので、改めて縄文の魅力を感じてもらえるのではないだろうか。とくに、秋山邦雄さん撮影の表紙写真は幻想的で、私は気に入っている。表紙に関しては、この4年のなかで一番かな。
また、謳い文句にはなっていないのだが、実はカレンダー欄には、英国の祝日が記載されている。かつて、大英博物館やセインズベリー日本藝術研究所で縄文土器展や土偶展があったことから、なぜか踏襲している。それにしても、それらその祝日の設定を見ると、銀行をはじめ多くのビジネスが休みになる「バンク・ホリデー」、クリスマスの翌日に雇い主から贈答箱を送られたことに由来する「ボクシング・デー」など、主に季節の移り変わりをもとにした日本のそれとの違いを感じた。縄文人のDNAが生きているんだろうな。
ときどき、「縄文カレンダー?土偶?縄文遺跡?」と驚異の目を向けられることもあるが、いたってまじめである。カレンダーという分野において、マイナーな存在であることは承知の上だが、カレンダーという1年間おつきあいするまたとないツールを通して、自然と共生していた縄文人の心や暮らしぶりに思いを馳せてほしいという願いは、大きい。