書店員向け情報 HELP
出版者情報
在庫ステータス
取引情報
いそがばまわれ
社会を楽しくするのが 福祉のミッションだろ?
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 書店発売日
- 2021年6月1日
- 登録日
- 2021年4月20日
- 最終更新日
- 2022年3月3日
紹介
「まちをつくるのはだれだ?」
そんな疑問を明らかにすべく、ごく普通のまちの人たちを取材するのは、滋賀・大津の障がい福祉NPO法人「ブラフアート」。
あのオジサン、こんなことしてたのか。あのオネーサン、あんなことしてたのか。
一人一人の日常を丁寧に聞き取ることで、見えてくる私たちの「まちのかたち」。
じっくり知り合ってみれば、あの人もこの人もみんなこんなに愛おしい。
帯コメントは、『まともがゆれる』(朝日出版)著者の京都・障害福祉NPO法人「Swing」理事長・木ノ戸昌幸氏「美化も憐みも、称賛も謙遜もない。ただただ普通な、すごい人たち」。
前書きなど
BRAH=art.はじめます。
「障がいがあろうとなかろうと、好きなこと・得意なことを仕事にして精一杯生きる!」
をモットーに、2014年9月NPO法人「BRAH=art.」(ブラフアート)はスタートしました。
インド哲学には、「ブラフマン=世界の成り立ち」とは「アートマン=一人の成り立ち」と同 じである、という考え方があるそうです。であるならば、一人の障がいがある人の人生が変わ れば、社会全体が変わるはず。そんな想いを込めて、ブラフアートと名付けました。
古くからの街並みと、新興住宅地が混在するまち
私たちが活動する、滋賀県大津市の瀬田地域は、琵琶湖から唯一流れ出る淀川の源流「瀬田川」に面した平地にあります。まちのシンボルは「瀬田の唐橋」。かつては、琵琶湖を唯一陸路で渡れる手段として、交通の要所とされていました。戦国時代には、都入りを狙う武将たちから「唐橋を制する者は、天下を制す」とも言われたそうです。
現在では、東海道本線(現在のJRびわ湖線)や国道一号線といった幹線が整備され、京阪神のベッドタウンとして若者世帯の人口が急増しています。古くからの街並みと、新興住宅地。生活様式も、価値観も全く違う人たちが混在するまちになりました。転入した人たちが土地の文化・産業に触れる機会は少ないため、その継承が難しくなってきています。
施設の中を飛び出して、地域社会の中で活動しよう
ブラフアート設立前、地元神社の境内で月に1度開催されている朝市に、法人を創るためのPR活動としてスタッフたちが参加を始めました。設立後は、メンバーがライブペインティングを披露したり、記録写真を撮って回ったり。そのうちに運営にも誘われ、地元の業者さん、作家さん、商工会などたくさんの方とつながりが生まれました。
まちづくりの会にも携わり、子ども食堂の立ち上げにも、地域で力を合わせました。ブラフアートをまちなかに誘いだしてくれたのは、このまちのみなさんでした。
その経験から、ブラフアートの活動は、すべて地域社会の中で行おうと事業を展開してきました。
まちづくりって福祉の仕事だろ?
ブラフアートは、障がい者の日中活動を支援する事業所を4施設、滋賀県産食材とアーティストを応援するカフェ&ギャラリー「spoons」(スプーンズ)を運営しています。その中のひとつ「office-cosiki」(オフィスコシキ)はまちづくりに携わるグループで、この本では黒子的役割をしています。「轂(こしき)」とは、車輪と軸をつなぐ存在。自分たちが真ん中ではなく、「いろんな人たちが『ここに住み続けたいなあ』と思うまちにしたい」という目的を真ん中に置いたとき、人と地域をつなぐ存在で在りたいと思っています。
例えば、電動車いすで生活しているメンバーは、「学習格差を解消したい」と、周辺地域の子どもたちに勉強を教える場を始めました。地場産業を体験してもらう社会科見学の企画もしています。また、寝たきりで医療的ケアが必要なメンバーは、可愛い雑貨好きが高じ、県内で活動するアーティストの作品を仕入れ、カフェで販売したり、個展を企画したりしています。
この本は、ブラフアートに「地域をつなぐ存在になりたい」と思わせてくれた、このまちの人たちの姿を綴りました。私たちは、この本に出てくる人たちをつなぐ存在として、まちづくりに参加しています。
これまで地域から「支援される側」であった障がい者福祉の世界が、地域を「支援する側」になる。新たな観点からのまちづくりのご提案です。
版元から一言
滋賀・大津の障がい者福祉NPO法人「ブラフアート」が、まちのごく普通の人たちの取材を通じて、「まちをつくるのはだれか?」の問いを明らかにしていきます。障がい者福祉の父・糸賀一雄の精神を受け継ぐ「いるだけでかがやくいのち」をまちづくりに実践する試み。本書に帯を寄せてくださった『まともがゆれる』(朝日出版)の著者・木ノ戸昌幸氏のインタビューも必見です。
上記内容は本書刊行時のものです。