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ひとり出版社といわないで

2016年秋、青天の霹靂というよりは藪から棒に、父から圭文社を継ぐこととなりました。
父は家では仕事の話をしなかったので、将来の話をしたこともありませんでしたが、「やるか?」と一言。
理由のひとつは、父が難聴になったことです。

今でも電話での在庫確認や注文があり、そうかといって鳴るか鳴らないかわからない電話のために、人を雇うわけにもいかず。
同時に母の物忘れが少しずつ増え、母をひとりにはできないにいないということも重なりました。
教えることが苦手な父から教わったことといえば、
「番線を聞いてさ、納品書を書くだろう、で、短冊挟んで出荷すれば良いんだよ」

「出版社をはじめました」の類の書籍を数冊読みましたが、出版未経験の私の「知らない」は、諸先輩方とは桁外れ、取次って?ブックライナー?TRC?にJRC?…菊半、斤量、しろやき…はじめて聞く言葉ばかりでした。
日販に新刊見本を出しに行った際に順番待ちの隣の方が、突然、背広のポケットから消しゴムを取り出して本の汚れをケシケシしているのを見た時は、「本で読んだあれだ!」と、出版社さんの仲間入りをしたような気持ちになりました。

数年があっという間に経ち、夫との会話の中で「ひとり出版社だからね」とぼやいたところ「ひとりとかいわないでよ。ひとりじゃないじゃない、周りにたくさん助けてくれる人がいるじゃない」と。
その通り、私が今日に至るのは、「ひとり出版社」だけれど「独りじゃなかった」ということに尽きるのです。
執筆者の先生、浄書屋さん、印刷屋さん、納品時には駐車違反にならないように車の前に待機してくれるマンションの管理員さん、重い書籍を笑顔で運んでくれるドライバーさん、印刷に関しては100%頼りにしている夫。
何より、とある学会の展示ブースで声をかけてくださった出版社さん。
一人で店番をしている私に、「食事やトイレ行きたい時は言ってくださいね」と声をかけてくださいました。
そして、その時に「版元ドットコム」を教えていただきました。
その出版社さんを通して出会った皆さまが、温かく親身になって悩みにこたえてくださりアドバイスをいただき感謝しています。
皆さまのお話を伺い、また版元ドットコムのメールを読みながら学ぶ日々です。
同業者にここまで優しい業界は他にはないのでは?
糸日谷さんから「こんな感じでメーリングリスト上で会員、会友と情報が共有されます」とメールが届くと「新しく加入された出版社さんようこそ!良かったですね」と密かに喜んでいます。

2024年を迎え、大好きな箱根駅伝の合間に流れるコマーシャル。
「丸くなるな、☆星になれ」
「よし、今年は星になろう!」と決意したはずが、
半年が経ち、未だとんがりをみせてはおらず。
これまでは、先生からの持ち込み企画がほとんどでしたが、そればかりに頼っているわけにもいかず、企画の難しさを痛感しています。
前進あるのみと今日も自分に言い聞かせております。
皆さま、いつもありがとうございます。
今後ともよろしくお願いいたします。

圭文社の本の一覧

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