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つくる人になるために
若き建築家と思想家の往復書簡
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2023年8月20日
- 書店発売日
- 2023年7月28日
- 登録日
- 2023年6月16日
- 最終更新日
- 2023年10月30日
書評掲載情報
2023-10-07 | 毎日新聞 朝刊 |
2023-09-26 |
サンデー毎日
10月8日号 評者: 武田砂鉄 |
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紹介
自分にとって大切だと思うことを、思い切って言葉にする。
誰からも必要とされなくても、見向きもされなくても、声を発し続ける。
それが僕にとっての「つくる」ということ。
建築する日々に励みながら、旅先でのスケッチや執筆活動にも精をだす若き建築家と、奈良の山村に私設図書館をつくり、執筆や自主ラジオなど様々な形でメッセージを発信する若き思想家が、些細な日常の出来事や思索をつぶさにみつめて綴った往復書簡。
なぜ建築をつくり続けるのか、「ちょうどよく」働くことはできないのだろうか、私たちにとってお金とは何なのだろうかなど、ふたりの書簡は日常の些細な物事にふれながら、私たちが何気なく受け入れている社会の「常識」を揺さぶるような対話へ展開していきます。
モノづくりに限らない「つくる」行為を手がかりに、「人間という生き物」として暮らしていける社会を考え、生きるための土壌を耕すような対話が本書にはあります。
また、この本を彩るイラストを描いてくださったのは、「ルチャ・リブロ」で司書を務める青木海青子さん。クマとバイソンは著者ふたりのイメージキャラクター。対話のテーマによって、いろいろな姿をみせるクマとバイソンは必見です。
対話相手の知性に対する敬意を示すのは容易なことではありません。「打ち返しやすいボール」を打ち込むことではもちろんないし、かといって「打ち返せないボール」を打ち込むことでもない。そのあわいの、相手が最高のパフォーマンスを発揮できる球筋をピンポイントで狙う技術がふたりとも卓越しています。
――― 内田 樹
初版のみ、浮き出し(エンボス)加工、封蝋に見立てたシール付きの特別仕様です!
※シールは4色ありますが、本の内容はどれも同じです
目次
まえがき
LETTER #1 自分の地図をつくる
LETTER #2 はじまりを問い直す
LETTER #3 建築とは何か
LETTER #4 「ちょうどよい」を考える
LETTER #5 つくる人になるために
LETTER #6 お金とは何か
LETTER #7 つくることの喜び
LETTER #8 結界が生み出すもの
LETTER #9 生きるための建築
LETTER #10 現場に立つ
LETTER #11 偶然性を受け入れる
LETTER #12 汗水たらして働く
LETTER #13 自己変容を楽しむ
LETTER #14 分けずに受け取る
あとがき
後日譚
前書きなど
【「まえがき」より】
今考えると橋下氏が新自由主義的政策をはじめたのではなく、2002年にはじまる小泉純一郎首相がおこなった「聖域なき構造改革」の延長線上に、橋下氏は戦略的にセンセーショナルな形としておこなっただけだったのでしょう。ただ当時の僕は内田先生や中島さんに対して同意、賛同の声しか上げることができませんでした。もちろんそれで十分だったのかもしれませんが、自分は研究者であり、内田先生の弟子であるという自負のようなものを勝手に背負い、「シュートを打つ」必要があるのだと思いつづけてきました。
でもやっぱり、自分の言葉で声を上げたい。
いわゆるものづくりをするわけではない僕にとって、「つくる」とはこういう心情に基礎づいているのだと思います。それはまったくオリジナルの言い方、語彙を使用しなければならないということではありません。自分にとって大切だと思うことを、思い切って言葉にする。誰からも必要とされなくても、見向きもされなくても、声を発し続ける。とはいえ、いつ他人に聴いてもらってもいいように、その言葉、声自体は丁寧に磨いておく。「つくる」とは最初から完成品を求めることではありません。
【LETTER#5 「つくる人になるために」より】
人間は、誰もが何かを「つくる」ことで生きています。建築という言葉は、動詞だと構築する「つくる」という意味をもちます。食ベることと料理をつくることの関係のように、衣食住という命に近い行為のすべてが他者と協働しながら何かを「つくる」ことで成り立っています。この「つくる」ことを通して感じられる「喜び」があらためて個々人に問われているように思えてなりません。
上記内容は本書刊行時のものです。