Twitterは売り上げにつながるか?
はじめまして!図書出版 花伝社の山口侑紀と申します。7年間の学生生活ののち、去年の4月に入社しました。見た目は貫禄がありますが、まだピチピチの社会人1年生です。今後ともよろしくお願いいたします。
入社後、友人や知り合いから、よく「花伝社って、どんな出版社なの?」と聞かれることがあります。一言で言い表すことは、正直私も未だにできません(笑)。私が入社以来担当したものだけでも、村田忠禧著『日中領土問題の起源』のような尖閣本もあれば、伊藤美喜雄著『夏目漱石の実像と人脈』(先日書店さんで立ち読みしている人の周りを不自然にウロウロしてしまいました。ごめんなさい。)のような文芸評論もあり、テーマが多岐に及んでいます。
このように様々なテーマの出版を通して、社のモットー「自由な発想で同時代をとらえる」を実践すべく、今日も社員一丸となって業務に励んでいます。
花伝社のような小さな出版社にとって難しいのは、その本を必要とする人のところに情報を届けること。電車にたくさん広告を貼ったり、新聞に大型広告を何度も掲載したりすることは出来ませんし、いい本づくりを心掛けても必ずしも毎回書評に取り上げてくださるとは限りません。そこでまず、身近(&無料)なところからTwitterの拡充大作戦を開始しました。
作戦1!ともかくフォロアーを増やす!
フォローをすれば、ある程度フォローバックをしてもらえるのでは!?と、ひたすらフォローを繰り返しました。しかし、ここで立ちはだかったのがフォロー上限2000人の壁。ただ単に人数を増やすだけでなく、花伝社のTwitterを本当に読んでくれる人をいかに増やすのか、というのが次の課題になりました。
作戦2!RTしてもらえる関連ツイートをする!
ある刊行物に興味を持って下さる読者の方は、その問題やテーマに関心がある方だろうと、関連ニュースのツイートを始めました。
2013年4月に復刊した『ある北大生の受難』は、戦前に存在した国家秘密法によってスパイの冤罪にあった北大生・宮沢弘幸さんの足跡を追ったものでしたが、国家秘密法に酷似した「秘密保護法」が審議される間に、法案関連ニュースのツイートを続けました。ニュースから興味を持って『ある北大生の受難』を手に取ってくださった方も多かったようです。
RTが増えれば、そのテーマに関心がある別の人を見つけることができます。その人たちをフォローすることで、ただ単にフォローするよりもより定着したフォロアーの方を増やすことができました。
作戦3!書評拡散大作戦
(イマドキ、ニュースはインターネットで見るもの。新聞なんか取ってない!)という人も珍しくないのでは、と思われます。書評も同じで、その新聞の読者の直接の反応よりも、そこからどう、新聞を見ていない人たちに情報を広げていけるのかというのがこれからの課題なのかもしれません。
これも『ある北大生の受難』の場合ですが、ある新聞に書評が載った際、新聞社のウェブページに書評が掲載されるまでかなりの日数がかかりました。その間、評者の方が、書評を紹介した弊社のブログをTwitterでご紹介くださったおかげで、時間を空けることなく多くの方に書籍を知っていただいただけでなく、弊社のブログも見ていただくことができ、結果スムーズに購入情報まで誘導することもできました。その後の読者の方のご反響なども拡散していったことで、「おお!話題になっている!」という雰囲気が生まれたのではないかと思っています。
(今では書評だけでなく、ブログ記事などもご紹介しています。)
……と、当たり前のことばかり言ってお前は何なんだ!と言われかねませんが、これら大作戦をそれぞれの書籍で続けていった結果、入社当時400人台だったフォロアーさんも今では2500人以上に増え、本作りの面で貴重なご意見などを頂くことも多いです。
私なりに学んだことをまとめると
●本は買っていただいて終わりではない。次に「花伝社の本だから」と手に取っていただく(お得意様を増やす)ためには、そのテーマについて、そしてそこから発展するような別のテーマについて、情報を得られるという「満足感」を提供できるかどうかも重要。
●単行本出版には時間がかかるが、「情報の速さ」や「新鮮さ」も大事。書評や読者の方の反響、著者の近況などが積み重なれば「この本、話題になっている!」という空気が生まれてくる。(気がする)。
以前の弊社Twitter担当者は、全国の書店さん向けに密なコミュニケーションをしていましたし、他社さんでも、例えば個人を前面に押し出したり等、いろんなTwitterの活用の仕方があるなあ、と日々勉強させていただいています。弊社のアカウントでは、今は読者の方々向けの情報発信をしていますが、今後は書店さま、著者の方に向けて、どう活用できるかも考えていきたいです。
表題の「Twitterは売り上げにつながるか?」の答えは目下模索中ですが、書誌データなどがネットに出る一つのチャンネルと考えれば、決して効果はゼロではありませんし、どこかにいるであろう、その本(に書いてある情報)を求めている読者の方々との出会いを、今後も大事にしていこうと思っています。
アドバイス、ご意見などお待ちしております。まずはぜひフォローください(笑)!
Twitter: @kadensha
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