書店員向け情報 HELP
出版者情報
在庫ステータス
取引情報
エセ著作権事件簿
著作権ヤクザ・パクられ妄想・著作権厨・トレパク冤罪
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2022年7月11日
- 書店発売日
- 2022年7月11日
- 登録日
- 2022年6月16日
- 最終更新日
- 2023年10月18日
書評掲載情報
2022-11-19 |
東京新聞/中日新聞
朝刊 評者: 栗原裕一郎(評論家) |
MORE | |
LESS |
紹介
言いがかり71事件の顛末・裁判例を徹底批評!
合法かつ正当に表現するための知恵と勇気を身に着けよう!
宮崎駿が同じ曲を聴いている!驚愕のパクられ被害妄想©『崖の上のポニョ』事件
狂気! パクられ妄想を天皇陛下に直訴した暴走老人に塩を撒け!©『中国塩政史の研究』事件
無名のほら吹き! 東京五輪をツブしたイチャモン野郎の素性を暴く©東京五輪エンブレム事件
日本の小学生にトラウマを与えたディズニーのエセ教育的指導!©プールの底のミッキーマウス事件
5・7・5の標語で電通に19億円を要求©チャイルドシート交通標語事件
無慈悲! 謝罪した正直者に6000万円を要求して敗訴した女©『マンション読本』事件
トレースで60万円請求!ぼったくりストックフォト会社の敗訴©コーヒーを飲む男性事件
実録・エセ著作権への反論! 警告書が届いたらこう切り返せ!©『どえらいモン大図鑑』事件
「「無断引用禁止」 というバカワード」「逆に名誉毀損で訴えたらどうなる?」等のコラムも
目次
《目次》
まえがき 2
目次 5
凡例 16
第1章 大迷惑! 驚愕のパクられ妄想ワールド 17
墓穴を自分で掘れ! 伝説のクレーマーを裁判で黙らせたヒットメーカー
時間は夢を裏切らない事件 18
ネットの意見を鵜呑み! 高名作家遺族のイチャモンに出版社は大迷惑!
『生活維持省』事件 27
宮崎駿が自分と同じ曲を聴いている! 驚愕のパクられ被害妄想
『崖の上のポニョ』事件 33
まるでみかじめ料! 世界中から小銭を集めて回る著作権ヤクザの敗訴
温和なシャーロック・ホームズ事件 40
日本のアニメにパクられた! とアメリカ合衆国政府を訴えた男
『ゾディアック・ナイツ2000』事件 46
字の配置が似ている! コワモテ書家の理不尽訴訟に福山雅治も困惑!?
『龍馬伝』事件 51
日本の小学生にトラウマを与えた、ディズニーのエセ教育的指導!
プールの底のミッキーマウス事件 56
米国とディズニーに歪んだ忠誠心と逆恨みを抱いた漫画家の暴走!
『ライオン・キング』事件 63
タクシーマナーにキレて絶版要求!? 器の小さな教授に論語を語る資格なし
『寝床で読む「論語」』事件 71
コラム①「オレ様の先行作品に敬意を払え!」はカッコ悪い 75
イラストレーターがパクられ妄想クレームを受けたらどうすべきか?
LINEクリエイターズスタンプ事件 78
担当者の名前を教えろ! 思い込みでサンリオを訴えた童話作家
けろけろけろっぴ事件 85
嫉妬から訴訟へ! ハローキティをパクリと断じたミッフィーの生みの親
ミッフィー事件 89
盗作者の魂には悪霊が宿り住む……呪いをかけても完全敗訴!
タウンページ君事件 94
オカルト作家がまったく似てない時代劇にイチャモンのご乱心!
『新撰組!』事件 99
軽率過ぎる! ツイッターでの盗作呼ばわりで慰謝料を支払った都知事
『ラストニュース』事件 105
気の毒過ぎる! 脚本家の盗作イチャモンのせいで子役が降板!?
