できない理由はもう探さない
はじめまして。アプレミディ(Après-midi)という出版社です。
2021年に立ち上げ、現在までに3冊の本を刊行しています。
まず書籍のご紹介をさせていただくと、1冊目は過去作品がテレビドラマ化もされたホラー作家・郷内心瞳さんの怪談『拝み屋奇譚 災い百物語』、
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2冊目は音楽・文芸評論家の陣野俊史さんによる、フランスのラップ・カルチャーと現代史を扱った『魂の声をあげる 現代史としてのラップ・フランセ』、
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そして3冊目はバンコク在住20年の日本語教師でタイ人の精神性に寄り添いながら現地のオカルトや怪談を探求しているタイ版小泉八雲・バンナー星人の『タイぐるり怪談紀行』。
今年は仕込みに時間をかけて新刊が出ていないのですが、今秋からの再始動に向けて様々なジャンルの書籍の制作を進めています。
上記のようなラインナップなので、ブックフェアなどに出店すると「変わった本ばかり出していますね」「なんか変わっていますね」と言われることが少なからずあります。でもまんざら嫌な気はしません。変わった本とそうでない本の違いはよくわかりませんが、「普通の本ばかりですね」と言われるよりはよほどうれしい。ジャンルを問わず、まだあまり世に知られていないユニークな内容やテーマの本は、今後も出していきたいと考えています。本を通して自分自身知らない面白い世界や考え方に出会えて面白いし、「へー!こんな面白いことがあるんだ」という世界をつなぐ、扉のような存在にアプレミディがなっていければと思っているからです。
ちなみに、こうした“変わった本”は10万部ヒットなどとは縁遠いですが、「こんな本を待っていた」「本をきっかけに自分も興味が沸いて深堀りしたくなった」など、熱量の高い感想をいただく機会が多々あります。誰かにとって特別な一冊になっているのがわかるとしみじみうれしくなります。
今後の抱負については、前述の「扉のような存在になりたい」というのに加えて、何かを研究・探求している方の発信の“場”にアプレミディを使っていただきたい、と考えております。書籍の刊行だけでなくイベントやWEB連載、ポッドキャストなどなども。面白ければ何でもかんでもいいというわけではありませんが、「ニッチだけどこんな本があったら面白いのに」というご意見や「こんな専門的なことに熱量を注いでいる人がいる」という情報がありましたらぜひ教えてください。
出版社を立ち上げてよかったと思えることの一つに、前例がないとか著者のSNSフォロワーが少ないとかを理由に他の出版社でボツになるような企画でも、自分が出すと決めたら本が作れる、というのがあります。もちろんそれには責任や金銭的な覚悟が伴いますが、それも含めて出版社の経営・運営は面白いです。
出版を通してやってみたいことの新しいアイデアはありすぎるほどたくさんあります。でも生粋の自信のなさと面倒くささが祟り、最初からできない理由を探しまくって結局やらないという癖がなかなか抜けません。これは我ながらものすごくもったいなくてむかつく、今一番の課題。でも今回この版元日誌の依頼をいただき、あらためて他の出版社の方の版元日誌や発信しているものなどを拝読したところ、いい刺激がたくさんありました。なのでできない理由はもう探さない。有言実行です。
最後に、今後は他の版元や書店の方々といろいろお話ができたらうれしいです。これからもアプレミディをどうぞよろしくお願いいたします。