一つの節目に
先日「売れるネット広告社」社長の加藤公一レオ氏の講演を聞きに行った。なるほど、こうした手法で時間と金をかければ間違いなく売り上げはアップするのだろうと納得して帰ってきたが、我が社の仕事とはあまり関係なさそう。
そういえば、SNSの一つでもあるフェイスブックにポストされた文章を、テーマに沿ってまとめて編集した本として、この3月に世に送り出した。神山睦美さんの『日々、フェイスブック』がそれである。ここでは自らの半生を顧みながら、文学を、政治を、歴史を考え、そこでの思いを日々綴ってこられてきたたわけだ。著者「あとがき」に「私は、年齢からいっても、人生経験からいっても、親または親の親にあたる世代ではないかと思う。そういう人たちがどういう経験をして、何を考えてきたかを知ってもらうのには意味があると考えた」と記している。
ところで、足掛け10年かけてようやく『倉橋健一選集』(全6巻)の完結の見通しが立った。この6月には第4巻を、次いで年内には一気に最終の第6巻を刊行する予定だ。思えば変化の激しい時代にあって、ここらで一つの節目を設ける意味でも、永きにわたり文芸批評の前線で戦い、今もなお健筆をふるい続ける倉橋健一さんの思索の集大成を読み直して、今後の励みとしたいと思う。
また、私よりも少し若い世代の山田兼士さんが3月刊行の『対論Ⅱ2012~2015』(細見和之さんとの対談)に引き続き『詩と詩論 2010―2015』を6月に刊行。<詩書751冊を読み解く>を売りに、詩の現在を語りつくした一冊だ。
文芸書を主軸に、版元として10期目の決算を済ませたばかりだが、やはりここが一つの節目、正念場だとの思いが日々募っている。