『パパはニュースキャスター』事件 112
イチャモンで新人漫画家をツブした女が食らい続けるブーメラン
『女くどき飯』事件 119
クドカンを殴りたい! パクられ妄想漫画家がキメたスーパー土下座
『謝罪の王様』事件 129
コラム② 事前にググるのを止めないか? 135
第2章 何様なのか? 無知と屁理屈のイチャモンワールド 139
大正詩人に敬意を払え! 死んだ作家へのリスペクトを強要する大迷惑
『テルーの唄』事件 140
狂気! パクられ妄想を天皇陛下に直訴した暴走老人に塩を撒け!
『中国塩政史の研究』事件 146
カッテに使うな!? 「原案」の立場で我慢できない困った原案者
『カメラを止めるな!』事件 153
象とキリンのキメラは誰のもの? エセ著作権者の誤解を論破せよ!
『ぞりん』事件 161
日米イチャモンクレームはどっちがマシか? アナ雪トンデモ疑惑対決!
『アナと雪の女王』事件 166
似てないうえに、誰も知らない! 自主制作映画のパクリといわれても
『走馬燈屋の退屈』事件 175
黙祷もできない! 一分間の沈黙を訴えたジョン・ケージの暴走
『四分三三秒』事件 180
ポーズと髪型がそんなに似ていて大丈夫か? 大丈夫だ、似ていない
『エルシャダイ』事件 186
レベルの低い三国志! スマホゲーム業界の不毛な殴り合いを見よ
『神獄のヴァルハラゲート』事件 193
コラム③ 音楽界のエセ著作権事件簿 200
幼稚では? タイトルのカブリを許せない大御所作家に品格ナシ!
『華氏911』事件 204
困惑! タイトルがカブってキレたジャーナリストのカツアゲ訴訟!
『父よ母よ』事件 209
ただの案内か、それとも狡猾な手口か? JASRACの「ご案内」
『風に吹かれて』事件 214
図書館所蔵で精神的苦痛! 俺の著書を勝手に寄贈する読者は犯罪者!
『アウターガンダム資料集』事件 219
パクリ・オマージュ論争に最終決着。プレアデス星団の声を聞け!
『昴』事件 225
「この店はエロゲーのモデルだぞ!」と触れ回るマスコミの大罪
『喫茶ステラと死神の蝶』事件 229
支離滅裂! クックパッドに投稿したレシピをつくられてキレる格闘家
北岡悟丼事件 235
私に無断で糸巻き機の話をするな! トンデモユーチューバーの通報騒動
編み物ユーチューバー事件 238
コラム④ エセ著作権者を逆に名誉毀損で訴えたらどうなる? 245
第3章 パロディ、偶然、コピペ、引用 クレーマーの常識を覆す! 249
無差別パロディストがあっさり謝罪!? 意外と弱腰だった人気漫画家
左手にサイコガンを持つポプ子事件 250
まやかしのカウンターカルチャー!ダブスタ主張で赤っ恥敗訴
『完全自殺マニア』事件 255
実録・エセ著作権への反論! 警告書が届いたらこう切り返せ
『どえらいモン大図鑑』事件 264
作者は作品よりも奇なり!? 漫画顔負けのネガティブ思考で自主規制!
『さよなら絶望先生』事件 275
類書にマジギレして敗訴! グーで胸を叩くゴリラのポーズは俺のもの!
『手あそびうたブック』事件 282
信じられない偶然の一致は起こり得る! 俳句界の寛容性に学べ
『プレバト!!』事件 289
逆ギレ! 盗作イチャモンに反論されて、慰謝料一〇〇〇万円請求!
『業柱抱き』事件 292
謎の金銭感覚! 五・七・五の標語で電通に一九億円を要求した男
チャイルドシート交通標語事件 297
無慈悲! 謝罪した正直者に六〇〇〇万円を要求して敗訴した女
『マンション読本』事件 302
コラム⑤ ネット上でパクリ疑惑が寄せられたらどう対応すべきか 310
元首相がウィキペディアをパクった? 学説を独占しようとする強欲
『音楽遍歴』事件 313
サボり学生に朗報か? ウィキペディアからのコピペに無罪判決!
