伝えていきたいことを 絵本に
◆伝える方法のひとつとしての絵本から出版社へ
どうしても伝えていきたい、つたえなければ・・・大切なこと。と言う思いが、おむすび舎の原点でした。
これまで、絵本の読み聞かせ活動や、絵本に関わるイベント企画、と同時に食の大切さを伝えていくという活動を食育指導士としてやってきました。ある日、絵本『たべものたべたら』(文:中川ひろたか 絵:藤本ともひこ)を、小学生への食育指導の時間に使ってみました。
それまで受け身だったこどもたちが、目をキラキラさせ前のめりになっている姿と、その後の内容の読み込みの良さにとても驚きました。絵本はこどもたちの心をふんわりと情緒的な部分に刺激を与えるだけでなく、絵と言葉の力で情報をも心の奥に届けることができるのだということにあらためて感動したのでした。だとしたら、今こどもたちに伝えていきたい大切な食のことを、絵と言葉の力を借りて届けることもできるのではないかと思い、その時使った絵本の作家でもある中川ひろたかさんに御礼とその感動をメールで伝えさせていただきました。
『伝えたいと思うことを絵本にしてみたら』と、中川ひろたかさんからお言葉をいただき、テキストをお願いすることになりました。
これをきちんとした絵本にするにはどうしたらいいのか。。。いろいろ考え いろいろな方にも相談し、出版社に企画を持ち込むことも考えました。が、これまで自分がやってきた絵本のこと、食のこと、それまで続け積み上げてきたそのどちらもあわせた「食の絵本」を自分の手で1冊1冊丁寧に作り、長―く 届け続ていきたいと思うようになりました。そして以前、谷川俊太郎さんから教えていただいた、谷川家のお嫁さんである谷川恵さんを訪ね、1人出版社のことについて勉強し始めたのでした。谷川恵さんは一人で【ゆめある舎】と言う出版社を始めた方です。そんな素敵な先輩から教えていただき1人出版社を立ち上げることになりました。
◆多くの人がかかわり作り上げる絵本
1人出版社と言っても絵本は、作家、編集者、デザイナー、印刷やさん、製本屋さん・・と多くの方々の手によってつくられていきます。その力が掛け合わされて一つの作品が出来上がっていく様子が、美味しいおむすびを作る工程に似ていること、からおむすび舎と名付けました。
それからは何もかもが一つ一つが初めてのことばかり。
絵本ができるまでの過程もいろいろなことがありましたが、何より、その絵本を、多くの人に届けるにはどうしたらよいか。。。
まず出版社をと思った時に一番問題は流通である!と勉強しながらも、自分の手と足でこの絵本を一人一人の人に届けていこうなんて、無謀なことを真剣に思っていたのでした。書店、絵本専門店に足を運びながら、たくさんの方からアドバイスや紹介をいただき、二次取次さん(八木書店さま)ともご縁をいただき、新聞社、雑誌社に絵本を届け、メディアにも取り上げていただき、書店へのFAX(版元ドットコムさま)、原画展などイベントの企画、などなど、先輩方々の真似をしながら、日々何ができるかを考えながら、出版社立ち上げから3年、3刷りが届き豊かに積み上げられた在庫を眺めながら「手にした時がその人にとっての新刊である」ことを忘れずに、まだまだやれることをわくわくと想像しながら新潟の自宅の一室からドタバタしています。これからもみなさまのアドバイスいただきながら、第3弾にニヤニヤしながら頑張っていきたいと思います。おむすび舎、どうぞよろしくお願いいたします。
お知らせ
2018年5月12日から31日まで 岡本よしろう「ごはんのにおい」絵本原画展
場所:こどもの本専門店 ブックハウスカフェ