本を介して人とつながるまちライブラリー ~活動を通して見えて来たこと~
まちライブラリー提唱者の礒井純充です。まちライブラリーは本を介して人とつながる小さな私設図書館活動です。2011年に私が個人的な活動としてスタートしたまちライブラリーですが、2019年末には全国で約750カ所に広がっています。
平成から令和元年となった2019年は、まちライブラリーにも新しい動きのあった1年でした。企業や行政が運営に関わる活動としては、9月に東大阪市文化創造館、11月には南町田グランベリーパークに、まちライブラリーが誕生しました。まちライブラリー@東大阪市文化会館は大阪地区では4つ目の大型のまちライブラリーとなり、まちライブラリー@南町田グランベリーパークは東京地区では初の大型のまちライブラリーの誕生となりました。
昨年7月には、全国のまちライブラリー運営者と北海道、東京、大阪、宮崎の13カ所のまちライブラリー利用者の皆さんにアンケートを実施しました。運営者へのアンケートからは、さまざまな人がそれぞれの思いをもって運営していることがわかりました。利用者アンケートからは、まちライブラリーの雰囲気について90%を越える人が肯定的に捉えていることもわかりました。利用目的は、カフェ、本の閲覧、貸出を挙げる人が多く、本の存在が利用動機になっているようです。利用してよかった点については、「一人でゆったりする」、「読書」など居心地のよさを挙げる人が多くみられました。一方で人とのつながりを感じる時については「まちライブラリースタッフとの会話」が一番に挙げられており、個人的な目的を達する場でありながらも、特定の人とのつながりを求めて利用している場ということがわかりました。
本を通して人が交流するまちライブラリーは、ちょっとしたスペースや小さな集まりとして個人でも始められる活動であり、また、企業や行政が運営に関わっている規模の大きなライブラリーでも、本を寄贈したりイベントを行ったりして、利用者が参加しながらその場所を育てていく、その過程を大切にする活動です。ひとつとして同じライブラリーはなく、運営者、利用者、場所、運営方法などに応じてそれぞれのペースや形で運営し、活動することができるのです。そのことから、私はまちライブラリーが地域の土壌づくりといえるのではないかと気づきました。
最後に2020年に挑戦したいことをふたつあげたいと思います。ひとつ目は、これからも各地のまちライブラリーを訪ねて、それぞれのまちライブラリーがどのように場になっているのか実際に見てお話をうかがうこと、ふたつ目は、これまでのまちライブラリーの道のりを振り返り、『まちライブラリーのつくりかた』のその後ともいえるような、まちライブラリーについての本の準備に取り掛かりることです。
今年もまちライブラリーを通して本と人に出あえる一年となりますように。
●春のイベント予定
※詳しい情報は、まちライブラリーHPを参照してください。
・まちライブラリーブックフェスタ2020 in 関西
4/19(日)~5/17(日)
関西では、毎年春に約1か月間、まちライブラリーブックフェスタを催してきました。これは、まちライブラリー関係者と有志が中心となって、公共図書館や博物館、書店、まちライブラリーなど、本にまつわる約300ヶ所をつなぎ、本と人にであうお祭りです。6回目となる2020年の実施にむけて準備をはじめています。気になっているが行くきっかけがないライブラリーを訪問してみたり、個人のライブラリーでイベントはめったにできないけれど、この期間中はがんばって企画してみたりと、利用者もライブラリー運営者も少しだけ背伸びができます。本だけでなく、おすすめ本などを紹介する人とその想いに出会える1か月です。老若男女、だれでも気軽に参加できるのは、本があるからこそかもしれません。今年の春は、おすすめ本を1冊持って、関西に集合!
・第8回マイクロ・ライブラリーサミット
5/10(日)大阪府立大学I-siteなんばにて開催予定
マイクロ・ライブラリーサミットは、全国各地の個人や小規模団体が運営している小さな図書館(マイクロ・ライブラリー)の集いです。ライブラリーの紹介や事例発表を通じて、想いを共有したり、新たな活動のヒントを得たり、課題克服を目ざす場でもあります。ぜひお気軽にご参加ください。