『eco検定最短合格講座』事件 319
そこを批判するのはどうか? 百田尚樹のウィキコピペは本当に罪?
『日本国紀』事件 325
思想のクセが強過ぎる! 頑なに原稿を直さないワガママ漫画家の敗訴
『やっぱりブスが好き』事件 332
法律系出版社困惑! 執筆者から外された著作権法学者の怒りが暴発!
『著作権判例百選』事件 338
漫画の引用は許さん! ゴーマン過ぎる「無断引用禁止」論者の敗訴
『脱ゴーマニズム宣言』事件 341
作家の度量を問う! トンデモ本に六五〇〇文字の大引用でもセーフ!
『小さな悪魔の背中の窪み』事件 349
批判記事で引用するな!? 大手新聞社がトンデモスラップ訴訟で敗訴
『運鈍根の男』事件 353
真意を伝えるのは難しい! 誤解に基づく引用は、腹は立っても適法だ
#KuToo事件 358
コラム⑥ 「無断引用禁止」というバカワード 368
第4章 有名事件から学ぶ、クレームに屈しない知恵と勇気! 371
大衆にのせられた黒澤明の息子が、野武士のように切り捨てられる!
『七人の侍』事件 372
NHKに盗作されて年賀状が激減! 最重要判例の悲し過ぎる動機!
江差追分事件 380
これじゃ何も書けないよ! 同じ体験をつづって盗作扱いの理不尽
『やっぱりおまえはバカじゃない』事件 389
調子に乗るな! 江戸時代の絵画を独占しようとして裁判所から全否定
錦絵コレクション事件 394
勝手なルールを押し付けるな! 一〇〇〇年前の寺の独占を目論む坊主
平等院鳳凰堂パズル事件 401
法律の抜け穴!? 最高裁のお墨付きで北朝鮮の著作物は使い放題だ!
北朝鮮映画事件 407
コラム⑦ エセ著作権の警告書が届いたらどう対応すべきか 412
トレースで六〇万円請求! ぼったくりストックフォト会社の敗訴
コーヒーを飲む男性事件 415
あの宗教家が教えてくれた! プロフィール写真のトレースは合法?
池田大作トレースビラ事件 419
なぜ作家を守れない? 合法トレースで連載中止を決めた編集部の罪
『SWITCH』事件 422
イラストレーター・漫画家よ、不正ではないトレースを恥じるな!
『エデンの花』事件 426
いったい何様? IOCがたくらむエセ放送権ビジネスに騙されるな!
聖火リレー動画事件 437
身勝手な屁理屈! ユーチューバーにイチャモンをつける将棋業界
棋譜配信事件 442
コラム⑧ エセ著作権者からの警告書を暴露したらどうなる? 449
似てすらいない! 応募したレシピをパクられたと暴走して敗訴
具だくさんの食べるオリーブオイル事件 452
新人つぶし!? ノンフィクション作家に事実を独占させていいのか
『美しい顔』事件 458
乗っ取り、エセ著作権、煽り挑発…クセの強い弁護士のクズが大集合!?
『弁護士のくず』事件 469
悲し過ぎる! 四五年間、盗作の恨みを抱き続けて敗訴した大学教授
『「大東亜共栄圏」の形成と崩壊』事件 476
無名のほら吹き! 東京五輪をツブしたイチャモン野郎の素性を暴く
東京五輪エンブレム事件 484
バカな!日テレドラマがアダルトビデオの盗作なんてことがある!?
