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深い中庭のある家
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2022年11月30日
- 書店発売日
- 2022年11月25日
- 登録日
- 2022年9月27日
- 最終更新日
- 2022年11月11日
書評掲載情報
2023-02-15 | 統一日報 第7531号 |
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紹介
休戦直後の混乱の最中
あの深い中庭のある家で
避難民も夢を追っていた
朝鮮戦争休戦の翌年、小学校を卒業したばかりの〈僕〉は、各地からの避難民で溢れる大邱で暮らすことになった。混乱した社会で生きる人々の哀歓が〈僕〉の周囲で起きるさまざまな事件とともに生き生きと描かれている。
発表から三十余年を経て、今なお読み継がれるロングセラー。
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「CUON韓国文学の名作」はその時代の社会の姿や
人間の根源的な欲望、絶望、希望を描いた
20世紀の名作を紹介するシリーズです
目次
主な登場人物
第一章
第二章
第三章
第四章
第五章
第六章
第七章
第八章
第九章
第十章
作家の言葉
訳者解説
前書きなど
【作家の言葉】
朝鮮戦争の休戦から間もない一九五四年には、誰もが大変な思いをして生きていた。うちも五人家族が一部屋で暮らし、苦労しながらその時代を過ごした。大邱で〈深い中庭のある家〉の下の家に住み、母が針仕事をして僕たち四人きょうだいを育てたのは実際の話だ。戦争で夫を失った母は剛直な女傑で、長男の僕は厳しくしつけられて成長した。その意味でこの小説は、かなりの部分が自伝的だ。しかしここに登場する避難民の家族が
全員同じ家に住んでいたわけではなく、大邱の中心部で五、六回引っ越すうちに出会った人たちを、この小説では一つの家に詰め込んである。この国の人たちみんなが三度のご飯を食べることすら難しかった時代ではあったけれど、今になって〈深い中庭のある家〉にいた頃を思い返せば、うちの家族はもちろんのこと、貧しい隣人たちの姿が、厳しい冬を越した早春の野原の麦みたいに痛々しく、しかし生き生きと思い起こされる。それで、彼らのことを思いながら、貧乏を、絶望に向かう道ではなく希望に続く道として、あの家で過ごした貧しい日々を、いつか丘の上に家を建てて青空の近くで暮らしたいと願う人々の夢が秘められたものとして描きたいと思った。
時代が変わった現代でも、家のない貧しい人たちはそんな夢があるからこそ、今日の悲しみと苦難に耐えて一生懸命生きているのかもしれない。
二〇〇二年十一月 金源一
上記内容は本書刊行時のものです。