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中国共産党聖地巡礼 関上 武司(著/文) - パブリブ
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中国共産党聖地巡礼 (チュウゴクキョウサントウセイチジュンレイ) 全土29施設潜入取材

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発行:パブリブ
A5判
縦210mm 横148mm 厚さ13mm
208ページ
並製
価格 3,200円+税
ISBN
978-4-908468-82-7   COPY
ISBN 13
9784908468827   COPY
ISBN 10h
4-908468-82-6   COPY
ISBN 10
4908468826   COPY
出版者記号
908468   COPY
Cコード
C0022  
0:一般 0:単行本 22:外国歴史
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2025年2月10日
発売予定日
登録日
2025年1月16日
最終更新日
2025年1月16日
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紹介

無神論国家で聖なる地はいかにして祀られるのか!?

『中国遊園地大図鑑』で 人気の関上武司が展示物・像・解説文を極秘撮影!!

浪漫・欺瞞・自己満に満ち溢れる紅色旅遊!

大躍進・文革大革命・天安門事件はなかった事に。

一周回って日本人には面白い!

目次

002 まえがき
003 目次
005 用語集
008 人名解説
012 抗日戦争年表

013 華北地方
014 天安門広場 数々の歴史的舞台になった中国を象徴する巨大な広場
018 毛主席紀念堂 華国鋒によって建設された毛沢東の遺体が眠る霊廟
020 中国人民革命軍事博物館 中国共産党の長期的国家戦略で近代化を図った人民解放軍
028 周恩来鄧穎超紀念館 毛沢東を生涯支えた総理と総理を生涯支えた賢夫人
036 華北革命戦争紀念館 抗日戦争の主戦場と国共内戦の革命拠点となった河北省
040 中国人民解放軍海軍博物館 原子力潜水艦を見学できる中国の海洋進出を正当化する施設
046 中国共産党グッズ

047 東北地方
048 東北抗聯博物館 極寒の地の抗日武装勢力と黒竜江省の歴史を展示
056 長春市南湖公園 数十万人の犠牲者を出した長春包囲戦の解放紀念碑
060 張氏帥府博物館 張作霖と張学良親子の歴史的事件を振り返る
068 大連博物館 日本とロシアの租借地だった国際的な港街の歴史を展示
074 撫順煤鉱博物館 当局へ忖度しながらも文化大革命を批判する炭鉱博物館
080 中国共産党的娯楽作品

081 華中地方
082 魯迅公園 20世紀を代表する中国現代小説家ゆかりの地
088 中国共産党第一次全国代表大会会址紀念館 中国共産党の結成と波乱万丈な運命の創設メンバー
094 杭州市革命烈士紀念館 地元の共産主義戦士を称賛大躍進と文化大革命は批判
100 中国共産党第五次全国代表大会会址紀念館 ソ連の派閥対立が中国共産党にも影響 第一次国共合作崩壊前の党大会
108 毛沢東同志旧居 毛沢東が2番目の妻、3人の息子、2人の弟と生活した武漢の住居
114 江沢民の揮毫

117 華南地方
118 南昌八一起義紀念館 中国共産党の軍事闘争の始まりと中国人民解放軍の創立記念日
124 江西革命烈士紀念堂 全国的に多い烈士と栄光の革命老根拠地
130 廬山会議旧址 彭徳懐の失脚と加速された大躍進の惨劇
134 韶山風景名勝区 政治家も観光客も押し寄せる再現された毛沢東の生家
144 毛沢東像

149 西北地方
150 梁家河村 若き日の習近平が下放された僻地に観光客が押し寄せる
156 延安革命紀念館 毛沢東に権力を集中させた整風運動による思想教育
164 楊家嶺革命旧址 延安での大生産運動と毛沢東思想の確立
170 鄧小平故里 改革開放に生涯を捧げた中国の最高指導者の故郷
178 重慶市人民大礼堂 鄧小平もかかわった重慶を代表する建造物
182 重慶中国三峡博物館 重慶の歴史・抗日戦争・三峡ダムに注目しよう
188 周公館 周恩来が指揮を執った中共中央南方局の拠点
192 桂園 国共両党の巨頭の重慶会談の現場
196 中国民主党派歴史陳列館 国民党政権の一党独裁にNo!中国の多党政治にYes?
202 公社食堂

