誰も知らない……
昨年、11月発行した『誰も知らない円形脱毛症』が先日、読売新聞の家庭欄に紹介され、反響をよんでいる。
一般的に円形脱毛症は頭髪の一部が円形状に抜け落ちて、やがては生えてくると思われているが、人によっては幼児期からまゆ毛やまつ毛、ヒゲなどの体毛全てが脱落してしまうこともあるということは、あまり知られていないのではないでしょうか。
命にかかわる病気ではないし、「放っておけば生える」と思われているので、周囲から軽く見られがちで医学界でもなかなか研究が進まず、未だ原因も治療法も確立されていない。しかし人と明らかに異なる容貌になるという苦しみ悩みは計り知れない。
本書は円脱患者自身が素直にその悩みをつづった手記が中心で「ひとりで悩まないで」というメッセージと社会に対する理解を訴えている。
さて、新刊では2月下旬に『米軍「秘密」基地ミサワ』を刊行する。青森県三沢基地はこれまでにも核保有疑惑がもたれていたが、その事実を新聞記者の執念の取材で明らかにしたものだ。また、三沢基地は核保有だけでなく米軍のアジア・中東に対する中心基地として情報戦や補給地として重要な役割を果たしている。先の湾岸戦争やあのアフガン報復戦争でも三沢からサウジアラビアへ戦闘機が飛んでいる。
小社はこれまで様々な分野、事柄を題材にした出版を続けてきた。縦横無尽といえば聞こえがいいが、小社のような零細出版社では一人で全く違う分野の二つ三つの本を同時進行で編集、営業までこなしているのが実情。正直、脳味噌のチャンネルを変えるのに苦労している。
だが、その一つひとつが重要な問題提起を投げかけていると考えているので、めまぐるしい日常を右往左往しながら奮闘している。
情報化社会といわれている現代。クリックひとつで全てがわかるような錯覚があるが知られていない現実、忘れ去られた過去を掘り起こす出版活動を続けたい。