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かかし
原書: 稲草人
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2024年3月31日
- 書店発売日
- 2024年4月5日
- 登録日
- 2024年3月6日
- 最終更新日
- 2024年4月11日
紹介
魯迅に「中国の童話に独自の創作の道を切り開いた」と言われる葉聖陶(ようせいとう)の珠玉の作品集。表題作「稲草人(かかし)」(1922年発表)をはじめ、およそ100年を超えて読み継がれる珠玉の作品32篇を収録。真夜中の田園に立つかかしの目から、世の中に起きている悲劇を描く「かかし」。お金や財産に執着する人間を厳しく見つめる「旅行家」「大金持ち」。貧富の差、社会の不平等を描き出す「フラワーガーデンの外で」。人の心に根差す傲慢さを追及する「古代の英雄の石像」。アンデルセンの「裸の王様」のその後を皮肉をこめて語る「皇帝の新衣装」。中国の伝統的な教育の欠点への批判をさりげなく込めた「本たちの夜話」。仕事をするとはどんなことかを考えさせられる「カイコとアリ」「将来何をするか」など。童話というジャンルを超え、現代の大人が読んでもじっくり味わうに値する。
目次
この本を読んでくれるみなさんへ
小さな白い船/おろか者/一粒の種/地球/芳ちゃんの夢/新しい時計/アオギリの実/旅行家/大金持ち/コイの受難/涙/ガビチョウ/フラワーガーデンの外で/祥兄ちゃんの胡弓/目の見えない人と耳の聞こえない人/克宜くんの体験/足を引きずったおもらいさん/ゆかいな人/茶トラの子猫の恋の物語/かかし/羊飼いの少年/かしこい野牛/古代の英雄の石像/皇帝の新衣装/本たちの夜話/恥ずかしがり草/カイコとアリ/クマ夫人の幼稚園/将来何をするか/月娘の縁談/いちばん有意義な生活/鳥獣の言葉
作品解説
付録 作家のアルバム
前書きなど
田野の夜の風景とようすは、かかしだけが、いちばんはっきりと、いちばんよく知っています。彼は露がどのように草の葉につき、露の味がどんなに甘いかを知っています。彼は星がどのようにまたたき、月がどのように笑うかを知っています。彼は夜のがどんなに静かで、草花や樹木がどのようにぐっすりと眠るかを知っています。彼は小さな虫たちがどのように追っかけっこをし、チョウがどのように愛を語るかを知っています。つまり、夜のすべてを彼ははっきりと知っているのです。
これから、かかしが夜に見たいくつかのことをお話しましょう。……(「かかし」より)
上記内容は本書刊行時のものです。