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薔薇色のアパリシオン
冨士原清一詩文集成
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2019年9月18日
- 書店発売日
- 2019年8月28日
- 登録日
- 2019年7月23日
- 最終更新日
- 2019年8月28日
紹介
日本にシュルレアリスムをもたらした詩人、冨士原清一。その貴重な文業を初めて集成し、歴史の再評価をせまる初の全集。限定600部。
現在では入手困難な稀覯誌紙から発掘した数々の詩や散文のほか、先駆的なロートレアモン、コクトー、ブルトン、ツァラ「ダダ宣言」の翻訳など、戦後の詩壇にも影響を及ぼした〈新発見〉作品を多数収録する。
詳細な年譜、瀧口修造と高橋新吉によるエッセイを併録。
目次
[Ⅰ] 詩文集
画家の夢
二階より
祭礼小景(二篇)
帽子
断章
衣すれ
めらんこりつく
オリムピヤ・エロテイク
CAPRICCIO
マダム・ブランシユ
Salutation
稀薄な窓
人間空間の歴史
突然なる頸
水あるひは理由なきマグネツシヤ
夢の装置
招待
LA SOIE OU LA PETITE PYRAMIDE
悪い夢の後の怠惰な椅子の上の名誉
BAISER OU TUER
ACTRICE TYPIQUE
SECRET DE L'ACTEUR
DUO NOSTALGIQUE
DUO DÉCORÉ
UN ENNUI INFINI
LE GESTE PERPÉTUEL
FILS D'APOLLON
APOLLON ?
CONFESSION ?
EST-CE MUSE ?
LE CERVEAU ET LE SOIR MUSICAL
LE TIROIR DU POÈTE
OPÉRATION POÉTIQUE
DÉPART DU POÈTE
BAVARDAGE DU COQ
日本超現実派の運動に関する 銀行家カンガルウ氏よりの通信
──産毛をつけた日本の詩人諸君に贈る
THÉATRE DANGEREUX
わが生活レビユー (一)
THÉATRE MERVEILLEUX
POÈME DE POÈTE DE TROIS ANS
『恋の黄昏』の読後に
最近詩壇に望みたき事 (一)
『仮説の運動』へ反射する
apparition
LE PIÈGE DE LA POÉSIE
魔法書或は我が祖先の宇宙学
詩に対する態度
成立
襤褸
襤褸
襤褸
夏の通信
襤褸
ポオル・エリユアール
[Ⅱ] 翻訳集
DÉCOUVERTE DES PATTES DU SPHINX en 1926(ジヤン・コクトオ)
J'RAI VEUX-TU(バンジヤマン・ペレエ)
ポオル・エリュアル詩抄
JOUEUR 賭博者 ルイ・アラゴンに
UNIQUE 無二の
A COTE 側に
LESQUELS どちら
PARFAIT 完全
PETIT JUSTES 美しき正当等
SECONDE NATURE 第二の自然
PORTE OUVERTE 開かれた扉(ポオル・エリュアル)
非 主義超現実主義者達に与ふ
(ブルトン+ペレ+アラゴン+エリュアル+ユニック)
農夫の夢想(ルイ・アラゴン)
dada 宣言(トリスタン・ツアラ)
宇宙・孤独(ポオル・エリユアル)
今日風の格言(ポオル・エリユアル+バンジヤマン・ペレ)
ポオル・エリュアール(ルネ・シヤアル)
詩論(ロオトレアモン)
ボオドレエル論(フィリップ・スウポオ)
ボオドレエルとその時代
美学者としてのボオドレエル
詩人としてのボオドレエル
憂欝(シヤルル・ボオドレエル)
詩六篇(ジゼエル・プラシノス)
妹と仔牛
溶解
葡萄
巨きな建物
敷物
それは草である
映像(ポオル・エリユアル)
讃歌(ルイ・アラゴン)
ポオル・エリュアール詩抄
耐へる
私は休息の可能を信じてゐた
ルネ・マグリット
砕かれた橋
おまへは起きる
[附録]
訳者の言葉(冨士原清一訳、ダンディ『ベートーヴェン』より)
冨士原清一のこと(高橋新吉)
冨士原清一に 地上のきみの守護天使より(瀧口修造)
冨士原清一年譜
底本および解題
編者あとがき
前書きなど
apparition
正午 羽毛のトンネルのなかで盲目の小鳥達は衝突する 彼等は翼のない絶望の小鳥等となつて私の掌のなかに墜落する 彼等が婦人達の手袋に似てゐるのは墜落の神秘である 然し婦人達の手袋が彼等に似てゐないのは手袋の特徴である 私も亦私の美しい手袋をもつてゐる 然るに扉のなかの甲冑をつけた囚人等 壁のなかの忘却の襤褸をつけた囚人等が私の孤独を喝采するために私は怒つて私の手袋を投げる それは未知の世界においてひとつの空井戸のなかに落下する 其処に起る薔薇色のアパリシオン 薔薇色の火災は私の美しい発見である 雛罌粟よ 汝がこの絶望の空井戸のなかに生へてゐて私の発狂せる毛髪の麗はしい微笑を聞くのはこのときである このとき天の扉は開いてゐる そしてひとりの死者の微笑が静かに天空を通過する 私が夢見るのはまたこの雨の下である
版元から一言
1920年代に詩誌『薔薇・魔術・学説』『衣裳の太陽』などで颯爽とデビューしながら、敗戦直前にわずか36歳で戦没した詩人、冨士原清一(1908-44)。そのほとんどすべての文業を収めた実質的な1巻本全集です。
瀧口修造や北園克衛、山中散生らと活動をともにした日本のシュルレアリスム運動のキーパースンでありながら、そのあまりにも早い死のために顧みられることのなかったこの詩人についての再評価を期して、本書を送り出すことにしました。ロートレアモン、コクトー、ツァラの「dada宣言」をいちはやく翻訳し、スーポー、アラゴン、エリュアールを紹介するなど、訳者/編集者としての視点にも注目されます。
黎明期のモダニズムが凝縮したこの1冊、600部限定ですのでお早めにお求めください。
ブックデザイン=宗利淳一
上記内容は本書刊行時のものです。