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北のボーダレスアート
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 書店発売日
- 2024年11月8日
- 登録日
- 2024年8月8日
- 最終更新日
- 2024年11月8日
紹介
推薦・日比野克彦(東京藝術大学学長)「ひとって、イイよねー!ひとって、スゴイよねー!」
アール・ブリュット、アウトサイダーアートとも呼ばれる、あるがままの人間から湧き出す圧巻のアートがいっぱい。障害者アートと歩んで30年の創作アドバイザーが、北海道で活動する45名の作品約130点をセレクト。北海道新聞の連載を元にした作品紹介のほか、対談や創作拠点をもつ施設も掲載。作品と同時に創る人びとの魅力も伝わり、生きる力をくれる作品集。
目次
人と作品
01 遠藤雛 スイーツ好きの夢を実現
02 木村幸 「ひたむきさ」宿す昆虫画
03 水野泰夫 望みを描く魔法の絵
04 鉄地河原勝彦 大胆な線と色 圧倒的な存在感
05 吉田幸敏 深い色合い ユーモラスな生き物
06 菊地政司 「干支」画面いっぱいに
07 成田信之 あふれる思い 家族への愛情
08 のりぴー 極彩色 記憶の強烈な再構成
09 Chieko Yokoyama 「きれいな色」丁寧に塗り重ね
10 K E I TA 大胆な解釈 モチーフにオーラ
11 蛯子陽太 愛着が生み出すインパクト
12 満武和 乗り物大好き。幸福を追求
13 角田川清 人生の豊かな宝箱
14 高丸誠 創作と収集のサンクチュアリ
15 横山篤志 「○○町○○丁目○○薬局」のサトちゃん
16 MR. やっちゃん 驚嘆の記憶力 都市と建物、忠実に
17 岸田修一良 時間上手な多種創作人
18 阿部英樹 こだわりを見つける面白さ
19 粟田隼也 色とりどりのMY人生
20 伊藤考洋 異素材をユニークに
21 明子 重ねる創造の喜び
22 冨原廣子 王と王妃、乙女心の幾千夜
23 田湯加那子 激しく強く刻みこむ
24 三浦明菜 昭和の薫り 大絵巻
25 只野誠 飲食店の献立 マス目に細かく
26 川越智志 街の風景 ほのぼのと
27 松嶋ひろみ 紙に重ねられた言葉
28 宮林聡太 偶然と意図 はざまの美
29 臼井愛 存在位置を確かめる
30 内海雅充 凹凸が生む、独特の世界観
31 石岡美樹 1 匹ずつ異なる熱帯魚
32 佐藤朱美 極彩色うごめく「死と再生」
33 musou 壮大な物語と夢の実現力
34 畠山史織 想像と乙女心 自分だけの宝物
35 朝霧千景 「女の業」妖しくおしゃれに
36 俉樓賢太 野球選手、描きため数千枚
37 越智明美 胎児を連想させる人物表現
38 佐々木和哉 ぬけ感、抜群 センス上等
39 杉田希望 かわいくてシニカル 独自の魅力
40 ネコきよし 精密の陰 わずかな狂気
41 TOMO4 感じていることを可視化する
42 千葉由佳里 組み合わせの美 細部に発見
43 ゆうくん 独自の色 力強い線
44 笹原竜太 行ってみたい場所 優しく緻密に
45 岡﨑莉望 「いくつもの自分」が筆をとる
アートはボーダレス〈鼎談&対談〉「最初の水は繋がっている~障がい者アート(アール・ブリュット)がもたらすもの」板垣崇志×菊地雅子×浮ヶ谷幸代(進行)/「アートで対等な関係を探る~私たちの創作支援活動」菊地雅子×堀川真×三橋純予/「目に見えない価値を見つける~障がい者アートのグッズ化と可能性」皆川明×菊地雅子
施設案内「アートが生まれるところ」かたるべの森美術館/studio BREMEN/アート工房 Qila-9/tomoni art/ペングアート
北海道ボーダレスアート拠点マップ
People and Artworks
前書きなど
私は北海道の旭川の北東に位置する当麻町に住んでおり、障がい者アートの指導と、注文制のお菓子屋さんをやっています。また、学芸員でありアートディレクターでもあります。
過去30年間、障がいのある方々のアート作品に携わってきました。この間、彼らの作品を取り巻く環境は、大きく変わりましたが「そのままの自分でいいんだよ」という彼らの作品から受け取るメッセージは変わらず、一貫しています。このメッセージは、私の生きる力と活動の原動力となってきました。
私が活動の中で常に心に留めているのは、創作活動をすることによって生まれる多面的な価値をどうやったら伝えられるかです。売れる絵、グッズを作るのにぴったりの絵、描くことで心が安定する絵、欲しいものを描いた絵、図らずもリハビリや療育的な効果をもたらす絵、描き終わらない絵、などなど……そこには、いろんなタイプの表現物とさまざまな価値があります。サポートする側が多面的な価値を持って接することで、売れる絵を描けること以外にも、無数の価値があるということを、創作する人たちと共有することができるのです。
そもそも、私がアートを志したのは、価値があるとかないとかの二項対立の世界から自由になるためでした。自分の持っている価値判断の基準を疑い続けることを、やめてはいけないといつも思っています。
本書を通じて、障がい者アートの多様性と、創作する作者自身の魅力をもっと多くの方に知っていただけたらうれしいです。
上記内容は本書刊行時のものです。