204 参考文献
206 あとがき

前書きなど

拙作『中国抗日博物館大図鑑』は中国での抗日戦争をテーマにした博物館を紹介したが、今作は中国共産党にとって、極めて重要な場所=聖地の情報を収録している。冒頭は天安門広場から始まり、毛沢東や鄧小平の故郷、革命聖地の延安、若き日の習近平が下放された梁家河村も紹介している。コラムでは中国各地で見られる毛沢東像や江沢民の揮毫について分析。ちなみに胡錦濤は中国の歴代指導者の中でも常識人と思われ、この人物の関連施設、銅像、揮毫、特異な趣味といったエピソードは寡聞にして知らず、コラムのネタにならなかった。本書で扱う時期も中国共産党の結党から三峡ダム建設と前作と比べてかなり広くなっている。
現在の中国の博物館は基本的に入館無料というケースが多く、改修工事も進んでいるといった印象だ。中国政府のこのような博物館に対する方針については、称賛に価する。一方、日本では2023年に国立科学博物館が事業費・研究費捻出の苦肉の策として、クラウドファンディングを敢行していたが、本来は税金で解決するべき問題だろう。日本の博物館は老朽化も進んでおり、文化保全や研究は選挙の争点になりにくいのだろうが、税金の運用についてもっと真剣に考えた方がいい。
中国共産党は弾圧、2度に渡る国共合作、勢力温存に務めた抗日戦争を経て、国共内戦で国民党に勝利して中華人民共和国を建国している。中国共産党聖地は共産党による中国の支配の正当性を人民に訴えており、党への絶対的な忠誠を誓わされる入党宣詞も見られる。仮に日本の公共施設に政権与党への入党宣詞が設置され、「党の秘密を守り、党には永遠に逆らわない」などと書かれていたら、野党から総スカンをくらうだろう。毛沢東は「造反有理」と言っていたが、中国共産党のスローガンの激変ぶりに驚くばかりだ。抗日博物館では疑問点のある展示も多いのだが、現在の日本人が反省すべき点も見受けられた。個人的には日本軍が中国人を強制連行し、強制労働をさせた過去の展示が現在の日本の問題だらけの外国人技能実習制度とリンクしており、即刻、改善してほしいところだ。中国共産党聖地を巡礼者のように巡っていると、当初は小さな勢力だった共産党員が、数々の死線をくぐり抜けて新中国を建国した過程を追体験できるので、ドラマチックではある。例えば革命根拠地の延安は、抗日戦争中は日本軍に爆撃されていたことは、現地に行かなければ実感できなかった。各聖地では中国共産党の功績をアピールしているが、当局の重大な問題を隠蔽しようとする傾向については、鼻につく。毛沢東や周恩来の実績を紹介するのは理解できる。しかしながら、筆者が巡った聖地では、国家主席まで務めた劉少奇の写真や像はあっても、抗日戦争や国共内戦で何をしていたのか、わからない状態だった。紅色旅遊では重要な紀念館でも、文化大革命の際に亡くなった幹部については、生没年が明記されていないようだ。それでも意外だったのは、少数ではあるが大躍進や文化大革命の惨状を断片的ではあっても、伝えようとする意志が感じられた。取材は中華人民共和国の華北、東北、華中、華南、西北地方といった地域で敢行している。掲載した中国共産党聖地のほとんどはコロナ禍前の2018年から2019年にかけて撮影したものであり、現在では事前に予約をしないと入館できない施設もある。この点では本書は貴重な現地の資料なのかもしれないが、以前よりも見学のハードルが高くなってしまった……。
筆者が中国と関わって四半世紀が過ぎてしまったが、近年の中国の自動車産業やゲーム業界の台頭は経済失速も含めて想像もできなかった。あまり言いたくないのだが、様々な要因が積み重なって、日中両国で9割の人間が互いに良い印象を持っていない。日本にとって中国は最大の貿易相手国だが、同時に安全保障の面では最大の脅威となっている。今後の日中関係がどのように推移(おそらく悪化)するのか、まったく予想ができない。本書で紹介した施設の見学の際には、当たり前だが日本の博物館と同様に、月曜日が休館日の物件がほとんどで、入館時間も留意しておきたい。さらに抗日戦争関連の記念日には、中国国内で日本人が外出するには緊張感がこれまで以上にあるので、細心の注意が必要だ。それでも本書が中国理解の一助になることを筆者は願ってやまないし、極めて少数の者でもかまわないので、実際に中国共産党聖地に巡礼をしてみると、きっと忘れられない旅になるだろう。

著者プロフィール

関上 武司  (セキガミ タケシ)  (著/文

愛知県在住の技術職のサラリーマン。1977生まれ。オーストラリアにて軟体大道芸で生活費を稼いでいた経歴あり。日本や中国のB級スポットや珍スポットを紹介するブログ・『軟体レポート』の管理人。『中国遊園地大図鑑』シリーズ(パブリブ)の著者。都築響一氏のメールマガジンROADSIDERS' weeklyで『ROADSIDE CHINA 中国珍奇遊園地紀行』連載中。2019年に江蘇省蘇州市で開催された「一席」というイベントで中国遊園地について、中国語で講演を行っている。

上記内容は本書刊行時のものです。