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neoコーキョー1 勝手にカウント調査をはじめよう
14日間路上に座ってひとの数をかぞえつづけたらどうなったか?
- 出版社在庫情報
- 不明
- 初版年月日
- 2024年10月11日
- 書店発売日
- 2024年10月11日
- 登録日
- 2024年1月24日
- 最終更新日
- 2024年11月14日
紹介
身の周りをフィールドワークするハンドブックシリーズ第一弾。
日々、なにげなく通っている 歩道 や 街 の見えかたが変わる本。
14日間路上に座って、ひとの数をかぞえた記録。
「心細かった。いまからおれは池袋の路上で人の数をかぞえようとしている。街は日曜なりにそこそこ賑わっている。すわれそうな場所を探し歩くけれど、どこにすわっても白い目で見られる気がした」――(本文より)
歩道のすみっこに座る。前をひとが通る。親指でボタンを押す。カウンターがしめす数字が「000」から「001」になる。また、ひとが通る。親指を動かす――「002」になる。これを14日間続けながら、見えたもの、考えたこと、調べたことを記録した調査誌です。
・どうして歩道には自分しか勝手に座っているひとがいないのだろう?
・コロナウィルス感染症による緊急事態宣言下の街路はどんなふうだったか?
・人を「数」として捉えるとは、どういうことなのか?
・かぞえるのに飽きてきたら、人は何をかぞえるようになるのか?
・この道はいつからここにあるのか?
・街ゆく人からどんなふうに見られ、どんな言葉をかけられたか?
かぞえる対象は、通行人の数から、性別、姿勢、持ち物などと変わっていき、最後は?
連載陣による「マンガ」、「占い」、「フィクション」あり!
路上観察学の仕掛け人 林丈二による「絵巻物」あり!
シリーズ創刊一冊目だからこそ、全力で冒険した一冊。
【目次】
はじめに:neoコーキョーシリーズと焼き鳥
勝手にカウント調査2021(04.25-05.03)
#1 池袋の路上
#2 公共空間=チューブ
#3 接近
#4 1059人
#5 カバンの持ちかたは六種類しかない
#6 雨
#7 ひとびとを六つにふりわけてボタンを押す
マンガ
鮎川奈央子「ここ草っぱらキック」 第1話 なんだ!?
勝手にカウント調査2023(10.22-10.30)
#8 起用著名人
#9 装い
#10 (ノン)フィクション
#11 声
#12 スマホを手に持って歩く人の数
#13 ダンス
#14 発見の大小
占い&コラム
SUGAR「失われた世間を求めて」 第1回 世間師
世間をひろげる十二星座ラッキーモチーフ――脱社畜する島耕作編
絵巻物
林丈二「ボクは林丈二の思考です」 第1回 映画『シェーン』を観ようとしているときのアタマのなか
編集後期
Booklink
目次
はじめに:neoコーキョーシリーズと焼き鳥
勝手にカウント調査2021(04.25-05.03)
#1 池袋の路上
#2 公共空間=チューブ
#3 接近
#4 1059人
#5 カバンの持ちかたは六種類しかない
#6 雨
#7 ひとびとを六つにふりわけてボタンを押す
マンガ
鮎川奈央子「ここ草っぱらキック」 第1話 なんだ!?
勝手にカウント調査2023(10.22-10.30)
#8 起用著名人
#9 装い
#10 (ノン)フィクション
#11 声
#12 スマホを手に持って歩く人の数
#13 ダンス
#14 発見の大小
占い&コラム
SUGAR「失われた世間を求めて」 第1回 世間師
世間をひろげる十二星座ラッキーモチーフ――脱社畜する島耕作編
絵巻物
林丈二「ボクは林丈二の思考です」 第1回 映画『シェーン』を観ようとしているときのアタマのなか
編集後期
Booklink
前書きなど
はじめに――neoコーキョーシリーズと焼き鳥
半袖だったとおもう。ぼくらは帰りのバス停まで歩いていた。途中で、生垣《いけがき》を囲うコンクリートがつくるちょっとしたスペースにふたりして座った。目の前に見えるマンションの背は高く、小学六年生だったから、今よりそれが大きく見えていた。
「知ってる?」サカボンがマンションを指差して言う。
「え、なにが」
「トイレがさ」
「ん? なに」
「あそこに縦に並んでるんだぜ。焼き鳥みたいに」
勝手にカウント調査とは、その名のとおり、カウンターを持って路上にすわり、好きな対象をかぞえる調査のことです。道を歩いていると、たまに簡単な椅子にすわってなにかをかぞえてるひとっていますよね。あの調査には、出店場所を決めるとか赤信号の長さを決めるとか目的がありますが、この調査にそのような目的はありません。思いつきで始めてみたわけです。いざ始めてみると数を記録することももちろんですが、それ以上に、いつも歩いている街や路地、通行人などについて考えることが日に日に面白くなっていきました。
調査を始めたのは二〇二一年春のこと。四月二五日。ふりかえるとそれは、東京で新型コロナウィルス感染症による三度目の緊急事態宣言がスタートした日でした。それでも街には、新入社員らしきスーツ姿の若者たちやアニメキャラクターグッズを買いに行くのであろう学生さんたち、仕事用らしき鞄を手に早足で歩く大人たち、キャリーケースを引いて歩くおばあちゃんたちなど、様々な体があり、それぞれの過ぎゆく生の数秒がありました。
街にじっとすわってカウンターを押していると、普段とはみえるものやきこえるもの、頭に浮かぶものがちがってきます。neoコーキョーシリーズがもくろんでいるのも、じつはそのような体験です。近くを冒険するためのとっかかりをつくること。そう言いかえることもできます。
たとえば、目の前にコップがあるとして。それをみて、ふと「このコップはどこのどんなひとが採取した原料からできているんだろう。これからどんなひとの手を渡ってゴミになり、処分されるのだろう?」と想像し、想像するだけでも十分冒険ですが、そこからじっさいに動いて調べてしまうようなこと。わたしのとなりに座っているひとは、どんなふうにわたしとは違った本の読みかたをするのだろう?/紙に炎という文字が書かれてある。この黒い線分をみると〈炎〉という〈感じ〉が浮かぶけれど、これは魔法みたいではないか?/わたしの両親や祖父母は、どんなふうにわたしが生まれる前を生きてきて、その経験はどのように自分に受け継がれているのだろう?
とこんなふうに、近くをぼーっと眺めていると、日常に隠れた宝箱がみえてくることがあります。それらを現地まで行ってひとつずつひらいていく。neoコーキョーはそんなシリーズです。
この本は、実はぼくにとって初めての出版物です。手に取っていただいた方、ひとりひとりに会いに行きたいと思うほど嬉しく、また緊張しています。今後ともどうぞよろしくお付き合い下さい。
それでは、前書きはこのへんにして近くの冒険に出ましょう。今回の「近く」は路上。
みなさんの街やその路地にはどんな時間が流れていますか?
版元から一言
「考えたことなかった!」がここにある
『近くを冒険するハンドブックシリーズ』 neoコーキョー創刊号です!
上記内容は本書刊行時のものです。