沖縄県産本フェアの話
今年も、沖縄県産本ネットワーク主催のブックフェアが終わった。九回目の今年は、ちょっと苦戦した秋だった。
フェアは、那覇市のど真ん中、パレット久茂地というビルの中にある地元百貨店の中の「リウボウブックセンター リブロ」で毎年九月の終わりから十月中旬まで行われている。最初は県内最古の大手書店「文教図書」でやっていたのだが、そこが倒産してしまい、そのあとを引き継いだのが、初めて沖縄に進出したリブロだった。リブロは県内の版元を丁重に扱ってくれている。ここはまた沖縄関係の本もよく売れるので、年回売り上げ一位が「県産本」だった、ということも何度かある。
「沖縄県産本」という、「メイド・イン・沖縄」にこだわった名前で、沖縄の地元版元の存在をアピールしようと自然発生的に集まったのが、沖縄県産本ネットワーク。最初は若手編集者の飲み会であったが、フリーペーパーの新刊ニュースなど出していくうちに、ブックフェアを開くようになり、今は出版社が正式に参加する立派な団体になった。今回フェアに正式に参加したのは28社だが、実質的には30社を超える。1400点ほどの本を揃えて、毎年出品目録も出している。恒例のイベントとして県内各局アナウンサーによる県産本の朗読会があり、その会は盛況だったが、今年初めてやった「読者が書く 県産本ポップ大賞」はやや不発気味であった。大賞には図書カードなどの賞品も準備したのだが、応募が少なかったのだ。読者のポップで売り上げ倍増をねらったが、甘くなかった。
これまで、フェア期間中に様々なイベントを行ってきた。朗読会はもちろん、沖縄県産本の戦後の歩みのパネル展、各社合同の著者たちの連続講演会、沖縄県産の映画上映会、希少本のオークション、写真展に原画展に出版相談会などなど。今年はもう一つ初の試みとして、沖縄県産のウェブ漫画の画像にアフレコをするというイベントを、専門学校の協力で行った。
しかしさすがに九回目となると、イベント疲れというか、ある種のマンネリ感に陥ってしまい、全体としてテンションがなかなかあがらず、苦戦することとなったのだ。定着とマンネリは紙一重だ。
しかし来年は記念すべき十回目なのである。今回の反省を踏まえて、来年は早々に準備に入りたいと思う。ボーダーインクは、県産本ネットワークの実質的な事務局と化しているので、フェア中は、編集スタッフは会社の仕事よりフェアに力を入れてしまって大変なのだが、でもそんなの関係ねーていう、かつてのテンションを取り戻さなくては十回目の計画はできないのだろうなぁ。
毎年フェアのキャッチフレーズを作っているのだが、今年は「王子も読んでる県産本」。世間で評判の王子だが、もともと琉球王国には王子がいたのさ、彼らも世が世なら読んでいただろうう県産本、というわけで、下記のようなポスター・目録と相成った。来年はどんなキャッチコピーで勝負するか、もう考えてしまうのである。