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ストリップ劇場のある街、あった街
浅草・新宿・船橋・札幌の〈ピンク文化〉とそれを支えた人びと
- 出版社在庫情報
- 不明
- 初版年月日
- 2024年12月1日
- 書店発売日
- 2024年12月1日
- 登録日
- 2024年11月20日
- 最終更新日
- 2024年11月26日
紹介
かつて大きな街にも小さな町にも、住宅街のはずれや田畑の真ん中にも、ストリップという伝統芸の〝小宇宙〟があった⸺。元ストリッパー早乙女宏美が愛してやまない街と人と劇場を訪ね歩く、踊り子自身による〈ピンク文化〉の風土記です。
目次
まえがき
第一章 浅草
1 浅草との出会い
温かい街・浅草/浅草フランス座に魅せられて
2 焼け野原から夢を売る街
風俗ライター・吉村平吉氏に聞く/エノケン/浅草の戦中・戦後/これからは美しい女の裸ですよ
3 浅草ストリップ
ストリップのはじまり/ダンサーの転向/ジプシー・ローズの登場/珍名な舞台タイトル合戦/女剣劇/円形舞台デベソの設置/責め絵師・伊藤晴雨
4 転換期
脱ストリップ/ヒモさんの役割/ストリップ業界の危険/踊り子の自殺/フランス座の転機/ジプシー・ローズの死/関西ストリップのトクダシ
5 復活への望み
ライティングの重要性/ロック座の名物ママ/浅草フランス座の復活/浅草気質/コントさんと踊り子の関係/元ライバルの共演/アイドルはアイドルらしく/フランス座の終焉/二〇〇〇年代の変化
第二章 新宿
1 消失と再生の反復
新宿への目覚め/新しい宿の誕生/光は新宿より/進駐軍のために
2 額縁ショウから裸ショウへ
ヴィーナス誕生/欲望の焔/本格ストリップの始まり/新しい取り組み/なくてはならない裸ショウ
3 街の開発
歌舞伎町の始まり/赤線廃止/全ストショーのお目見え/アングラブーム/西口開発/家畜人ヤプー/ハードショー誕生
4 変容する性
「ビニ本」「ノーパン喫茶」の登場/楽屋風景/ソフト風俗店/ストリップショーの改革/サヨナラ新宿モダンアート/AVチーム登場/SM大会/煎餅持ってこーい!/シロウト時代
5 合法化の流れのなかで
地下に潜る性風俗/SMの再来/さらば新宿歌舞伎町
第三章 船橋
1 大戦景気と大震災
住宅街ど真ん中のストリップ劇場/街と遊郭
2 もっともハードな劇場
ストリップ誕生/レスビアンショー登場/千葉県で広がるストリップ劇場/獣姦ショー/菩薩の姿と言われた一条さゆり/マナ板ホンバンショー
3 さまざまな人間模様
動乱のとき/ご近所との付き合い方/踊り子とお客の距離/西船橋駅ホーム転落死事件/若松劇場の従業員/若松劇場もアイドル小屋に/タンバリンとリボン
4 復活をかけて
街の匂い/企画プロデュース/変化する若松劇場/時代の移り変わり/船橋文化の終焉
第四章 札幌
1 遊廓からの出発
夢の札幌/ススキノ誕生/戦後娯楽の復興/狸小路
2 引き上げ者の街
ストリップ劇場誕生/オデオン興業/ストリップ劇場狂乱/子どもから見た大人の街/ススキノビル化のウラに
3 北の楽園
時代の移り変わり/ディスコブームとトルコ風呂の増加/新風営法/ソフト風俗の流行/ストリップ新時代/札幌道頓堀劇場/またしても風営法の壁が
4 人と人の交わりを求めて
そしてススキノは/藤野羽衣子のススキノ/私が感じたススキノ
参考文献
年表
昭和・平成・令和のストリップ劇場⸺あとがきに代えて
前書きなど
先輩たちの話を聞くうちに、私は踊り子の仕事だけでなく、日本のストリップ界そのものに興味を持つようになった。ねえさんたちがプライドとともに語るストリップという「芸」にはいったいどんな歴史があるのか。またそれと同時に、ストリップのある街についても興味を持つようになった。ストリップ劇場は決して大きな街や繁華街ばかりにあるわけではない。小さな町や住宅街のはずれにもあるし、畑や田んぼのど真ん中にもある。その土地にはどんないわれがあり、なぜそこにストリップ劇場が残っているのか⸺。私は仕事の合間にストリップ劇場のあるさまざまな街を歩き回り、そのいわれを知っている人を探しては話を聞いた。……「まえがき」より
版元から一言
かつてはどこにでもあったストリップ劇場ですが、AVブームや〝性産業〟の多様化、コロナ禍による経営難・踊り子不足などでその数は激減し、現在、全国で残っている劇場は17館。その来し方行く末を、元〝特殊系〟ストリッパーが、ストリップ劇場がある(あった)街の歴史にまで遡りながら、また踊り子たちの実生活や舞台への思いなども伝えながら、20年以上かけて書き残した貴重な記録です。
上記内容は本書刊行時のものです。