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活動写真弁史
映画に魂を吹き込む人びと
- 出版社在庫情報
- 品切れ・重版未定
- 初版年月日
- 2020年10月30日
- 書店発売日
- 2020年10月31日
- 登録日
- 2020年10月6日
- 最終更新日
- 2024年7月30日
書評掲載情報
2021-03-05 |
キネマ旬報
2020年3月下旬号 評者: 南波克行ほか(映画本大賞2020 第6位選評) |
2021-02-28 |
四国新聞
朝刊 2021年2月28日付 評者: 児玉竜一(早稲田大学教授) |
2021-02-17 |
HiVi(ハイヴィ)
2021年3月号 評者: 山下泰司 |
2021-01-30 | 東京新聞/中日新聞 朝刊 |
2021-01-30 |
日本経済新聞
朝刊 評者: 岡田秀則(国立映画アーカイブ主任研究員) |
2021-01-22 |
週刊読書人
第3374号 評者: 渡邉大輔(批評家・映画史研究者) |
2020-12-27 |
北海道新聞
2020年12月27日付 評者: 吉岡忍 |
2020-12-16 |
聖教新聞
朝刊 2020年12月16日付 評者: 吉岡忍 |
2020-12-12 |
朝日新聞
朝刊 評者: 藤原辰史(京都大学准教授・食農思想史) |
2020-12-11 |
週刊読書人
3369号 評者: 山本貴光 |
2020-12-11 |
週刊読書人
3369号 評者: 佐久間文子 |
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紹介
映画史・大衆芸能史の空白を埋める決定的な1冊。
江戸時代の「絵解き」、映画の発明、当時の首相を超えるギャラ、関東大震災、女性弁士、トーキーの登場、未曾有のストライキ……。
映画『カツベン!』でも話題になった、初期の日本映画に欠かせない存在、「活動写真弁士」。本書は、国際的に活躍する現役の活動弁士が執筆した初の通史。新発見の事実や資料を駆使して従来の映画史の空白を埋め、時代に翻弄される群像を描く、天下無双の書。
◎類書にない詳細な弁士名鑑、人名索引を収録。貴重図版約200点。
◎総天然色折込附録つき。
◎巻末解説=周防正行(映画『カツベン!』監督)
◎推薦=高良健吾(映画『カツベン!』活動弁士役)
「音がないなら、しゃべった方が面白くね? そんな感じで始まったであろう無声映画時代の活弁(妄想)。無声に音色をつけ、人を楽しませる純粋な喋り。読んで実際にも見てほしいです。ぜひ!」
目次
はじめに
第一章 活動写真弁士以前
一、絵解き
二、のぞきからくり
三、写し絵/錦影絵
四、紙芝居
五、幻燈
第二章 映画の輸入と弁士の誕生──口上の時代
一、キネトスコープ
二、シネマトグラフ日本初公開
三、ヴァイタスコープ日本初公開
四、ヴァイタスコープ関東初公開
五、シネマトグラフ関東初公開
六、片岡才槌(高橋仙吉)と坂田千曲
七、なぜ布袋軒はシネマトグラフの説明をしなかったか?
八、初期の活動写真弁士の語り
弁士余話1 弁士を知る本
第三章 活動写真巡業隊──広がってゆく映画と弁士
一、活動写真都市・東京
二、 中川巡業隊
三、 駒田巡業隊
四、 横田巡業隊
五、 その他の巡業隊
弁士余話2 弁士の変った芸名、綽名
弁士余話3 カツベンゴシップ集
第四章 常設館の登場──花開く弁士文化
一、電気館と日露戦争
二、梅屋庄吉の登場と弁士養成所の設立
三、中説の定着と声色説明
弁士余話4 活弁がお嫌い?
