新潟の豪雪地帯から、世界のへ
今年は大雪のニュースが多いですね。
雪の中で1000台以上の車が何日も、電車が半日以上立ち往生とか。
あるまじろ書房、住所は東京・上野にありますが、その実態は新潟県十日町の福島という集落にあります。
今年は、道の両脇の雪の壁が3mを超えているところも見受けられます。
日本でも有数の豪雪地域です。
そんな集落に1軒だけあったお店のあとを譲り受け、編集作業をしています。
友人たちが心配して連絡をくれますが、よほどの吹雪の時でなければ、1日1mの降雪の日でも、集落・周辺の皆さんは、普通に生活しています。
以前は、東京で編集・出版をしていました。
ここへ編集部を移して、3年。この地でつくった本たちを紹介させてください。
地元に根ざした本づくりは、ちょっと先になります。
まずは、雪の里から世界に目をむけてつくった本たちです。
『だから(香港のアパートで) 犬は飼えないの! That’s Why You Can’t Have a Dog in Hong Kong:A Memoir』
香港在住の作家・リンゼイ美恵子(Mieko Lindsay)さんが、香港の新聞『香港ポスト』に連載していたものを日本で書籍化させていただくことになった本です。
英語版も一緒に掲載しています。なので、タイトルを英文字併記になっています。
単なる英訳ではなく、英語を母国語にしている方にも読んで楽しめるように、こちらも香港在住の作家、ココ・リクター(Coco Richter)さんが、英語文章に手を加えてくださっています。
香港の高層マンションで暮らす夫婦が、ゴールデンレトリーバーを飼うのですが、まあ、次から次にまきおこる事件・珍事の数々。リンゼイさんの実体験を克明に綴った、エッセイ集です。
犬を飼いたいと思っている人。犬を飼う楽しさと苦労を知っている人、犬を愛することを知っているすべての人に読んでもらいたい1冊です。
さて、もう1冊。絵本を紹介します。
『されどオオカミ』作・画 きむらゆういち
モンゴルのオオカミをテーマに、描いていただきました。
モンゴル人の祖先は、オオカミだという伝説があります。
オオカミは、モンゴル人にとって、とてもたいせつな存在です。
ですが、今、モンゴルでもオオカミを見ることはほとんどできないそうです。人前に軽々しく出てくるような動物でもないということもあるようですが、絶対数が減っているのです。
なぜ、オオカミは減ってしまっているのでしょう?
オオカミは、家畜を襲います。だからと言って、いないほうがいいのでしょうか?
そんなテーマに、きむらゆういち先生が、挑んでくださいました。
『あらしのよるに』をはじめとするオオカミのお話をたくさん書かれているきむら先生です。
構成&文として絵本をつくられることが多い、きむらゆういち先生ですが、『されどオオカミ』では、絵も描いてくださいました。
「あかちゃんのあそびえほん」シリーズの『いないいないばあ あそび』などのかわいい絵とはひと味違う、力強いタッチで描いてくださいました。
この本の始まりは、2012年秋。ある撮影現場で、大相撲でのモンゴル出身力士の活躍の話題が、いつしかモンゴルの国や自然や人々の話題へ広がり、「モンゴルの絵本をつくりたい。」と、手芸作家の寺西恵里子さんと編集者がつぶやいたときからでした。
その後、モンゴルへの強いつながりや思いを感じていた人々が、偶然につぎつぎと出会い、そのつぶやきが形になっていきました。
モンゴルには、日本ではまだ知られていないお話がいっぱいあります。自然とともに、上手に生きてきた人たちだから、日本人の知らない知恵も力もたくさん持っています。
「モンゴルの素晴らしさを日本の子どもたちに伝えたい。そして、モンゴルの子どもたちには、日本の絵本のすばらしさを伝えたい。」
そんな思いで、モンゴル絵本プロジェクトと名付けて活動を開始しました。
とはいえ、誰にどんな内容で描いてもらうのか? そこからの始まりです。
モンゴルといえば相撲もあるけど、オオカミも。
オオカミといえば、きむらゆういち先生。
寺西さんが、きむら先生との接点があるとのことで、ダメでもともとと、頼んでみることに。
なんと快諾。あたってみるものです。
きむら先生もモンゴルを訪れたばかりだったのです。
親子で考えながら読める絵本ができあがりました。
人と人とのつながりをたいせつに、これからも
雪国から、世界につながる本づくりをしていきたいと思っています。