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凧
原書: Les cerfs-volants
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2020年2月10日
- 書店発売日
- 2020年2月12日
- 登録日
- 2020年1月20日
- 最終更新日
- 2020年2月10日
書評掲載情報
2020-05-01 |
図書新聞
3447号 評者: 国枝孝弘 |
2020-04-26 |
東京新聞/中日新聞
朝刊 評者: 山本謙藏(作家) |
2020-04-12 | 綴葉 2020年4月号 |
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紹介
戦後フランスの代表する作家ロマン・ガリ(1914-80)が、自殺する直前に遺した最後の長篇小説(原著1980年刊)。
稀代の凧揚げ名人を叔父にもつ主人公の少年リュドは、ポーランド人の令嬢リラに恋をするが、対ナチス戦によって2人は引き裂かれる。リラへの思いを募らせるリュドは、凧がふたたび自由に空を舞う日を取り戻すためにレジスタンスへと身を投じるが、それはフランス=善/ナチス=悪という図式が崩壊してゆく過程でもあった……。
日本でも再評価著しい作者の遺作。
小社刊『夜明けの約束』映画化上映(『母との約束、250通の手紙』、配給=松竹)記念出版。
前書きなど
「『夜明けの約束』でガリは、無償の愛を捧げる母、そして「愛される」自分を描いた。本作で描かれるのは、ひとりの少女を愛し続ける少年の愛、「愛する」側の物語だ。孤児とお嬢様の恋物語。『嵐が丘』ではあるまいし、前時代的な、と思われるかもしれないが、ガリが最後に遺したのが、幼年期から貫き通された初恋、そして「純愛」の物語であることは興味深い。/幼い日の出会いから青年期まで、リュドはひたすらリラのために生きる。リラは彼にとって生身の人間であると同時に、人生の目標であり、理想の自分への道しるべなのである。本書は、純愛の物語であってもメロドラマではない。なぜなら、主人公リュドの気持ちに「揺れ」がないからだ。彼女がたとえ他の男性と肉体関係をもっても、リュドは嫉妬しない。最初から最後まで、リュドの前にはリラ以外の少女が登場しない。彼には、リラしかいないのだ。一緒にいられない時間の方が長くなっても、彼の愛は変わらない。リュドは記憶力と想像力でリラをつくりあげ、その「理想のリラ」が「現実のリラ」を救うのである」
――「訳者解説」より
版元から一言
小社刊、ロマン・ガリ『夜明けの約束』(上映タイトル『母との約束、250通の手紙』、配給:松竹)映画化記念出版。
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ゴンクール賞を史上唯一2度受賞した稀有な小説家にして、外交官。女優ジーン・セバーグの伴侶であり、映画監督。そうした華麗な経歴をもちながら、66歳で孤独裡に自裁したロマン・ガリの最後の長篇小説が本書です。ここでもストーリーテラーとしての才を存分に発揮しており、主人公の幼い恋からレジスタンス活動を経て戦後にいたる、起伏のある時代を一気に読ませます。
作者は日本では長く過小評価され続けていますが、母国フランスでは戦後を代表する作家として評価を受けています。本作は、自殺直前の作者が最後に書き残した長篇小説です。『母との約束、250通の手紙』というタイトルで映画化された『夜明けの約束』(小社刊)とともに、ぜひ味読してください。
上記内容は本書刊行時のものです。