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本づくりは楽しいな!

 本を作っていると、さまざまな先生との出会いがあります。先生の一番いいエッセンスをいただき、それを本にしていきます。初校、再校、三校と手間ヒマをかけて本を完成させていくと、そのやりとりが先生との絆を深めます。さらに、時には、その本が媒介となって発展し、別の活動を派生したりします。人の繋がりが広がると、出版活動だけではなく、違う活動が生まれたりするのです。だから本づくりは楽しい。そんな一つを紹介したいと思います。

 2002年、三和書籍では「日中関係の管見と見証

張香山著鈴木英司訳を刊行しました。この本は日中国交正常化30周年を記念して出版することになった本です。出版にあたり私は北京に赴き、著者の張香山氏と会見をすることになりました。張香山氏は、1972年の日中国交正常化のテーブルに、毛沢東、周恩来とともに着いた人物で、中国通の人ならよく知っている有名人です。日本から中国へ首相などが行くと、まず初めに会うのがこの先生です。日本への留学経験もあり、プロレタリア文学の同人もしていた日本語の達人です。
 張香山氏との会見は、始め通訳を通しての対話となりました。日本からプレゼント用に持参した本の説明や、これから作る本の話など、さらに中国の状況を伺うと、張香山氏がいろいろと答えてくれました。時折、秘書から説明が付け加えられて、なるほど、中国の公式見解を間違いなく伝えるために秘書がいるのだということがわかりました。話が弾むと張香山氏は、通訳を通して話すことが面倒になったようで、途中から直接、日本語で対話するようになりました。「中国はいま、日本の田中角栄の列島改造を見習って、中国改造を進めているところなのですよ」とのことでした。さらに「中国で取材したいところがあれば、どこでもご案内しますよ」と言ってくれました。

*日中国交正常化の詳細については「中南海の100日 秘録・日中国交正常化と周恩来

 その言葉を受けて、三和書籍はNPO法人「北東アジア交流協会(Northeast Asia International Association)」を立ち上げることになりました。NPO法人の名称は張香山氏の所属団体「中国国際交流協会」との相談のうえ決定し、2005年に法人が立ち上がりました。

 以来、日中緑化交流基金の資金を得て、中国各地の砂漠地帯に行って植林活動をするようになりました。2016年までに、おおよそ1490ha、311万本を植林しています。当初の2、3年は植林に加えて小学校訪問も行い、文房具を寄付する活動もして、民間交流として楽しい時間を過ごすことができました。
 地域は内モンゴル「ダルトキ」「ドロンノール」、河北省「唐山」「長城区」、山西省「太原」、湖南省「湘陰」、吉林省「白城」、寧夏自治区「中寧」「呉中」、甘粛省「武威」などを訪問しています。地元のみなさまからは大歓迎を受け、着工式典にはテレビ取材も入るほどでした。

 日本全国に日中関連団体が50団体ほどあり、我々と同様に、日中緑化交流基金をもらって中国全土で植林活動しています。

 しかし、習近平政権になってからは、やや状況が変化して、我々の団体の役員の一人が中国当局によって拘束される事態になっています。2018年現在もまだ解放されていませんので、事は深刻です。

 さて、もう一つ、出版から派生した事業をご紹介します。2010年、「電子書籍元年」と言われた年です。弊社もこの動きに遅れまじと、ソフトバンククリエイティブ、主婦と生活社、C&R研究所、万来舎、西東社、分散型エネルギー新聞社を集めて、電子書籍の販売サイト「ブックパブ」を立ち上げました。出版社主導の電子書籍販売サイトは初めてのことで、多くの取材をいただきました。

 このサイトの特徴は、一般書・マンガは他のサイトにお任せして、実用書と専門書を中心に扱っていることです。サイトでは電子書籍も紙の本も買うことができます。さらに会員登録すると割引サービスが受けられる仕組みです。
 もう一つのサイトの売りは「料率」です。中小企業が多い出版社で電子書籍を作ることはリスクのあることです。実際にお金をかけて電子書籍を作っても、その制作費を賄うだけの売上を上げることは至難の技です。みなさんもご経験済みのことと思います。しかも取次に頼むと、なんと料率50%を言い渡されてしまいます。さらに割引販売です。30%引き、40%引きと際限なく値引き販売を強要されます。参加しなければ、売り上げなど見込めません。しかし、売れてもさほど嬉しくない金額となってしまいます。さらに印税処理も煩わしさに拍車をかけます。
 これではついていけない。出版社がきちんと利益を出さないと、次の本に結びつかないのは目に見えています。
 そこで「ブックパブ」では料率80%を実現しました。

 ご興味のある方はご連絡ください。
 どうぞよろしくお願いします。

三和書籍の本の一覧

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