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読んで、感じて! 古典みゅーじあむ 第3巻 どうぶつ
完結
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2024年12月6日
- 書店発売日
- 2024年12月13日
- 登録日
- 2024年11月10日
- 最終更新日
- 2024年12月13日
紹介
ようこそ、古典みゅーじあむへ!
古典文学を、もっと身近に、もっと気軽に楽しんでほしい。
そんな想いから、生まれた5冊シリーズ「古典みゅーじあむ」。
古典のエピソードを1冊全12章、48話で紹介していきます。
本書は第3巻「どうぶつ編」。
トラとサメの戦い。犬と結婚した姫。人魚はおいしい!? 今も昔もどうぶつ大好き!
古典文学の中には、たくさんの動物たちが登場します。犬や猫はもちろん、イノシシやウサギ、鳥や魚や虫まで。実在の動物ばかりではありません。豊かな想像力によって、たくさんの「伝説上の動物」を作り上げてきました。
タイムスリップしてそんな世界をのぞいてみます!
万葉集、日本霊異記、竹取物語、源氏物語、今昔物語集、平家物語、宇治拾遺物語、古今著聞集、御伽草子、伊曽保物語、南総里見八犬伝、甲子夜話などからピックアップして紹介します。
推薦・渡部泰明(国文学研究資料館館長)
「探してごらん。古典は、いつも、君のそばにあるよ。」
[特色]
「くらし編」「たべもの編」「どうぶつ編」「ことば編」「もののけ編」の五冊シリーズ
①古典のエピソードを全12章(各4話)で紹介。どこから読んでもOK!
②学校で習う作品から、少しマイナーな作品まで、幅広い古典作品を収録!
③各エピソードにある 「声に出して読んでみよう」で原文の音読に挑戦!
④収録作品の読書案内&年表つき!
⑤全文ふりがなつき(小学校高学年~)
対象は小学校高学年~大人まで。1話2分で朝読にぴったり!
目次
はじめに
この本の表記のルール
第1章 万葉集
奈良時代~平安時代初期に成立した和歌集です。編者は大伴家持といわれ、約四五〇〇首もの歌が収められています。
人はカエルにさまざまな思いを託してきた
①カエルの鳴き声を聞くと……。
見たことがなかったトラのうわさ
②トラに乗って、空を飛ぶ?
夜明けを告げ、別れの時間を告げる
③ニワトリの鳴き声の意味は、人それぞれ?
戦いのためから、生活のために
④馬は大事な乗り物
第2章 日本霊異記
平安時代初期に作られた仏教説話集です。因果応報(いい行いにはいい結果が、悪い行いには悪い結果が返ってくること)をテーマにした話が収められています。
最後まで人間の男を純粋に慕った──。
①キツネのラブストーリー
ヘビをはさみで退治!
②恩返しにきたカニ
かっこいいけど怖い!
③ワシにさらわれた子ども
もったいないと思ってお金を隠したら?
④毒ヘビに生まれかわったお坊さん
第3章 竹取物語
平安時代初期の物語文学です。作者未詳。竹から生まれた美しい「かぐや姫」が主人公のファンタジー作品です。
中国の貿易商が持ってきた
①焼けない火ねずみの毛皮
水や雨を支配する神さま
②竜の首から宝石を取ろうとしたら
宝物をつかんだはずが……。
③ツバメの子安貝?
かぐや姫をだまそうとした人たち
④他の宝物は……?
第4章 源氏物語
平安時代中期に作られた長編物語です。作者は紫式部。光源氏という架空の貴族を主人公とする物語で、主人公とさまざまな女性との恋愛模様が描かれています。
極楽浄土に住むという……。
①人の顔をもつ不思議な鳥
身近な鳥ではなかったフクロウ
②不吉な鳥?
蛍と恋の深いつながり
③ロマンチックな光
着物にこめられた思い
④空蝉──セミのぬけがら
第5章 今昔物語集
平安時代末期に成立したと考えられる仏教説話集です。編者未詳。インド・中国・日本を舞台にした物語が多数収められています。
想像上の生き物たち
①竜に仕返しされた天狗
仏教によって救われる
②お経を聞くサルのその後
インドで起こったお話
③心やさしいウサギ
大きな羽で風を起こし海をからっぽにできる
④竜を食べる巨大な鳥
第6章 平家物語
平氏と源氏との戦いを中心に、平氏一門の栄枯盛衰を描いた軍記物語です。成立は鎌倉時代。作者未詳。琵琶法師の語りによって伝えられたものといわれています。
サルとタヌキとヘビとトラが合体!?
