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絵は語り始めるだろうか
日本美術史を創る
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2018年12月18日
- 書店発売日
- 2018年12月19日
- 登録日
- 2018年10月9日
- 最終更新日
- 2019年1月8日
書評掲載情報
2019-12-22 |
東京新聞/中日新聞
朝刊 評者: 山本勉(清泉女子大学教授・日本美術史) |
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紹介
絵画の中で何が起きているのか?
「絵は語り始めるだろうか」(1993年)以降20余年の間に発表した論考のなかから31編を〈どういえばいいのだろう〉〈記述と鑑識〉〈語りなおす〉〈批評と翻訳〉の4部構成にまとめる。すべての論考の末尾には「後記」(短い解題、補註)を付す。図版480点掲載。
若冲研究の第一人者が、そのときどきの日本美術史研究をめぐる状況を鋭く問う。
目次
どういえばいいのだろう
1 絵は語り始めるだろうか
2 中国絵画と日本絵画の比較に関する二、三の問題――戸田禎佑『日本美術の見方』を受けて
3 日本絵画の中の文字
4 境界の不在、枠の存在――日本美術について私が知っている二、三の事柄
5 つなげて見る――「名作誕生」展案内
6 連想・日本美術史 附 宣伝文二題
記述と鑑識
7 ディスクリプション講義
8 若冲という事件
9 真贋を見分ける――江戸時代絵画を例に
10 若冲・蕭白とそうでないもの
11 プライス本鳥獣花木図が若冲の作ではないこと――辻惟雄氏への反論
語りなおす(1)
12 室町の都市図
13 高雄観楓図論
14 南蛮屛風の意味構造
15 又兵衛風諸作品の再検討
16 物語絵の伝統を切断する――岩佐又兵衛「梓弓図」
17 見返り美人を振り返る
18 江戸の浮世絵認識
語りなおす(2)
19 中国の文人画と日本の南画
20 戦略としてのアナクロニズム――明末奇想派と曾我蕭白
21 蕭白のいる美術史
22 雨後の菡萏――渡邉崋山「芸妓図」を読む
23 雅の断末魔――菊池容齋「呂后斬戚夫人図」
24 近代の日本画――前近代の眼で
25 小林清親の東京名所図――「海運橋」を中心に
批評と翻訳
26 文化庁の仕事――見えない博物館
27 国立博物館・美術館等の独立行政法人化問題――美術史学会からのアピール
28 放送大学試験問題文削除事件
29 書評・展覧会評・選評
30 ノーマン・ブライソン著 佐藤康宏訳「言説、形象――『言葉とイメージ』第一章」
31 ノーマン・ブライソン著 佐藤康宏訳「身体を西洋化する――明治洋画における女性・美術・権力」
前書きなど
「あとがき」より──「絵は語り始めるだろうか」とは、過去の日本絵画が、それが作られたころの思い出をもっと豊かに語ってくれるようにするためには、いまの私たちはどうすればよいのか、という問いかけだった。(中略)そのときどきの日本美術史研究をめぐる状況に向けて投げかけた言葉は、従来の研究が作り出した偏りの指摘、作品記述や真贋の鑑定といった基本的手法、研究の先端領域の翻訳・紹介あるいはそれへの批評、文化財保護行政や国立博物館等の独立行政法人化の問題点などに及ぶ。およそ一貫するのは研究の現状に対する批判と、それではどうするのかという提言と試行錯誤の実践だ(後略)
版元から一言
第一線の日本美術史家が、自らも省みつつ、舌鋒鋭く、長年たゆまずおこなってきた批評の実践書です。江戸絵画を専門としつつも、その射程は中国から、海外の美術批評の方法論まで及び、美術史に関わるあらゆる問題を掘り起こしていく、刺激的な著述選。
上記内容は本書刊行時のものです。