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模擬授業 その効果と活用
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2024年12月2日
- 書店発売日
- 2024年11月29日
- 登録日
- 2024年11月6日
- 最終更新日
- 2024年11月29日
紹介
模擬授業とは授業上達への王道にして、最良の近道!
極めて具体的、直接的な行為、行動によって授業の技法を伝える方法です。
その開発者にして超一流の実践者である著者が、初めて詳らかにする模擬授業のすべて。
「先生方に「授業の話」をするだけでなく、先生方を相手にして、「授業をする」と分かりやすい。先生方への模擬授業は画期的な指導の方法だと思った。これが私の模擬授業の発祥である。。この時点では模擬授業とは呼ばずに「立体授業解説」と呼んでいた。」(本書p.13「模擬授業前史」より)
「模擬授業というのは、要するに先生方を子供に見立てて授業をすることである。あるいは、先生方に子供になったつもりで授業を受けてもらう方法である。/しかし、先生方は先生であって子供ではない。子供になんかなれっこない。そこで私は、模擬授業をするに当たっては先生方にいつも次のようなことをお願いしている。
1 むりに子供になろうとしないでください。自分の力いっぱいの考えをし、力いっぱいの発言をしてください。
2 子供だったら、などとは考えないでください。そういう「子供のふり」をしないで、一人の人間として力いっぱい授業を受けてください。
3 つとめてひねくれずに、素直な気持ちで授業を受けてください。自分に忠実になることが一番大切です。
要するに、先入観や使命感や義務感を捨てて、一人の平凡な人間に立ち返って授業を受けて欲しいということだ。そうすることによって、より純粋に授業を受ける子供の立場に近づき得るわけだ。」(本書p.15 「模擬授業に際してのお願い」より)
目次
第1章 模擬授業とは
1 模擬授業の発祥
【1】模擬授業前史
【2】「うとてとこ」の模擬授業
【3】模擬授業に際してのお願い
2 模擬授業と通常の授業
【1】情報・知識の入手、獲得――「入手、獲得」が多いほどよい授業なのだ
【2】解釈・技術の訂正、修正――「訂正、修正」が多いほどよい授業なのだ
【3】深化、統合――「深化、統合」が多くあるほどよい授業なのだ
【4】反復、定着――「定着」のための「反復」が多いほどよい授業なのだ
【5】上達、向上――「上達、向上」の事実が多いほどよい授業なのだ
【6】活用、応用――「活用、応用」させる場が多くあるほどよい授業なのだ
3 模擬授業と追試
【1】模擬授業の本来
【2】追試による普及、拡大
4 模擬授業の効用
【1】授業の醍醐味の体験
【2】授業技術の体得
【3】授業展開法の習得
【4】教材解釈の充実
【5】教科内容への開眼
【6】授業公開への自信
第2章 模擬授業と追試の類型
1 模擬授業の四類型
【1】示範・解説型模擬授業――授業技術の解説と指導が目的
【2】研修・協議型模擬授業――授業技術の練磨が目的
【3】研究・学会型模擬授業――学術的当否の吟味、研究が目的
【4】評価・判定型模擬授業――志願者の授業力の評価と判定が目的
2 模倣と追試の違い
【1】追試の四相
【2】「うとてとこ」は創案型追試
【3】それぞれの追試の型への期待
【4】「追試」論文への期待
第3章 模擬授業の構成要素
1 教授話法
◉教授話法六つの秘訣
【1】ゆっくり、はっきり
【2】聴衆反応の診断
【3】どんな話も「対話」が基本である
【4】一文を短くする
【5】具体例を引く
【6】キーワードを使う
2 発問の作り方、与え方
【1】「発問」は現場用語
【2】「発問」と「質問」は別物
【3】「発問」の教育的意義
【4】「発問」をつくり、発するのは教師
【5】「発問」の成立とそのメカニズム
【6】発問の効用は相互の落差の明示
【7】よい発問の条件
【8】発問の性格
【9】指導事項と発問づくり
3 板書法
【1】黒板がなかったら
【2】板書本来の目的
【3】「必要なこと」とは何か
【4】板書の機能特性を生かす
【5】板書文字の書き方
4 ノート作業
【1】ノートの三つの機能
【2】知的生産基地としての○ ×方式
【3】○ ×方式の問題点と対策
【4】形成的評価としての○ ×方式
【5】発言の一つとしてのノート
【6】ノート作業は全員参加の基本
【7】身につけたい四つのノート技能
【8】ノート技能を伸ばす方法
5 机間巡視
【1】机間でするのは「巡視」
【2】個別診断のために
【3】教師の指導に求められること
【4】机間巡視における言葉かけ
【5】机間巡視の具体的ポイント
【6】次の授業展開につなげる
6 指名技法
【1】指名の意義
【2】学習意欲を喚起する指名の技法
7 評価
【1】正解志向から変容志向へ
【2】一斉から個別へ――「挙手―指名」から「作業―巡視―指名」へ
【3】減点法から、加点法へ
【4】評価のキーワード
【5】一斉指導における評価
【6】学びに向かう力・人間性等を評価する
第4章 深掘り授業観
1 状況の論理と計画の論理――攻めの技術と受けの技術
【1】「指示」「発問」は、攻めの論理
【2】「受け」の論理はその場で授業者が生み出すもの
2 授業の「束ね」と学力形成
3 教材内容と教科内容
4 素材研究と教材研究
【1】素材研究の必要性
【2】事実を語ることはできる
【3】原文、本文を読み、書き込みをする
【4】野口流・教材研究の仕方
5 伝わること、伝わらないこと
【1】伝わる「技術」とその意義
【2】伝わる表情と雰囲気
【3】模擬授業でも伝わらないこと
第5章 模擬授業の実践事例
1 小学校一年「くじらぐも」
2 小学校四年「ごんぎつね」
3 小学校五年「大造じいさんとガン」
4 中学校 詩「青イ花」
終章 模擬授業の目指すところ
1 目指すべき授業の在り方
【1】上手い授業とよい授業
【2】研究計画
【3】研究と工夫
2 流行と不易
版元から一言
・本書では模擬授業の成り立ちや有効性を解説するほかに、模擬授業の構成要素(第3章)などを通して、教師が授業を行う際に求められる基本のスキルがわかりやすく整理され、授業名人が長年の指導経験を経て作り上げた授業の形やコツが惜しみなく披露されています。模擬授業の活用を考えている先生はもちろん、まずは本を読み指導技術を磨きたい先生にも役立つ一冊です。
・深い教材研究、子どもの集中力を高め学力を鍛える授業力、いくつになっても師道を追求し続ける姿勢…、魅力に溢れ多くのファンを持つ著者ですが、本書にはその論理性もよく現れています。発問づくりでは、その授業で教えるべき指導事項を明確化することが良問をつくるために必須とし、考案した専用シートを掲載。「発問は、教材の狙う理想と子どもの能力実態との間のずれがどの程度であるかを診断するためにつくられる。それだけではないが、少なくとも、そういう目的でつくられる発問が存在する。」(本書p.60)
・随所で説かれる教師観が心に届きます。「(略)子供への温かな心配りや誠実さを重視すべきであろう。これらは、学び手としての子供に対する大人としての関わり方の根本といえることだ。」(本書p.43)
上記内容は本書刊行時のものです。