少しづつ着実に広がるネット普及の影響
はじめまして。このたび会友となりました株式会社ディキューブの寺島と申します。ディキューブは出版社に特化してウェブ制作・運用代行をさせていただいている会社です。
私はかつてリアルの書店員をやって、その後ネット書店にもいた挙句(?)、今の会社でお世話になっていますが、ネット時代にふさわしい本の売り方、あるいはその仕組みを考えていくことが仕事と思っています。
ところで、ネットが世の中を変えつつあるなあ、ということを時々生活のなかで実感させられることがあります。
例えば、私は「さんまのスーパーからくりTV」が好きで毎週見ているのですが、「サラリーマン早調べクイズ」という、新橋の酔っ払ったサラリーマンにクイズを出して、家族か知り合いに電話をかけさせて答えさせるというコーナーがなくなったのはブロードバンドユーザが増えたことと関係があると思っています。
ある回で、ある酔っ払いサラリーマンがご家族の方に電話したらそのご家族がクイズの内容をネットで調べて即答した、というものがありました。つまり電話を受けながら答えられたということは、この家庭がブロードバンド環境にあった可能性が高いのですが、この放映は確か2002年の冬でした。
酔っ払いサラリーマンと電話先の人とのああでもない、こうでもないというやりとりがこのコーナーの面白さだったのですが、このころからブロードバンドが急速に普及してきていたので、即答率が上がって面白さが半減する恐れが高まってきていた象徴だったと、今にして思います。
ちなみに総務省の「平成16年通信利用動向調査」では2004年末でのブロードバンドの世帯普及率は62.0%となっています。ちなみに2002年末では29.6%でした。
そんな中で、出版社さんの業務も変わりつつある、あるいは変わらなくてはいけないと考えています。もちろん版元ドットコムもそのアクションの一つですが、他の業務でもネット対応にしていく必要性が高まっています。
その一つの例として、最近私どもでお受けすることが増えているのは、著者からネットでのプロモーションをしてほしいと依頼を受け、出版社サイト上に特集ページを制作するという案件です。出版社から本を出すからには、書店に並べられるというだけでなく、インターネット上での存在感もできるだけ高めてほしい、と望まれるのは著者にとっては当然と思います。
このようなニーズに対し、オンライン書店と協同マーケティングするというのももちろんありますが、彼らが、出版社のやりたいと考えている著者マーケティングにいつも協力してくれるとはいえないので、少なくともその場合は出版社サイトかどこかで自らのイニシアチブで実現できる施策を打てる必要があります。
これは著者←→出版社という関係の中での例ですが、読者←→出版社という関係の中でも、ネット利用の広まりと深まりが、これまでの方法論を変えていく例が生まれてきています。
今話題のmixiというソーシャルネットワークサービスでは読者が勝手に立ち上げた出版社のコミュニティがいくつもあります。彼らはいわゆる勝手連的な存在として出版社のブランド強化や情報提供をしてくれています。もっとも彼らにとってネガティブな施策を行おうとした場合は、出版社にはありがたくない影響を与える恐れもあります。
この点では、ネットの普及はバラ色とはいえないのですが、いずれにせよ、それは避けることができないので、どのようにネットでの反響と付き合っていくか、は大きな課題といえるでしょう。
というようなことを考えるためネットをあちこち徘徊したり、ネットマーケターの方々と情報交換したりしながら、出版社の方と「ネット時代にふさわしい本の売り方、あるいはその仕組みを考えていく」仕事をしている次第です。 何かインターネットを活用してこんなことができないか、というようなことがおありでしたら、お気軽にご相談ください。
今後ともよろしくお願いいたします。