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川瀬巴水探索
無名なる風景の痕跡をさがす
- 出版社在庫情報
- 重版中
- 初版年月日
- 2022年11月7日
- 書店発売日
- 2022年11月11日
- 登録日
- 2022年9月14日
- 最終更新日
- 2023年9月10日
書評掲載情報
2023-02-12 |
読売新聞
朝刊 評者: 金子拓(東京大学准教授・歴史学者) |
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紹介
いまや、日本のみならず、世界でも大きく注目される川瀬巴水(かわせはすい)。
明治・大正・昭和の日本全国を旅して優れた風景画を手掛け、「旅情詩人」との高い評価を得ました。無類の旅好きの巴水は、「無名の、市井の、誰も注目しないような「ふとした景色」に無限の同情を寄せて(林望)」いました。
本書は、巴水の絵を持って、その描かれた場所(茨城や東京その他)を探索したものです。さまざまな発見が紹介されますが、言えることは、巴水の風景画は、その土地に立ってみなければ分からないことがたくさんあるということでした。巴水作品を地元から掘り起こすというのは、はじめての試みといってよいと思います。
巴水が亡くなってから六十五年。まだその風景の痕跡は残っています。巴水の見た世界やその当時の息吹、そして巴水の思いが次々と立ち上がってきます。結果、より深く巴水の絵を知ることができるようになります。
一体どこでこの絵を描いたのか? 茨城を中心に、東京、小樽を旅した、旅と探索の報告書です。推理小説的でもあり、読み物として面白い。またさまざまな発見のためのノウハウも満載。皆さんも、本書を片手に、ぜひ探索の旅に出掛けませんか。
推薦・林望(作家・書誌学者)「無名なる風景を逐一特定しつつあるのは、非常に大きな業績である」。
執筆は、林望(推薦文)、鈴木昇、染谷智幸、五十嵐俊之、柏原民代、加藤瑤子、小岩美帆、助川桂子、根本敬三、平山順子、深澤文子。初公開の関東大震災後の巴水東京スケッチもあります。フルカラーでお届けします。
目次
[巻頭特別寄稿]すべてはここから始まる(林 望)
[巻末推薦文](鈴木 昇)
1 探索エピソード
1 この石、ひょっとして(茨城「河原子乃夜雨」)(染谷智幸)
2 探し始めて一年半、ついに発見、兜作りの瓦屋根(茨城「金郷村」)(染谷智幸)
3 市松模様の着流し、女か男か、それとも……ふるさと東京のトワイライトゾーン(東京「大森海岸」)(染谷智幸)
4 巴水が「静寂な画趣」と、自画自賛した作品(北海道「小樽之波止場」)(助川桂子)
[はじめに]川瀬巴水の絵を持って小旅行に出よう(染谷智幸)
[略歴]川瀬巴水とは(染谷智幸)
[コラム]愚直の版画道―巴水の人生から見えてくるもの(小岩美帆)
2 巴水作品全県調査――何が分かるのか
1 巴水作品の県別・年次別調査報告(柏原民代)
2 調査の結果から見えてくるもの―巴水の目からすれば、茨城が全国魅力度ランキング第1位?(染谷智幸)
[コラム]地図で紹介する巴水と茨城(染谷智幸)
3 巴水の絵を訪ねる1 平潟の風景
「平潟東町」―巴水版画に織り込まれた世界(加藤瑤子)
4 巴水の絵を訪ねる2 五浦の風景
「五浦之月」―船を漕ぐ人、それは誰なのか(深澤文子)
[コラム]「金郷村」には何が描かれているか(助川桂子)
5 巴水の絵を訪ねる3 水木の風景
「水木の曇り日」―巴水の描いた道を〈大祭礼〉は通ったか(平山順子)
[コラム]河原子はひなびた漁村だったか(平山順子)
[コラム]新聞に載りました―巴水の水彩画発見など(染谷智幸)
◎小特集「巴水と東京」
初公開! 関東大震災後の巴水東京スケッチ(染谷智幸)
6 巴水の絵を訪ねる4 水戸・磯浜の風景
1 「水戸大野」―巴水の描いた家を探して(根本敬三)
2 「磯浜」―地元だからこそ気づいた時のうつろい(根本敬三)
[コラム]「水戸薬王院」の歴史と巴水(柏原民代)
7 巴水の絵を訪ねる5 浮島・潮来・牛堀の風景
1 浮島―巴水を魅了した景色がここにある(染谷智幸)
2 潮来・牛堀―巴水の見た水郷、一泊二日の写生旅行(柏原民代)
[コラム]「牛堀乃夕暮」―初摺と覆刻の違いから見えてくるもの(染谷智幸)
8 巴水と茨城キリスト教学園―依頼された水彩画とポストカード
[座談会]「川瀬巴水、誰ですかそれは?」(鈴木昇・五十嵐俊之・染谷智幸)
巴水と茨城関連年表(五十嵐俊之)
所収作品解題(染谷智幸)
[あとがき]巴水のご息女・川瀬文子さんを囲んだあの日(染谷智幸)
編者・執筆者紹介
上記内容は本書刊行時のものです。