『35歳の高校生』事件 496
あとがき 504
主要参考文献 506
図表出典 519
注釈 543
前書きなど
《まえがき》
著作権を大切にしましょう─もはや日本人にとって常識だ。著作権を侵害すれば、相応の法的責任を問われることになるし、社会的な非難の対象にもなる。無論、そのこと自体は正しい。しかし世の中には、この「常識」につけこんで、善良な市民の正当な行為に対して、無理難題、イチャモン、妄想、恫喝的要求をふっかける「エセ著作権者」がおり、その問題が近年顕在化してきている。
しばしば著作権ヤクザ、パクられ妄想、著作権厨などとも揶揄されるこうしたエセ著作権者たちは、著作権についての浅薄な知識、あるいはまったくの無知・無理解や思い込み、ときには法律をあえて曲解した言いがかりを振りかざして、他人の表現の自由や、営業の自由の侵害を試みている。しかも彼らは、あたかも「著作権者としての当然の権利行使」であるかのような顔をして振る舞うのだからタチが悪い。
本書は、こうしたエセ著作権者たちの筋違いの権利主張が問題になった事件や裁判例を取り上げ、その筋の通らなさや事件の顛末について解説、検証し、批評するという本である。「酷似している」「盗作だ」「パクられた」「無断使用された」――一見するともっともらしく聞こえる彼らの主張について、問題視された対象物を比較したうえで、丁寧に紐解いてゆくと、笑っちゃうような矛盾や詭弁、過剰な被害妄想、常軌を逸した言動が浮き彫りになる。
「日本のアニメに著作権を侵害された!」と主張してなぜかアメリカ合衆国政府を訴えた同人作家、ライバル教授の研究論文を盗作だと思い込み、その被害を天皇陛下に直訴して名誉毀損の罪に問われた大学教授、ツイッターで根拠なく他人の作品を盗作呼ばわりして賠償金を支払う羽目になった東京都知事、図書館に著書を寄贈した自分のファンを犯罪者呼ばわりする漫画家、四五年間も盗作の恨みを抱き続けた挙げ句敗訴して一〇〇〇万円以上をドブに捨てた大学教授……。いったい、何が彼らをそうさせたのか。ぜひ、本文を読んで味わってもらいたい。
こうした、エセ著作権者の主張が抱える問題点を指摘することに注力した書籍は、これまでほとんどなかったはずだ。「一億総クリエイター時代」とも呼ばれ、SNSやYouTubeなどのツールを用いて、誰もが気軽に情報発信や作品創作を楽しめる今日において、著作権の問題は身近である。一般向けに著作権を解説するウェブサイトや解説書も頻繁に出版されているが、中には、必要以上に人々の不安につけこむような売り方をしているのではないか……と疑ってしまうようなものもある。試みに解説書を手に取ると、帯に「その文章、写真、音楽はアウトかも!?」「ネットで拾った画像・トレース・アニメのパロディ それ訴えられますよ!」といった「脅し文句」が躍っているのだ。
ため息が出る。こうした、著作権についていたずらに不安を煽るパフォーマンスが、エセ著作権者を増長させている側面は否めないからだ。そして、リスクを真面目に気にする人ほど著作権問題にセンシティブになり、イチャモンのようなクレームにもビクビクと怯えてしまうのだ。不安を煽る著作権啓発と、エセ著作権者の奇妙な結託である。行き着く先は、エセ著作権を振りかざせば、気に入らない他人の表現や営業をたやすく妨害できるディストピアの完成だ。
むしろ、今必要なのは、「アウトかも!?」などとあらぬ疑惑を寄せられたときにそれをはねのけるための勇気と知恵と心構えであり、たとえ「ネットで拾った画像・トレース・アニメのパロディ」であろうとも、合法かつ正当に利用するための知識とロジックを身に着けることである。
本書では、ネットで拾った画像からのトレース、ベストセラー本のカバーデザインのパロディ、漫画や文章の無断引用などについて、エセ著作権者の振りかざす「常識」に反して、「合法」であると裁判所が認定した実例も紹介している。なぜ合法と認められたのか、それもぜひ本文を読んで確認してもらいたい。
本書は、エセ著作権に負けずに自由な表現活動、創作活動を行うすべての人にとって真に助けになる本である。メディア関係者、言論人、音楽家、ライター、イラストレーター、デザイナー、写真家、ユーチューバー、SNSユーザー、あるいはそれらを志す方、表現活動に携わる、また興味のあるすべての人々に読んでもらいたい。
エセ著作権にまつわる事件や裁判例を知ることは、多様な表現の開花と健全な自由競争の実現に寄与すると、筆者は信じている。
上記内容は本書刊行時のものです。