シェア型書店の棚主になってみた!
神田神保町ではこの数年、シェア型書店が増えています。覗いてみると、新書に古書、大手版元の受賞作から個人出版の本まで、棚主の個性をいかんなく発揮した棚が順不同で並んでいて面白いよね、と社内で雑談していたときに、一人のスタッフから「さくら社でもやってみたらどうでしょう?」と声があがりました。6月上旬のことです。
シェア型書店は一般の本好きな方が立ち寄るイメージがあり、当社が出しているような専門書は手に取ってもらえないのではと口にしたものの、ほかのメンバーも交えて話し合ううちに、ふだん教育書の棚には来ない方が当社の本を手に取ってくださるチャンスになるかもしれないと思い直し、棚主になってみることに!
ほんまる神保町さんは今年の4月にオープンした、木の香りが漂うすてきな書店です。オーナーは直木賞作家の今村翔吾先生。書店の減少を食い止めたいとの気持ちで始められたそうです。店内には当社の出品と比較的雰囲気が近い新書の実用書が多く、ここに決めました。
まず空いている棚の中から希望の場所を選び、公式サイトから申請します。受理されるとメールで初期費用(入会金+2ヶ月分の賃料)の振込依頼が届くので、振り込むと正式契約となります。続いて棚主名を入れた代本板のデザインを送り(棚の左端に置き、棚主の名前と雰囲気をアピールします)、専用サイトにマイページを登録。そして出品の登録をします。登録する項目は、書名・300字程度の内容説明・価格の3つだけ。選書は棚スペースの使い方と一緒に考える難しさがあり悩みましたが、「夏休みの家庭学習を助けます」というテーマを設け、棚差しと面陳を組み合わせて12冊を出品することにしました。
出品登録が済んだら、ほんまるから「申請を受付ました」の自動応答メールがタイトルごとに届き、その後すぐに書籍陳列依頼のメールが届きました。搬入は郵送でもできますが、神保町住まいの当社は直搬入を選択。
本を持参するとカウンターの書店員さんが書誌登録と照合し、店内専用バーコードがついたシールを貼ってくれます(後日商品入れ替えで回収した本からこのシールを剥がしたところ、ベタつきが残り全冊カバー替えとなったのは少し残念でした)。本を店員さんから受け取ったら、棚に並べます。ほんまるに出品が可能なのは書籍のみですが、オブジェを置いたり、棚主のショップカードを置いたり、工夫をされている棚主さんも多々おられて参考になります。
初めての経験にドキドキしながらも無事に棚が整い、6月中に開店までこぎつけました。9月からは新テーマ「子どもと向き合う」に沿って本を入れ替えています。今後は出品した本をベースにSNSで発信するなど、棚を生かした取り組みを進めていきたいと思います。
それにしても、お客様が目を留めてくれるような棚を作るのは難しいですね。書店員さんへの感謝の念がつのります。棚主を経験し、一周まわってそこかという感じです。