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ここちよい近さがまちを変える/ケアとデジタルによる近接のデザイン エツィオ・マンズィーニ(著) - Xデザイン出版
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ここちよい近さがまちを変える/ケアとデジタルによる近接のデザイン (ココチヨイチカサガマチヲカエル ケアトデジタルニヨルキンセツノデザイン)
原書: LIVABLE PROXIMITY : Ideas for the City That Cares

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A5判
348ページ
並製
価格 2,400円+税
ISBN
978-4-910984-02-5   COPY
ISBN 13
9784910984025   COPY
ISBN 10h
4-910984-02-X   COPY
ISBN 10
491098402X   COPY
出版者記号
910984   COPY
Cコード
C2036  
2:実用 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2023年11月1日
書店発売日
登録日
2023年10月6日
最終更新日
2024年4月12日
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重版情報

2刷 出来予定日: 2024-05-01
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5ヶ月で初版完売!著者エツィオ・マンズィーニ氏、6月に来日記念講演決定!ぜひこの機会に!

紹介

パンデミックによって現代の暮らしに生じた、大きな変化。オンラインサービスやリモートワークの普及で自分の家に閉じこもる生活スタイルも一般的になりましたが、“ふれあうこと”や“近くにいること”の大事さに世界中の誰もが気付かされました。そのアプローチとして大きな示唆を持つのが、「Livable proximity=ここちよい近さ(近接)」。イタリアのデザイン研究者でありソーシャルイノベーションとサスティナビリティデザインに関する第一人者エツィオ・マンズィーニが著してくれるこの視点は、国のボーダーを超えてこれからの時代の“まち、地域、都市、ケア、コミュニティ、デジタル、経済、デザイン”への見方を変えてゆくと考えてやみません。本書は彼が記した「Livable proximity -- ideas for the city that cares」の翻訳書として、ポストコロナにこそ意味を放つこの視点・考え方・アプローチを我が国に広く伝えることを目的に、日本版オリジナルコンテンツとして当文脈における意義深い日本の事例や解説も追加されています。人類が“今までの生き方で良かったのか?”問われているとも言えるこの時代に、新たなる希望の一歩を踏み出すためのマイルストーンともなりえる一冊です。

目次

はじめに

第1章 近接とは何か?
1.1 近接とは何か?
1.2 機能的近接と関係的近接
1.3 多様化した近接と専門化した近接
1.4 技術イノベーションとハイブリッドな近接
1.5 ソーシャルイノベーションと関係的近接
1.6 文化のイノベーションと「人間以上(モア・ザン・ヒューマン)の」近接
1.7 住みよい近接

第2章 近接の都市
2.1 コモンズとしての都市
2.2 距離の都市とその危機
2.3 競合するシナリオ
2.4 すべてを15分以内で、しかしそれだけではない
2.5 機能的近接と「最小生態学的ユニット」
2.6 関係的近接、ローカルネットワーク、コスモポリティズム
2.7 機能的近接と関係的近接の双方向のつながり
2.8 出会い、出会う場所、都市の微細な次元
2.9 ローカルコミュニティ、多様化した近接、レジリエンス
2.10 街路、広場、コモンズ、そして近接

第3章 ケアする都市
3.1 ケアと近接、ケアは近接である
3.2 ケアはケアワークでもある
3.3 ケアなき都市
3.4 コラボレーションを支えるサービス
3.5 ケアのコミュニティ
3.6 ケアする近接
3.7 ケア、コミュニティ、ハイブリッドな近接
3.8 ケアワークの再分配
3.9 新たな時間のエコロジー
3.10 密度と近接の経済

第4章 近づけるためのデザイン
4.1 機会のプラットフォームとしての技術的インフラと社会的インフラ
4.2 距離の都市から近接の都市へ
4.3 社会的会話の刺激とアトラクター
4.4 プロジェクトの織り成すコミュニティ
4.5 構築と再生
4.6 英雄的段階から変容する通常性へ
4.7 近接のデザインと近接のためのデザイン
4.8 コミュニティ、近接、プロジェクト

付録1 目の前に近づいている未来、近接の都市とデジタルプラットフォーム
(イヴァナ・パイス 著)
付録1.1 デジタルプラットフォームの概念を定義する
付録1.2 住みよい近接のプラットフォームとガバナンスへの問い
付録1.3 デジタルプラットフォームの関係的な(ただし、それだけではない)側面
付録1.4 都市型プラットフォームとローカルルーツ
付録1.5 目の前に近づいている未来:新たな「地域コモンズ」としてのプラットフォーム?

