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そして私も音楽になった
サウンド・アッサンブラージュの人類学
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2024年2月9日
- 書店発売日
- 2024年2月14日
- 登録日
- 2024年2月2日
- 最終更新日
- 2024年2月16日
書評掲載情報
2024-05-11 |
朝日新聞
49520号 評者: 望月京 |
2024-05-11 |
朝日新聞
朝刊 評者: 望月京(作曲家) |
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紹介
「音楽」は、一つの楽曲を意味する言葉にとどまらないだろう。
「音楽」には、作品そのものに本来備わる特質・構造・意味/メッセージだけでなく、それがあらゆるアクター(表現者・オーディエンス・空間や環境・音楽プレイヤーや音響機材・人間の身体/心情や音をめぐるコンテクストなど)をつなぎ合わせ、一つの塊のように統合させようとする力があるからだ。
本書では、このようにさまざまなものを編み込んでいく音楽の力(=サウンド・アッサンブラージュ)を包括的に表現し、「音楽」の持つ意味を大きく拡張していく。
世界各所で音楽や芸能に向き合ってきた人類学者、音楽教育の実践者や作曲家らが、「音が生み出される場」の豊かな描出を通じて、「音楽の力とは何か」という問いに言葉を与えようと模索する、新たな音楽の民族誌。
目次
〈序章〉「音楽の力」を取り戻すための試論
小西公大
第1部 つながる(媒介)
〈第一章〉音が編み込む力
―インド・タール沙漠の芸能世界が教えてくれたこと
小西公大
〈第二章〉「見せる場」から「音楽とともにいる場」へ
―ウガンダの学校と盛り場で
大門碧
〈第三章〉音を継ぎ合わせる「視線」
―インドの歌舞踊ラーワニーの舞台実践から
飯田玲子
第2部 うみだす(創造)
〈第四章〉醸される島の音の力
―三宅の声と太鼓が生み出すアッサンブラージュ
小林史子
〈第五章〉つながりを手繰り寄せる/選り分ける
―社会的存在としてのチベタン・ポップ
山本達也
〈第六章〉調を外れて響き合うトーンチャイム
―サウンド・アッサンブラージュの授業風景
石上則子
第3部 つたえる(継承)
〈第七章〉制度と情動をめぐる相剋
―東北タイのモーラム芸能にみる暴力・性・死
平田晶子
〈第八章〉一切をつむぎ、交感するアッサンブラージュの力
―高知におけるガムランプロジェクトの実践を通して
宮内康乃
〈第九章〉媒介、愛着、継承
―ソロモン諸島アレアレにおける在来楽器アウをめぐって
佐本英規
〈補論〉 仮想空間で音楽になること
小西公大
おわりに
前書きなど
「音楽の力」ってなんだろう?
本書は、世界各所で音楽・芸能世界に向き合ってきた人類学者たち、音楽教育の実践者たち、作曲家などによる「音が生み出される場」の豊かな描出を通じて、上記の問いに言葉を与えようともがく、そんな本である。
版元から一言
「音楽」は、日に日に身近になり、”デジタルデータとして”気軽に消費されるようになってきました。携帯電話一つで、誰もが再生でき、1億曲以上もの楽曲をいつでも聴くことができます。一方で、イヤホンから聴くのとライブで聴くのとでは、同じ曲でも全く異なります。これは誰もが経験的に理解できることではないでしょうか。では、この「違い」とはいったい何なのか?
本書はこのような小さな問いから始まります。そして「音楽」の持つ豊かさや、その多岐にわたる力について、世界各地のフィールドから言語化を試みる実験的な民族誌になっています。
上記内容は本書刊行時のものです。