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完全版 土地 朴景利(著/文) - クオン
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完全版 土地 (カンゼンバン トチ) 巻次:20巻

文芸
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発行:クオン
四六判
縦194mm 横132mm 厚さ25mm
448ページ
上製
価格 2,800円+税
ISBN
978-4-904855-60-7   COPY
ISBN 13
9784904855607   COPY
ISBN 10h
4-904855-60-4   COPY
ISBN 10
4904855604   COPY
出版者記号
904855   COPY
Cコード
C0097  
0:一般 0:単行本 97:外国文学小説
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2024年10月15日
書店発売日
登録日
2024年1月19日
最終更新日
2024年9月30日
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書評掲載情報

2024-12-08 朝日新聞  
評者: 守真弓
2024-11-16 日本経済新聞  朝刊
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紹介

日本の敗戦を予感しつつ皆が息を潜めている中
ついに解放の日が!

韓国を代表する大河小説
全20巻、世界初の完訳



弘を頼ってハルビンに行った栄光は、独立運動に関わり父と親しかった錫、良絃の実父・相絃らと出会う。
栄善は智異山の家に母が来たことで、兄の満州行きを知る。
西姫は仁川の良絃を気遣い、平沙里の屋敷に連れ戻した。
永八が死んで平沙里の来歴を知る人も少なくなり、代々続く家同士の因縁も新しい世代に払拭されていく。
南姫は延鶴の配慮で晋州の参判家に身を寄せ、尚義は女学校を卒業した。
自分の意思が希薄だった人生を悔やみ、明姫は周囲を驚かせる行動に出る。それを機に集まった海道士やカンセら山の男たちは、スパイを捉えたとの知らせに緊張感を高めた。
そうした中、とうとう皆が待ち望んだ日を迎える。

目次

第五部 第五篇 光の中へ!
 二章 合流
 三章 山は何も語らず
 四章 運の悪い日
 五章 冬空 
 六章 卒業
 七章 光の中へ!

訳注
訳者解説

前書きなど

●朴景利 著『土地』の概要

『土地』は韓国の女性作家の草分け的存在であり、デビュー当時から高い評価を受けてきた朴景利の代表作である。1969年から94年まで25年にわたって書き継がれた、韓国現代文学における最大の大河小説であり、最も優れた作品の一つにも数えられている。

朝鮮王朝末期、政治を担う者たちの間で主導権争いが続き、その混乱につけ込んで侵攻する列強や日本の存在と、甲午農民戦争(東学の乱)など民衆による抵抗運動は、国内の混乱に拍車をかけた。混沌とした社会情勢を背景に、物語は1897年に始まり、日本による植民地支配を経て、1945年の「解放」の日(8月15日)に終わる。朝鮮半島の近代史を経糸に、その時代に翻弄されるさまざまな立場、職業、境遇の人々の日常から生まれる愛と恋、葛藤、悲しみ、喜び、苦難を緯糸に織り成される壮大なタペストリーともいえよう。

小説の舞台は朝鮮半島の南端に近い慶尚南道[キョンサンナムド]河東郡[ハドングン]の農村・平沙里[ピョンサリ]から、間島[カンド](現在の延辺朝鮮族自治州一帯)へ移り、後半では朝鮮半島に戻る。

物語の軸となる崔西姫[チェソヒ]は平沙里の大地主・崔家の一人娘である。崔家の財産を奪おうという陰謀が巡らされ、数奇な運命によって天涯孤独の身となった西姫は、崔家の使用人や平沙里の農民たちをひき連れて間島へ移り住む。西姫はそこで商売をして財産を増やし、再び故郷に戻って崔家の土地を取り戻すことを誓う。

朴景利は西姫を悲劇のヒロインとして描いているのではない。気が強く、才覚のある一方で、感情表現がうまくできない西姫の抱える孤独は切ない。さまざまな登場人物が時代の荒波にもまれながら生きる姿は、叙情を排した筆致で克明に描かれている。すべての人間が業として抱える嫉妬や猜疑、邪悪さといった負の面を暴きだす一方で、日々の暮らしの中で助け合い、互いを思いやる人の優しさ、温かさも細やかに語られる。そして貧しい農民の間にも、結ばれぬ運命に逆らおうとする苦しい恋や心に秘めた恋があり、四季折々に変化する美しい自然の景観とともに、物語を彩っている。

著者プロフィール

朴景利  (パク キョンニ)  (著/文

著:朴景利
1926年、慶尚南道統営市生まれ。
晋州高等女学校、ソウル家庭保育師範学校(世宗大学の前身)卒。
1955年に短編小説「計算」でデビュー、1957年に短編「不信時代」で 『現代文学』新人賞受賞。以後、次々と長編作品を発表し、各種文学賞を受 賞して実力派の作家としての地位を確かなものにすると同時に、韓国の女性作家の草分け的存在となった。
1969年から25年間にわたって書き継がれた大河小説『土地』は代表作であり、韓国現代文学における最も優れた作品の一つと評される。また「国民文学」として韓国で愛されてきたベストセラー小説でもある。
1994年に『土地』が完結した後も小説、詩、エッセイを書き続けた。晩年には環境問題に関心を深め、江原道原州の自宅菜園で有機栽培などしながら、意欲的に執筆を続けた。2008年没。享年81歳。

金正出  (キム ジョンチュル)  (監修

監修:金正出
1946年青森県生まれ。1970年北海道大学医学部卒業。
現在、美野里病院(茨城県小美玉市)院長。医療法人社団「正信会」理事長、社会福祉法人「青丘」理事長、青丘学院つくば中学校・高等学校理事長も務める。
著書に『二つの国、二つの文化を生きる』(講談社ビーシー)、訳書に『夢と挑戦』(彩流社)などがある。

清水知佐子  (シミズ チサコ)  (翻訳

翻訳:清水知佐子
和歌山生まれ。大阪外国語大学朝鮮語学科卒業。在学中に延世大学韓国語学堂に留学。読売新聞記者などを経て翻訳に携わる。訳書にイ・ギホ『原州通信』、呉貞姫『幼年の庭』、キム・ハナ、ファン・ソヌ『女ふたり、暮らしています。』など。シン・ソンミ『真夜中のちいさなようせい』で第69回産経児童出版文化賞翻訳作品賞受賞。

上記内容は本書刊行時のものです。