付録2 日本語版解説と日本での事例
(安西洋之、本條晴一郎、澤谷由里子、森一貴、山﨑和彦、山縣正幸 著)
付録2.1 欧州のまちづくりの参考のしかた
付録2.2 複雑系としてのコミュニティとケアの倫理
付録2.3 近接の都市が描く世界
付録2.4 豊かな一時的近接からはじまるうねり。産業観光イベントRENEWの事例
付録2.5 近づけるためのデザイン(近接のデザイン)とすさみ町の事例
付録2.6 協同とそれを可能にする組織形態と八尾市の事例

著者、寄稿者、翻訳者、協力者

前書きなど

この本を手にとってくださった方たちへ

 パンデミックによって、私たちの生活に大きな変化がありました。オンラインサービスの充実やリモートワークの普及によって、自分の家にとじこもる生活スタイルも一般的になったのも、そのひとつです。
 さて、これからの私たちの生活を考えてみると、「ふれあうこと」や「近くにいること」が大事なことに気づきます。そのようなアプローチの基本となるのが「ここちよい近さ(近接)」です。この視点は、まち、地域、都市、ケア、コミュニティ、デジタル、経済、デザインへの見方を変えてゆくでしょう。

 本書の著者、エツィオ・マンズィーニはイタリアのデザイン研究者であり、ソーシャルイノベーションとサステナビリティのためのデザインに関するリーダー的存在です。彼の著「Livable proximity -- ideas for the city that cares」は、これからのソーシャルイノベーションに重要な示唆を与えてくれます。その日本語版は、マンズィーニのソーシャルイノベーションへの考え方と「ここちよい近さ(近接)」という視点を日本に適用することを目的としています。日本では、都市だけでなく、地域も含めて、広い意味で「まち」という観点が欠かせないので、本文では「都市」としていますが、本書のタイトルでは「まち」としています。

 ここで、マンズィーニの本を理解するに助けとなることを書いておきましょう。彼自身の考えに影響を与えた4つのことです。

 まず、1968年、世界の先進国の若者の間で広がった価値観の転換を目指した運動に彼自身が関わり、そこから「グリーン革命」に目を向け、一貫して環境問題に関心を持ち続けてきました。2つ目、イタリアのトリエステの精神科医であるフランコ・バザーリアが隔離された精神病棟の廃止を政府に働きかけ、1978年、それが法制化に至ります。誰が精神異常で誰が正常であるかは誰も決められない。この認識のもと、誰もが同じ空間で生きられるようにしたのです。3つ目が1989年にピエモンテ州でスタートしたスローフード運動です。量ではなく質を重視するあり方と、この運動の進め方が世界を変えていく新しいデザインのあり方を示していることにも感銘を受けます。4つ目は、ノーベル経済学賞も受賞したアマルティア・センの「ケイパビリティ・アプローチ」です。誰もがそれぞれに能力をもち、人が何かをしやすい環境をつくるのがデザインの役割であるとマンズィーニは気づきます。

 個人の潜在能力に対する見方、その活かし方、そのときのデザインの役割、これらを世界が気候変動と経済格差で騒然としている今の時代にどう適用するか、と本書のテーマが繋がっています。その彼が、本書について、次のように語ります。「本書はできるだけ多くの人に読んで欲しいです。しかし、哲学的な対話ですから、読者にそれなりの素養を求めざるをえないのはわかってください」 その意図するところは、腑に落ちるには時間がかかる、ということです。しかし、誰もが理解できる日がくるはずです。

