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十六の言葉
原書: Sechzehn Worter
- 出版社在庫情報
- 不明
- 初版年月日
- 2023年9月
- 書店発売日
- 2023年9月20日
- 登録日
- 2023年6月9日
- 最終更新日
- 2023年8月31日
受賞情報
オーストリア書籍賞新人賞、 モルゲンシュテルン文学賞、 ケルン市書籍賞
書評掲載情報
2023-11-05 | 読売新聞 朝刊 |
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紹介
21世紀世界文学の最先端がここに。ドイツ語圏の移民文学の旗手が書いたデビュー作、ついに邦訳。三つの文学賞を受賞した注目の小説です。
イランで生まれドイツで育った女性モウナーが主人公。彼女の心の軌跡が大変見事に描かれた作品です。祖母の葬儀に出席するために母とイランに戻ったモウナーは、その旅の間に自分の人生を振り返ります。イスラーム文化とドイツ文化のはざまで、自分を見失うことなく生きていく重要性を改めて認識するのです。思い出すのはもちろん亡くなった祖母のこと。仲のよかったドイツ人の旧友のことも記憶に蘇ります。父はイランからドイツに亡命し、最後は失意のうちに亡くなりました。20代でしばらくイランで過ごした時に知り合った人たち。やがて自らの出生に関わる衝撃的な事実が明かされることになります。
タイトルの「十六の言葉」はペルシャ語です。ドイツでドイツ語を日常的に使って生活をしている彼女にとって,ペルシャ語は、難しい位置にあります。
「誰しも人生で最初に覚える言葉がある。その言葉が見事に私を不意打ちにした。ちょうど、ここで取りあげる十六の言葉と同じように。その言葉から身を守ることは、ただの一度も成功したことがない。『ほかにも言語はあるんだぞ。おまえの母語だ。おまえがいま口にしているのがお前の言語だと思ったらまちがいだ』十六の言葉は繰り返しそういうメッセージを送りつけてきた。私は何度も何度もその十六の言葉を突きつけられてきた。」(プロローグより)
著者自身も幼い時に母親とイランからドイツに移住しています。この物語には恋愛もあり、文化の葛藤もあり、そして死もあります。二つの言語の狭間で成長していくことが、どんな困難を引き起こすのか、これは私たちから遠い物語ではありません。今日の世界で様々な形で起きていることですが、この小説はそれを昇華させた見事な文学作品として読むことができます。
目次
この小説を読む前に
プロローグ
1 マーマーン・ボゾルグ おばあちゃん
2 モルデシュー 納棺師
3 コス 陰部
4 ハーステガール 求婚者
5 チューべ・ド・サル・ゴヒー 両端に糞がついた棒
6 チューべ・ド・サル・タラ― 両端が黄金の棒
7 エザーフェ・バール 超過手荷物
8 アナール ザクロ
9 ガリーベドゥースト 外面がいい奴
10 シェルキャテ・ナフト 石油会社
11 バーバー・アーブ・ダード 父さんが水をくれた
12 ナルムコナンデ コンディショナー
13 ジュージェ ヒヨコ
14 チャハール・ラーフ 四本道
15 ドル―グ 嘘
16 アーザーディー 自由
訳者あとがき
上記内容は本書刊行時のものです。