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AI時代の労働の自律性と資本の統制
ブレイヴァマンの労働過程論をめぐって
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 発売予定日
- 2024年12月25日
- 登録日
- 2024年11月5日
- 最終更新日
- 2024年12月4日
紹介
●なぜ、出世すると「手を動かす人」から「管理する人」に変わるのか?
●AIに管理される社会で、真の主体性を手放さない方法とは?
資本の影響下で、「どう管理されるか」ばかりを考えてしまう私たちが、「どう自由に生きるか」を考えるにはどうすればよいのか──。
ブレイヴァマンを柱に、科学的マネジメント法で知られるテイラーやマルクスを参照。AI関連の最新情勢も踏まえ、気鋭の研究者が資本と労働者の「知」をめぐる攻防を描き出す。
*
現代で「自由に」働いていると思っている人も、実は労働時間や給与など、決定的な部分に関わることは難しく、そもそもそんなことまで自分で決められると考えられていないことも多い。労働者が職場で決めているのは、実際には資本が「自分で選んだ感」を演出するために用意した選択肢にすぎないのだ。
そのような資本と労働者の在り方を理論的に明かした上で、豊富な調査を掲載。技術者として一定の裁量が認められている(とされる)ITエンジニア1000人にアンケート、さらにインタビューを行うことで、より詳細に実態を捉える。
マネジメント、AI、IT系の労働環境に関心がある読者必読!ビジネス書が決して踏み込まない深さで労働者と管理者の関係を読み解く、いわば「真のマネジメント本」。
目次
はじめに
序章
第1節 課題と方法
第2節 本書の構成
第Ⅰ部
資本主義的生産における労働過程と自律性
第1章 労働過程論争
第1節 労働過程論争とブレイヴァマン批判
第2節 A・フリードマンによる「責任ある自律Responsible Autonomy」
第3節 小括
第2章 ブレイヴァマンによる労働過程分析
第1節 資本主義的生産における労働過程の特殊性
第1項 『労働と独占資本』とマルクス
第2項 「資本のもとへの労働の形態的包摂」
第3項 「資本のもとへの労働の実質的包摂」
第2節 マネジメントの要請とテイラーの科学的管理
第1項 実質的包摂の媒介としてのマネジメント
第2項 ブレイヴァマンによるテイラーの科学的管理の分析
第3項 科学的管理の3つの原理
第3節 小括
第3章 資本主義的労働過程と労働者の自律性
第1節 2つの意味における自律性│「自律的統制」と付与された《自律性》
第2節 テイラーの科学的管理の深化としての《自律性》
第3節 小括
第Ⅱ部
実証編:労働者の労働過程への関わり
第4章 労働過程と労働者の技能
第1節 実証編における問い
第2節 先行研究
第1項 小集団活動における《自律性》の組織化
第2項 《自律性》から「自律性」への転化可能性
第3項 小括
第3節 分析対象
第1項 長時間労働
第2項 製造業との類似性と相違点
第3項 情報サービスという業務特性
第4節 仮説設定
第5章 情報サービス企業におけるマネジメント
第1節 調査の概要
第2節 対象企業の取引関係と指示系統
第1項 取引関係
第2項 組織内の指示系統
第3節 マネジメントの特徴と業務特性
第1項 Direct ControlとResponsible Autonomyの規定性
第2項 《自律性》を引き出すマネジメント
第4節 労働過程における知の管理
第1項 教育体制
第2項 中小企業における知の管理
第5節 小括
第6章 労働者の決定権と技能
第1節 調査の概要
第2節 プロジェクト管理と指揮命令
第1項 担当業務
第2項 リーダーによる指示の出し方
第3項 チームメンバーから見た指示のされ方
第3節 ITエンジニアの決定権
第1項 細分化された業務
第2項 決定権へのアクセス
第4節 ITエンジニアの技能
第1項 技能形成
第2項 技能と労働過程の結びつき
第5節 小括
第7章 労働者の技能と抵抗の契機
第1節 マネジメントと労働者の労働過程への関わり
第2節 実質的包摂を抑制する技能
第1項 指揮命令の受容と消極的抵抗
第2項 労働者による交渉と「自衛」
第3節 小括
第8章 裁量労働制と労働者の自律性
第1節 ITエンジニア1000人アンケート調査
第1項 回答者の概要
第2項 労働時間
第3項 業務に関する決定権
第2節 裁量労働制をめぐる労使関係
第1項 問題の背景
第2項 調査の概要
第3項 制度運用
第4項 《自律性》の悪用と労使関係による規制
第3節 小括
第9章 AIの導入と労働過程の変容
第1節 AIの導入と「構想と実行」の分離
第2節 テクノロジーと労働過程の再編
第3節 AIの導入事例とその機能
第1項 AIによる探索
第2項 アラートとして機能するAI
第4節 労働過程におけるAIと実質的包摂
第1項 熟練技能の不要化
第2項 実質的包摂としてのAI
第5節 小括
結論
あとがき
参考文献
上記内容は本書刊行時のものです。