 この本は、まち、地域や都市に関心がある人、これからのソーシャルイノベーションの実践に関心がある人、広い文脈でのケアに関心がある人、次世代のデザイン思考やデザイン文化に関心がある人、デジタルやプラットフォームに関心あるエンジニア、都市やデザインの研究者などには、ぜひ読んでもらいたい本です。

 本書は、4つの章で構成していますが、1章は「近接とは何か?」という哲学的な内容、2章は都市と事例、3章ではケアと事例、4章はデザインと事例に関して掲載しています。付録1はイヴァナ・パイス著のデジタルプラットフォームに関する文章です。そして付録2は日本語版解説と日本における事例になっています。もし1章を読んで難しいと感じたら、2章や付録2から読み始めてみるとよいと思います。そして最後に1章を読むと、この本の全体像が把握できると思います。

 最後に繰り返しますが、この本には難しい概念もあります。しかし、後半の事例なども参考にしながら読み進んでいただけると、マンズィーニの考え方の素晴らしさにじわじわと気づいていただけるはずです。

翻訳者を代表して、安西洋之、山﨑和彦
2023年11月1日

版元から一言

人間は進化していく現代生活において利便性を追求していく中で、どんどん個人化してきました。エゴや欲求が果てしなく肥大する一方で、地球や環境が“このままではもたない”という明確なシグナルを発するようになったこの時代に全世界に等しく出現した、パンデミックという空白。突如人類に訪れたゆるぎようのない孤独は、“私たちがどう未来をつくっていくべきか?”という問いにも大きな示唆を与えてくれました。デジタルで乗り越えられた重大インシデントもたくさんありましたが、重要なのは「人は、人と生きていきたい」という人間が持つ根源的な情動に世界中の誰もが否応なく気付かされたこと。本書は、イタリアのソーシャルイノベーションの識者がそのためにどう個人を超えて「人と人」になっていくとよいのか、繋がりや近さ、関わりや結び付きを軸に、ケアやコミュニティ、デジタルや経済という視点で、これからの時代を彩るべき人間らしい生き方のデザインについて、豊富な事例とともに考察を深めています。人間にとって幸せとは何か……?ページをめくれば、都市にも地域にも通じる普遍的な答えが垣間見えることでしょう。

著者プロフィール

エツィオ・マンズィーニ  (エツィオ マンズィーニ)  (

イタリアのデザイン研究者であり、ソーシャル イノベーションとサステナビリティのためのデザインに関するリーダー。現在、ミラノ工科大学名誉教授、同済大学(上海)及び江南大学(無錫)客員教授。イノベーションとサスティナビリティのためのデザインに関する国際ネットワークであるDESIS の創設者。これまでに、エリサバ デザイン スクール アンド エンジニアリング(バルセロナ)やロンドン芸術大学(ロンドン)など世界各地の大学で教えてた。代表的な著書は、「日々の政治 ソーシャルイノベーションをもたらすデザイン文化」、「Design,When Everyone Designs」と最新著書として「Livable Proximity: Ideas for the City That Cares」など。

安西 洋之  (アンザイ ヒロユキ)  (監・訳・解説

モバイルクルーズ(株)代表取締役。De-Tales Ltd. ディレクター。東京とミラノを拠点とするビジネス+文化のデザイナー。欧州とアジアの企業間提携の提案、商品企画や販売戦略等に多数参画してきた。同時にデザイン分野や地域文化との関わりも深く、ユーザビリティやローカリゼーション、意味のイノベーションの啓蒙活動、ラグジュアリー領域のイノベーション等に関与。著書に『「メイド・イン・イタリー」はなぜ強いのか? 世界を魅了する〈意味〉の戦略的デザイン』など。共著に『新・ラグジュアリー 文化が生み出す経済10の講義』、『デザインの次に来るもの』。監修に、ベルガンティ『突破するデザイン』。訳書に、マンズィーニ『日々の政治 ソーシャルイノベーションをもたらすデザイン文化』。

