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[増補新版]抵抗者たち
反ナチス運動の記録
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2018年3月
- 書店発売日
- 2018年3月28日
- 登録日
- 2018年3月5日
- 最終更新日
- 2018年3月30日
書評掲載情報
2018-07-14 |
図書新聞
2018年7月21日号 評者: 森元斎 |
2018-06-23 |
図書新聞
2018年6月30日号 評者: 藤原辰史 |
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紹介
ヒトラーに抗した人びとの生と死、そしてその後を追う、アンチ・ナチス・ドキュメント。
失われゆく自由のなかで、なぜ、彼女/彼らは自分の生命を賭してまで、ナチスに抗ったのか。〈国民〉、白バラグループ、キリスト者の活動など、歴史的事実やフィクションを緻密に検証し、暴力と抵抗の足跡を明らかにした、著者の代表作。ナチスに自分を委ねることなく時代に抗った人びとの試みから、いま日本の現実を生きる私たちの姿が逆照射される。
目次
序章 最後の蜂起──オーストリア・一九三四年
コロマン・ヴァリシュの道 英雄の生と死ではなく われわれはなぜ沈黙したのか? 敗北のなかにあるもの
第1章 消された叫び──白バラと将校グループ
夜と霧の始まり ヒトラーの翳のなかで育って 白バラ・グループの生と死 旧体制からの反対派 破局に向かうドイツ? 処刑の部屋
第2章 地下の同志たち──共産主義者とキリスト者
「容赦なく火器を使用せよ」 統一戦線を求めて 国境を越える非合法文書 祝福か呪詛か──教会の二者択一 カトリックの抵抗 プロテスタントと告白教会
第3章 血と土にまみれて──〈国民〉たちの日々
売国奴と呼ばれながら ダヴィデの星と鉤十字 統合される〈少国民〉 「わたしを焼け!」──亡命と国内亡命 国民と非国民のあいだ 第三帝国の女性たち
第4章 あらかじめ見捨てられた抵抗──戦争と崩壊
文化の再生を求めて──亡命知識人たち 〈自由ドイツ〉の結成と活動 連合国の対応
オットー・クヴァンゲルの小さな抵抗 だれもが一人で死んでいく……? 一人から千人へ
終章 最初の蜂起──ブーヘンヴァルト・一九四五年
強制収容所の歌 解放とその後
後章 解放ののちに──自由と共生への遠い道
亡命者たち 生還者たち 過去と未来とのあいだで
参考文献
初版あとがき
軌跡社版あとがき
共和国版あとがき
前書きなど
「失敗した試みは、たとえそれがあらかじめ失敗を運命づけられていたとしても、失敗ゆえに無に帰するわけではない。無と見えるもののなかには、多くの、ほとんど圧倒的な大きさをもったマイナスとともに、いくばくかの希望もまた孕まれている。黙殺と神話化の間で消え果ようとするこの希望を洗い出し、それを個人の英雄的行為のなかに埋めてしまわないことが、本書の主要なテーマである。」――「序章」より
版元から一言
ナチス・ヒトラーが政権を奪取してからのドイツ。緊急事態法、民族差別をはじめとするあらゆる差別、マスコミ統制、焚書、デマの蔓延、オリンピック、そして人間を抹殺するための収容所といった状況を目の前にして、当時の現場を生きた人たちは何を考え、どう抵抗したのか? あるいはなぜ沈黙したのか?
――これらのことを、遠い過去のエピソードとしてではなく、やがて訪れる未来のこととして考えるとき、この本は、とてもかけがえのないものとして読者のわたしたちに迫ってくるはずです。
最初に刊行されたのが1980年(TBSブリタニカ)、再刊が1990年(軌跡社)。その後長く絶版だったのですが、今回あらためて読み直してみて、パンフレットから数々の小説までさまざまな資料を渉猟して書かれた本書のテーマや内容が、とても40年近く前に書かれたものとは思えませんでした。自由が権力によって奪われてゆくこの日本の政治文化状況のなかでは、むしろいっそうアクチュアルですらあります。
今回の復刊にあたっては、著者によって表記などが全面的にリマスターされ、「後章」として大幅に追補していただきました。旧版とは異なるまったく新しい本といえます。現在の日本がますます腐敗していけばいくほど、この本もボロボロになるまで読み継がれるだろうと確信しています。
上記内容は本書刊行時のものです。