第五章 『ジゴマ』ブームと声色弁士
一、声色弁士の巨星・土屋松濤の登場
二、その他の声色弁士たち
三、『ジゴマ』、日本を震撼させる
四、日活の誕生
五、弁士による最初のストライキ
六、弁士芸を確立した名人たち
弁士余話5 弁士の書いた本 歴史篇
第六章 アメリカ映画の台頭と純映画劇運動──活動写真弁士の黄金期
一、アメリカ文化と連続活劇の登場
二、徳川夢声の登場
三、ブルーバード映画と活動弁士の第三世代
四、連鎖劇の流行
五、せめぎあう規則と興行
六、純映画劇運動の提唱
七、獅子吼大会と弁士番付
八、前説の名文句とその廃止
九、ニコニコ大会
一〇、プログラムの誕生
弁士余話6 弁士が生んだ言葉たち
第七章 活動弁士から映画説明者へ──説明芸術の誕生
一、制度化される活動弁士
二、漫談の萌芽、そして『路上の霊魂』
三、経営に参画する弁士たち
四、女優と美文調説明
五、「時代劇」の誕生と関東大震災
六、革新の先にある新時代
弁士余話7 弁士試験 珍回答集
弁士余話8 セーフティネットとしての弁士
第八章 〈外〉へ向かう活動写真弁士たち
一、教育映画運動における活動写真弁士
二、弁士たちの舞台、ラジオ出演
三、海の向こうの弁士たち――韓国、台湾、北米、南米、タイ、欧州
四、女性弁士たちの歴史
弁士余話9 弁士の残したフィルムたち
第九章 活動写真弁士時代の絶頂と終焉
一、華やかな無声映画晩期とトーキーの到来
二、トーキー反対ストライキの勃発
弁士余話10 弁士の書いた本 現代篇
第一〇章 トーキー時代とその後の弁士たち
一、無声映画からトーキーへ
二、須田貞明の死
三、弁士とトーキー
四、戦後の弁士たち
弁士余話11 その後の弁士たち
[活動写真弁士小伝]
生駒雷遊/石井春波/泉詩郎/岩藤思雪/上田布袋軒/江田不識/大蔵貢/大辻司郎/小川洛陽/川路健/国井紫香/熊岡天堂/黒沢松声/小島昌一郎/伍東宏郎/坂田千曲/里見義郎/静田錦波/清水霊山/十文字大元/須田貞明/染井三郎/竹本嘯虎/谷天郎/津田秀水/土屋松濤/鶴野曙風/徳川夢声/内藤紫漣/中川慶二/西村楽天/花井秀雄/浜星波/細川天流/牧野周一/松木狂郎/山田無声/山野一郎
参考文献
あとがき
解説 活動写真弁士という存在(周防正行)
人名索引
前書きなど
「かつて日本には数千人にもおよぶ活動写真弁士が存在していた。彼らの多くは歴史のくらがりに身をかくして簡単には姿を現さない。本書の大きな目的のひとつは、映画史はもとより芸能史、さらには日本史・世界史とのかかわりの中で、敬愛する弁士諸先輩方が、たしかにいたのだと証明することだ。その試みが十全に果たされていないのは、筆者の力不足もあるが、何よりも活動写真弁士文化の奥深さが、容易に全体像を語ることを許さなかったからだ。こんなにも近代と向かい合い、こんなにも時代に翻弄された芸能は他にないだろう。
〔……〕
このあとがきを書いている二〇二〇年六月、世界は新型コロナウィルスの影響で大きく揺れている。我々が依存していた日常とは、目に見えないほど小さなウイルスに、こんなにもたやすく変質を強いられるものであったのかと愕然とする。アートへの影響も極めて大きく、いまなお先行きは見えない。
だがどんな世の中になろうとも、人が他者とのかかわりを止めない限り芸術は残る。トーキーの発明という致命的な出来事の後も活動写真弁士は生き延びた。回顧趣味からくる延命ではない。活動写真弁士とは、人と人との繋がりなくしては成立しない芸能だからこそ残ったのだ。
一八九六年から連綿とつながる活動写真弁士の末席を汚す者として、この愛すべき文化を未来に繋げてゆかねばならないと思っている。本書のもうひとつの大きな目的はそこにある。」――「あとがき」より
版元から一言
本書は、周防正行監督映画『カツベン!』でも注目をあびた「活動写真弁士」について、国際的に活躍する現役弁士の片岡一郎さんが執筆した、本文だけで400字詰原稿用紙1200枚もある、文字通りの労作です。
本文中に登場する人名は、弁士、映画監督、俳優・女優など、有名無名あわせておよそ1000名強。こうした群像が、無声映画(サイレント)の発明から関東大震災、トーキー(発声映画)の登場とそれに抗するストライキにいたる時代のなかで、技術革新の波に翻弄され、有為転変を繰り広げるさまを、マニアックに、雄弁に描き出しています。従来の映画史の欠落を埋めるだけでなく、本書自体が浩瀚な一篇の近代史であり、大河ドラマです。
著者秘蔵の資料も惜しみなく、ふんだんにちりばめられていますので、ぜひ手に取っていただければ幸いです。
上記内容は本書刊行時のものです。