今、おすすめは評論!
8月5日、砂田弘さんの評論集出版を祝う会に出席しました。およそ100人、日本の児童文学をになう作家、編集者が集い、会は大盛況!1960年代から、1990年代までの、日本児童文学者協会会長、砂田弘の評論、エッセイを10年くくりでまとめあげた「砂田弘評論集成」(てらいんく)は、日本児童文学の歴史を、そのまま映し出し、児童文学が、子どもたちに夢と希望をもたらし、また未来もそうであり続けることを認識させた。
評論は、その道の研究家のかぎられた人たちのものとかたいイメージがつきまとう。私もつい最近まで小説は読むけれど、評論を読んだことは、全くなかった。文学専攻ではないけれど、書くことには興味があって、創作教室などには通った経験もあるのですが、、文学評論は、存在すら気がつかなかった。ところが、テーマに惹かれて受けた、社会人の大学講座で「嵐が丘」を学んだ。小説の書き方ではなく、作品そのものについて学ぶ。「嵐が丘」に惹かれた先生が、作品を細かく切り刻み、分析。作品の時代背景、その台詞の持つ意味、影響、、、、、。一つの作品の奥深さ、それぞれの読者の思い、受け取り方、、、、、新たな読書の楽しみを発見した。
そして、はじめて、児童文学評論を読んだ。小社「てらいんくの評論」1冊め、「児童文学への3つの質問」。
著者、藤田のぼる先生いわく「これほどに、やさしい評論はない」と自負している。この評論の刊行のきっかけは、子どもの本の会などで、よく、質問される、「子どもに、求められている作品は?」「子どもの読書離れは本当でしょうか。」という、とても簡単には答えられない難問。
私も初めて読む評論。最初は、恐る恐るゲラを読みはじめ、そして、引き込まれた。「嵐が丘」の講座で経験したあの初めての感動!が再び。読み終えた後は、読書意欲にあふれ、「あの本、この本、、、、」と本屋さんに走りたくなった。そのような気持ちにかられたのは、わたしばかりではなかったようで、発売後、しばらくは、「他の評論集も読みたいのですが」と「てらいんくの評論」に問い合わせがあいついだ。
漸く「てらいんくの評論」も現在、エッセイも含めて、6冊。「世界児童文学ノート」(安藤美紀夫)、「児童文学批評・事始め」(児童文学評論研究会)「魔法のファンタジー」(ファンタジー研究会)「物語のガーデン」(和田まさこ)。次回作「少年詩・童謡の現在」、「《成長物語》のくびきをのがれて」も問い合わせが多い。
まだ、児童文学の評論は、作品も少なく、浸透力にかけますが、ぜひ、1冊読んでみて下さい。人生の楽しみがふくらみます。