テーラワーダ仏教とスペインサッカー
【スリランカの仏教】
サンガは「仏教」「瞑想」「マインドフルネス」に関する著作を数多く出版している。
なかでもアルボムッレ・スマナサーラ長老(スリランカ人僧侶)の著作が多い。
スリランカの仏教は、「上座部仏教」「初期仏教」「テーラワーダ仏教」などと呼ばれる。
テーラワーダ(Theravâda)のテーラ(thera)は「長老」、
ワーダ(vâda)は「教え」ということで、
テーラワーダを直訳すると「長老の教え」という意味だそうだ。
(日本テーラワーダ仏教協会さまHPより)
【サッカー好きのテーラワーダ仏教徒】
このような出版社に勤めていると、テーラワーダ仏教好きの方々と接する機会が多い。
ときどき著者の講演会のときお手伝いいただくボランティアスタッフHさんは、かなりのサッカー好きで、
「本田選手はかなり論理的だから、仏教やればかなり良いところまでいくんじゃないか」と言っていた(笑)。
先日まで開催されていたロシアワールドカップは、日本が大方の予想を良い意味で裏切り、ベスト16に進出し、大変盛り上がった。
中でも活躍したのが、2得点を決めた乾貴士選手だ。
彼が所属するのは、リーガエスパニョーラ(スペインリーグ)だ。
以前からテクニックに秀でた選手だとは思っていたが、今回のワールドカップでは守備の面でも凄く頑張る選手に変化していた。
スペインサッカーの練習と日本サッカーの練習の違いがニュースにあがっていた。
「驚いた」 元日本代表DFが経験談を告白、スペインと日本サッカーの“違い”とは?
(FOOTBALL ZONE webより)
答えているのは、鈴木大輔選手だ。
スペインは試合前にほとんど練習をしない。日本は試合本番前日もハードな練習をするらしい。
理由は、オンとオフの切り分け、そして「試合本番で力を発揮できなければ意味がない」
というのがスペイン側の練習方針なのだろう。
鈴木選手は、ロンドンオリンピックでも活躍した優秀なディフェンダーだ。彼がいるのは2部リーグ(2018年8月現在)で、1部は世界トップレベルの選手が集まるリーグだ。
【スペインサッカーと日本社会】
この記事を読んだとき、日本社会の縮図みたいだなと思った。
日本サッカーは、トップリーグである「J1」もよく練習するらしい。日本のサラリーマンは休日出勤も厭わず残業をし、とてもよく働く。
しかしながら世界トップクラスの経済大国からは、ゆるやかに下っている。
働き方も、高校生の部活動なども、仕事量、練習量中心で良いのだろうか? とときどき思うことがある。
何でもかんでも休みを増やせという意味ではない。
精神的にくたくたになるような状態で、よいパフォーマンスは出せないだろう。
「スポ根ではなく、科学的アプローチで成果を出す」
それがモダンな考えだろう、そう思うのだ。
【勝つのはどっちだ? 悟るのはどっちだ?】
職業柄ふと浮かんできたのが「テーラワーダ仏教」のアプローチである。
テーラワーダ仏教は、昨今流行っている「マインドフルネス」のルーツである
ヴィパッサナー瞑想(観察型の瞑想)を実践する。
これは「根性中心」ではなく、観察し自分の身体をじっくり観察し、変化に気づくアプローチだ。
猛進せず、一歩ずつ確かめる。
ふと2500年前にルーツをたどれば、ブッダ(お釈迦様)も、
最終的に苦行を捨て、観察型瞑想で「悟り」を開いた
と言われている。
観察型ではない「禅」などの瞑想をサマタ瞑想(集中型瞑想)と呼ぶ。
ヴィパッサナーとサマタが仏教瞑想の両輪だそうだ。
気づきのない集中はないし、集中力のない気づきもない。
先日、日本でテーラワーダ仏教の布教に励むアルボムッレ・スマナサーラ師と、
禅の教えをアップデートしながら世界を回る藤田一照(日本人僧侶)の
対談を発売した。
前衛的なお二人の対談は、あなたのライフスタイルに大きな刺激を与えることでしょう。
テーラワーダと禅