改訂版の悩み
いよいよ年度末、来週には新年度になります。取次さんもこちらも棚卸だし、採用品の季節でもあるし、なんとなくバタバタしております。
しかしやっぱり大きく動くものと言えば、ずばり「年度で入れ替わる本」でしょうか。まずは教科書から各種案内の学校もの? あと、試験もの? 改めて想像してみると、年度で切り替わる本って結構な範囲にまたがっているのではと思います。
さらに想像を広げると、税金絡みの本などは年度版と呼んではいても年度替わりに新しいのが出るとは限らないですね。個人の確定申告指南本なら、年末に出るんでしょうか。
とはいえ、法令の改正があって施行となるのはやっぱり4月。いろんなジャンルの本が法改正に伴って新しくなるんでしょうね。うちで関係しているのは介護保険法だけなのですけど、この4月に3年に1回の改正があります。
この3年に1回というのがミソでして、毎年ちょこまかとアップデートしなければならないような本なら、そのように部数やら何やら計画立てるのですが、3年に1回。
2年ほど前に作ったときは、著者と「改正のときは新しいのになるでしょうね~」などとのんびり話していました。まだ先の話、とりあえず作ったものを売って……と。
1年半くらい後に品薄になってきて、改正のとき改訂版作るんだから、ちょびっと増刷…と考えていたら、なんと著者が「この本に関係する改正はなさそうだけど、まだハッキリとは分からない」と。なら「ちょびっと=原価高くなる」でなくてバンっと刷る?
いや~、悩みました。このジャンルの本をいっぱい出している出版社にも相談しました。すると、「4月の施行時でなく、現場の混乱や疑問が政府側に伝わって、政府の見解が明らかになってきた6月頃でないと、本当に現場で役立つ改訂版は出せない」とのこと。うん、もちろん「現場で役立つ」本を出したいですよ。でも「この本に関係する改正がない」なら、改訂版もへったくれもないわけです。
以前、版元ドットコムのメーリングリストで、内容などがどのくらい変わると「別の本」として出せるか/出すべきかという話題が出たことがあります。内容以外にも、タイトル・価格・カバーデザインなど、現行版と変わることはいろいろあるようでした。で、大切なのは、読者。「あ、新しくなった、買い替えなきゃ」と買ってくれて、読んでみたら大して変わってないとなると無駄な買い物になってしまいますものね。
著者はあちこちで情報を集め、2月にようやく「実務には影響なし」ということがクリアになりました。けど、また品薄になってきたし、読者からいただいたフィードバックもあるので、新しい本を作ることになりました。
ここでぶっちゃけた話(宣伝)になりますけど、つまり現行の『要介護認定調査の実務とポイント』は平成25年に出た本ですけど、27年4月の介護保険法改正によって内容が古くなることはありません。法改正以降も、何の問題もなく役立ちます。新たに認定調査員になって本が必要なのは今!という方は、どうぞ心配なさらずに。一応、「等」が追加された…みたいなちっさい修正が厚労省のテキストに少々ありますので、HPにまとめてあります。
新しい本はおそらく増補版という形で出るのですが、まだ発刊日も価格も決まっていないので、「それを待つか、現行版か」の判断は読者にお任せします、ごめんなさい!
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