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怪異から妖怪へ
- 初版年月日
- 2024年12月31日
- 発売予定日
- 2024年12月27日
- 登録日
- 2024年12月8日
- 最終更新日
- 2024年12月11日
紹介
「妖怪」はなぜ生まれたか。「妖怪」の見かたが変わる!
人は何かに出会ったとき、それを「怪異」と認識し記録に残す。そういった記録されたことばを分析することを重視してきたのが怪異学であり、本書の編者、東アジア恠異学会(ひがしあじあかいいがっかい)である。
動物の異常行動や異常気象など、もとは現象だった「怪異」を起こしていた存在は、時の経過とともに姿形などの輪郭を得て、すこしずつ私たちが知る「妖怪」に変容してきた。
本書はそんな「妖怪」の来歴を丁寧に読み解くことで、より探究心を得、新たな専門知を学ぶことができる入門書であり、近年になり語られるようになった新しい存在、むかしは起きなかった異常な現象についても、怪異学の技法でどう論じていけばいいか、ヒントも得られる実践の書でもある。
第1部「怪異学総説」では、「怪異」と「神」、「妖怪」の基礎とその関係を論じ、第2部「妖怪列伝」では、独立したキャラクター「妖怪」の成り立ちを、鬼、白沢、天狗、鳴釜、河童、一目連、九尾狐、オサカベ、件、水子霊から見ていく。[特別寄稿]チョコレートを食べること(京極夏彦)収録!
執筆は、大江 篤、久禮旦雄、化野 燐、榎村寛之、佐々木聡、久留島元、木場貴俊、村上紀夫、佐野誠子、南郷晃子、笹方政紀、陳 宣聿、京極夏彦。
目次
はじめに─神と怪(大江 篤)
「怪異」を研究する「東アジア恠異学会」とは/怪異学は、記録された語を、分析することを重視/「怪異」研究のキーワードは「媒介者」
○東アジア恠異学会のご案内
第1部 怪異学総説
[怪異とは何か、怪異学とはどういう学問なのか]
1 「怪異」と怪異学(大江 篤)
1 東アジア恠異学会と「怪異」/2 平安時代の「怪異」/3 神津島の噴火と「怪異」/4 新羅の外寇と「怪異」/おわりに
[不可視の存在が語り始めるとき]
2 神─その形成と展開(久禮旦雄)
1 神と祟/2 社と祭/3 卜占と祥瑞/4 託宣と怨霊─語りだす神と霊
[これまでとこれからの「怪異」と「妖怪」の関係]
3 妖怪(化野 燐)
1 いくつもの妖怪/2 現象から存在へ/3 これまでの「妖怪」/4 これからの「妖怪」
第2部 妖怪列伝─どのように成立したか
[「鬼」のイメージはどのように成立したのか]
1 鬼─『出雲国風土記』と日本古代の「鬼」(榎村寛之)
はじめに/1 『古事記』と『日本書紀』の「鬼」と「鬼状のもの」/2 『出雲国風土記』の「鬼」/3 『出雲国風土記』の「鬼」字の使われ方と「鬼」の本来の姿/4 鬼の具象化─九世紀の事例と比べて/おわりに
[神獣はどのように姿を変えていったのか]
2 白沢─俗化する神獣とその知識(佐々木聡)
はじめに/1 祥瑞から辟邪へ/2 さまざまな白沢の姿/3 白沢図の流布/4 白沢図画賛の意義とその影響
[「神」か「妖怪」か、時代ごとに移り変わる定義]
3 天狗─天変から信仰へ[久留島元]
1 天狗は神か/2 古代の天狗/3 天狗をまつる/4 天狗と修験/5 天狗と天道
[近世という情報社会の中で膨張する怪異]
4 鳴釜─俗信から科学、そして諧謔へ(佐々木聡)
はじめに/1 中国古代以来の祥瑞災異として/2 「自然の怪」から自然科学的理解へ/3 江戸時代の鳴釜神事
[室町から江戸時代まで、河童の歴史をたどる]
5 河童(木場貴俊)
はじめに/1 河童は生物/2 河童は研究対象/3 河童を描く/4 河童信仰
[情報発信により地域の神様から妖怪へ]
6 一目連─情報の連鎖と変容(村上紀夫)
はじめに/1 十七世紀文献に見える一目連/2 百科事典に掲載される/3 多度社の公式情報/4 香具師による便乗/5 一目連像の拡大
[祥瑞か、凶兆か、狐か、美女か]
7 九尾狐(佐野誠子)
1 祥瑞・凶兆であった九尾狐/2 美女(悪女)の狐/3 九尾狐と妖狐の結合/4 玉藻前の九尾化
[物語に貪欲な近世社会が「神」を消費する]
8 オサカベ(南郷晃子)
はじめに/1 姫路城のオサカベ姫/2 『観自在菩薩冥応集』の仕掛け/3 書状について/4 書状をめぐる人々/5 妖怪化するオサカベ/おわりに
[近世から近代以降まで、その特徴の変遷]
9 件(笹方政紀)
はじめに/1 「件」の文字による特徴/2 皮革にまつわる物語/3 予言をする性質/4 神、あるいは神使としての存在
[水子霊をめぐる言説とメディアのあり方]
10 水子霊─夭逝した胎児の霊はどこに現れ、誰に祟るか?(陳 宣聿)
はじめに/1 身の回りの災因と水子霊の創出/2 オカルトブームと水子霊の流布/3 ローカルの文脈で再生産された心霊スポット/おわりに
[特別寄稿]チョコレートを食べること(京極夏彦)
参考・引用資料
執筆者紹介
上記内容は本書刊行時のものです。