その後の小さな出版社
世の中の景気は少しずつ良くなっているのでしょうか?
私のいる出版社も設立して早、7年が過ぎようとしています。
3年程前、版元ドットコムより依頼があり書いたことがありました。あの頃、思い出すといろいろ苦しいことがありました。2人の編集者で1年間にできる書籍の数はたいした事とありません。売るべき書籍は少なく、もちろん売上は上がりません。そうなると収入も少なく、会社としての維持が大変でした。
4年前、日・韓ワールドカップ開催時は「昼間、書店に客がいないよ、道路を歩いている人がいないよ」と、営業よりの報告でした。この年は売上が激減し大変な年になりました。
取次は歩戻しを取り、返品運賃、地方格差負担とか経費を容赦なく引き、少ない請求は尚、少ない入金となります。頼みの銀行は実績がない、売上が少ないと、いろいろなことを言われ貸してくれません。こうなると大変です。社内を改善し、出るお金を押さえなくてはなりません。制作する書籍1冊あたりの原価の見直し、給与、経費など考えられることを皆で実行に移していきました。日々暗くなる社内、会議では数字の話が多くなりました。
辛い日々を3〜4年耐え、少しずつ売れる書籍が出始めました。
今では、取次より委託時の部数を追加注文でもらえる書籍も出てきました。この辛い何年間を耐えてきた私たちは何事にも変えがたい経験をしたと思います。
出版社で仕事をする今、疑問に思うことがあります。
新しい本が次から次へと出てきますが良い本、とはどんな本なのでしょうか。売れる本ですか?・・・いやいや違いますね。小さな出版社は内容に関わらず1冊でも多く売れる本を出版していかなくはならず、日夜、葛藤をしながら仕事をしています。