紙芝居の本を出版しました。
紙芝居の出版を手がけながら、紙芝居の研究を続けてきました。それがやっと形になりました。国書刊行会から出版 していただくことになり、2016年7月に刊行することができました。タイトルは『教育紙芝居集成 高橋五山と「幼稚園紙芝居」』です。多くの方のご協力が得られ、良い本が出来上がったと思っています。探究する心を持ち続けていれば、資料は向こうからやってくる、と言いますが、本当にそうでした。偶然にも、五山の日記が見つかり、知られざる紙芝居の歴史について知ることができました。知人を探し当て、インタビューなどを積み上げて、9年目にして、カラー版の大型書にまとめることができました。こうして完成した本は、五山と全甲社の紙芝居史でもあります。五山のように絵、文、上演をこなし、自ら出版してきた人はいないため、後にも先にも類書が出ないというも、この本の売りです。
「幼稚園紙芝居シリーズ」全30作品の収録と解説を加え、全甲社の編集スタッフの紹介や絵本、漫画、アニメとの関わりについても触れています。川戸道昭先生、三浦祐之先生、米村佳樹先生からは論考を寄せていただきました。大村益夫先生には、お父様が全甲社の関係者だった、ということから、温かいお手紙やお言葉をいただきました。前橋の清心幼稚園(1895年創立)、杉並の井草幼稚園(1933年創立)、国書刊行会の永島さん、たくさんの方々にお世話になりました。2016年12月8日、毎日新聞の紙面にとりあげていただきました。出版文化を知る一冊として、多くの方に読んでいただけることを願っています。
画像は本のパンフレットです。
出版に至るまでには様々なドラマがあります。偶然、『図案からデザインへ 近代京都の図案教育』という本を手に取りました。この本には高橋五山の卒業制作「芍薬模様衝立図案」が掲載されていて、『教育紙芝居集成 高橋五山と「幼稚園紙芝居」』と同じころに、淡交社から出版されていました。
現在は仏教紙芝居の研究に取り組んでいます。それが形になったら、自分の出版を再開したいと考えているのですが、研究すればするほど、遠ざかってしまっている状態が続いています。何はともあれ、探究する心と情熱は持ち続けていようと思っています。
「東久留米紙芝居サークルいずみ10周年公演」で演じられた「紙芝居でめぐるアジアのお話」がとてもよかったので、上演作品を紹介したいと思います。
1、ラオスのお話 「いぼがえるとにわとり」(トンミー 作・絵)
2、チベットのお話「とらよりつよいカエルくん」(矢崎節夫 作 すがわらけいこ 絵)
3、インドのお話「けちんぼうのろしちょうじゃ」(高橋五山 作 輪島清隆 絵)
4、中国のお話「まほうのふで」(川崎大治 作 二俣英五郎 絵)
5、日本のお話「つるのおんがえし」(坪田譲治 作 中尾彰 絵)
6、モンゴルのお話「モンゴルの白い馬」(唯野元弘 作 降矢洋子 絵)
7、ベトナムのお話「のんびりぼうや」(ブイ・ドク・リェン 作・絵)