山﨑 和彦  (ヤマザキ カズヒコ)  (監・訳・解説

(株)Xデザイン研究所共同創業者/CDO、Smile Experience Design Studio 代表。京都工芸繊維大学卒業後、クリナップ(株)、(株)日本IBMにてプロダクト、ソフトウェア、サービス等のデザインとコンサルティング担当、日本IBM UXデザインセンター長(技術理事)、千葉工業大学デザイン科学科/知能メディア工学科教授、武蔵野美術大学教授を経て現職。神戸芸術工科大学博士(芸術工学)号授与、東京大学新領域創成科学研究科博士課程単位取得満期退学。IBM社Academy of Technology、グッドデザイン賞選定委員、日本デザイン学会理事を歴任。主著に「うれしい体験のデザイン」等。

本條 晴一郎  (ホンジョウ セイイチロウ)  (訳・解説

静岡大学学術院工学領域事業開発マネジメント系列准教授。東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻および法政大学大学院経営学研究科経営学専攻修了。博士(学術)および博士(経営学)。学術振興会特別研究員、東京大学東洋文化研究所特任研究員、NTTドコモモバイル社会研究所副主任研究員等を経て現職。力学系理論、複雑系科学、脱植民地化の研究を経て、現在は市場創造としてのソーシャルイノベーションおよびブランディング等の経営学的対象を、サイバネティクスを中心とした学際的な観点から研究。著書に『消費者によるイノベーション』、『1からのデジタル・マーケティング』(共著)、『災害に強い情報社会』(共著)など。

森 一貴  (モリ カズキ)  (訳・解説

参加型デザイナー、プロジェクトマネージャー。フィンランド・アールト大学デザイン修士課程修了。山形県生まれ。東京大学教養学部卒業。コンサルティング会社勤務を経て福井県鯖江市へ移住し、越前鯖江の産業観光イベント「RENEW」や「ゆるい移住」など、持続可能な地域を目指すプロジェクトの企画・実施に携わる。また、福井県や鯖江市、エスポー市とのサービスデザインプロジェクトを実施。関心領域として、わからなさのなかで「ともにする」ことのデザインを探索している。RENEW元事務局長。シェアハウスの家主。受賞歴として令和2 年度国土交通省「地域づくり表彰」最高賞・国土交通大臣賞(地域づくり部門)など。

澤谷 由里子  (サワタニ ユリコ)  (訳・解説

名古屋商科大学ビジネススクール教授、Design for All(株) 共同創業者&CEO。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。(株)日本IBM東京基礎研究所にてIT及びサービス研究に従事。JSTサービス科学プログラムフェロー、早稲田大学教授などを経て、2018年より現職。JST COI -NEXT 共創・地域共創第1領域プログラムオフィサー、経済産業省産業構造審議会、サービス産業の高付加価値化に関する研究会、攻めのIT投資評価指標策定委員会の委員等。大興電子通信(株)社外取締役、ジャパンクラフトHD(株)取締役( 監査等委員) 等兼務。主著に『Handbook of Service Science Vol.2』、『Global Perspectives on Service Science: Japan』など。

⼭縣 正幸  (ヤマガタ マサユキ)  (訳・解説

近畿大学経営学部教授。関⻄学院⼤学⼤学院商学研究科博⼠課程後期課程単位取得退学。博⼠(商学)。専⾨は経営学史、とりわけドイツ語圏における経営学理論の展開と現代的意義の探究。最近は、サービスデザインや意味のイノベーションについて、経営学的な位置づけを試みている。2017年から価値創造デザインプロジェクトの名称で、プロジェクト型学修、協同的実践を展開中。もともとの関⼼領域は、⽇本の古典⽂芸(特に和歌と能)の美学的な考察。主著に『企業発展の経営学』、共著『DX時代のサービスデザイン』、論考として「方法としての経営学史」など。八尾市産業振興会議座長を歴任。

上記内容は本書刊行時のものです。