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もうひとつの精神分析入門
こころというフィールドとの出会い
原書: Un invito alla psicoanalisi
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2024年6月30日
- 書店発売日
- 2024年7月5日
- 登録日
- 2024年5月7日
- 最終更新日
- 2024年7月4日
紹介
精神分析の歴史――①心の痛みを診る(フロイト)/②二人の交流を語る(ウィニコット)/③プロセスを捉える(ビオン)をお復習いし、この本では「もうひとつ」歴史が拓かれます――④空間そのものの語りに耳を傾ける(フィールド理論)――「この場=fieldで何が起こっているのか?」という感覚は、あらゆる心理支援、全ての対人援助につながります。私たちを取り巻く文化・社会・環境・空気… その「間柄aida-gara」や「場合ba-ai」を意識して臨床感性を磨く。そんな“フィールド臨床学”の誕生を告げる入門書です。
目次
第1章 精神分析とは何か?
古い言語と新しい言語
精神分析は癒すのか?
誰のための分析なのか?
分析家が耳を傾けることと、
友人や家族が話を聞くことに違いはあるのか?
信 頼 性
セッション頻度の問題
患者の訪れ
夢はいつも中心にあるのか?
第2章 無意識の発明
ジークムント・フロイト
メラニー・クライン
ドナルド・ウィニコット
ジャック・ラカン
ウィルフレッド・R・ビオン
第3章 夢と情動フィールド
夢と夢世界
フィールドの進展
臨床作業における夢
第4章 治療のさまざまな道具
催眠術からカウチへ
何度も思い出すこと
真実にむけた欲動
情動的共奏
転移性恋愛と依存
分析フィールドのモデル
原初的な心的状態と、到達不能な無意識
第5章 児童・青年の分析
第6章 精神分析はひとつなのか、
それともたくさんあるのか
無意識というバベル
新しいコモン・グラウンドに向けて?
イタリアにおける精神分析
用語解説
推薦図書
言語に耳を傾けること――日本の読者に向けた解題
前書きなど
監訳者「まえがき」より
私は、これまで背景に控えていた「臨床感覚」をより前面に出した入門書を書こうと思うに至りました。そろそろ、陰の主役を表舞台に登場させたくなったからです。そのことによって、理論や技術に留まらない臨床の“ライブさ”を、とりわけ若い人たちにお届けしたくなったからです。――その臨床のライブさの肝となるのが、精神分析でいう《逆転移》のテーマです。今回は逆転移が主役として躍り出ます。
版元から一言
【著者から ひと言】
『今日……ここに来るの、しんどかった』
『この場は、落ち着くんです』
セラピーをするなかで、このような発言をするクライエントに、一度ならず会ってきました。きっと、私だけではないでしょう。――これらの感情の向かう先はどこなのでしょう?
不思議なことに、ここ日本においては、クライエントの多くが、治療者との関連で直接的に感情を表明しないようです――これはあくまで私の肌感覚なのですが。
【著者から もうひと言】
これまで私は「この現象は、文化的な要因に起因している」と、ぼんやり考えていました。つまり、クライエントは治療者に転移の文脈で感情を向けているのだけれども、その感情を直接的には表現できないために、婉曲的に伝えてきているのだ、と。
しかし、私はこの精神分析的“フィールド理論”と出会うことで、別の視点を入手することができました。ひょっとすると、クライエントは“面接空間そのもの”を話題にとりあげているのではないか? と考えるようになったのです。
上記内容は本書刊行時のものです。