①人々を恐れさせる怪物の正体
仲間のためのうそ?
②頼朝の「いけずき」という名馬
ニワトリどうしを戦わせる「鶏あわせ」
③ニワトリで占う戦いの行方
勝負の行方をイルカで占う?
④イルカの大群がやってきた
第7章 宇治拾遺物語
鎌倉時代前期に作られた説話集です。編者未詳。仏教説話をはじめ、笑い話や不思議な話などが幅広く収録されています。
最強の生き物はどっちだ?
①トラとサメとの戦い
奈良時代に活躍した実在の人物
②魚に育てられた子ども
お寺に現れる仏さまの正体は……。
③人間をだますタヌキ
からっぽのひょうたんからお米が!
④スズメからのプレゼント
第8章 古今著聞集
貴族や庶民のエピソードを集めた説話集です。成立は鎌倉時代中期。編者は橘成季。有名な人物の逸話から不思議な出来事まで、幅広く収録されています。
顔が人間で、口がサル……?
①マーメイドは美しい?おいしい?
不思議なおじいさんの正体は……。
②古い家にすむキツネ
どうやって捕ったのかな?
③魚を捕るサル
漁師の網にかかっていたのは……。
④不思議な海の中のネズミ
第9章 御伽草子
室町時代~江戸時代初期にかけて作られた、絵入りの物語類を指します。分かりやすいストーリーで、その多くは、今に伝わる昔話の原話となっています。
雁とともに東国へ?
①飛んでいった白ネズミ
大ヘビの一族が感謝!
②巨大なムカデ退治
おじいさんになったあと……。
③浦島太郎はある動物に生まれかわった!
不思議な生き物との出会い
④馬と人とが合体!?
第10章 伊曽保物語
ヨーロッパで親しまれている『イソップ物語』を、日本語に翻訳したものです。成立は室町時代~江戸時代初期。訳者未詳。物語の多くは、動物を主人公としています。
やられたらやり返す!?
①キツネとツル
毎日こつこつがんばる
②働きもののアリ
動物の特徴から、それぞれの由来をお話する
③コウモリとツバメの秘密
たとえ話が予言になる!?
④ネズミとカエルのたとえ話
第11章 南総里見八犬伝
室町時代を舞台にした伝奇(ファンタジー)小説です。成立は江戸時代後期。作者は曲亭馬琴。不思議な縁に導かれた八人が、お家再興のために奮闘する物語です。
不思議な物語のはじまり
①犬と結婚したお姫さま
どんな登場人物がいるのかな?
②犬のおなかから玉が出てきた?
八人の犬士、運命の出会い
③同じ玉とあざを持つ犬士たち
みんな名前に「犬」がつく?
④次々と集まる同士たち!
第12章 甲子夜話
肥前の国(現在の佐賀県・長崎県)平戸藩主であった松浦静山の記した随筆集です。成立は江戸時代後期。政治的なことから世間のうわさ話まで、いろいろな話題が取り上げられています。
江戸時代から見たといううわさは絶えない
①河童の目撃談
ヘビがタコ?カエルが魚?
②変身する動物
てぬぐいをかぶり人間のように……。
③踊る猫
オランダからやってきて全国各地をまわった!
④江戸時代のラクダブーム
読書案内
年表
シリーズ案内
前書きなど
はじめに
古典みゅーじあむへ、ようこそ。これからご案内するのは、古典の中に暮らす、動物たちの世界です。
古典文学の中には、たくさんの動物たちが登場します。犬や猫はもちろん、イノシシやウサギ、鳥や魚や虫まで、その種類も実にさまざまです。しかも、ただ登場するだけでなく、物語の主人公になったり、和歌の表現に使われたりすることもあります。今では、野生動物を見かけることは本当に少なくなってしまいましたが、昔の人々にとって、動物はとても身近な存在だったのでしょう。
まず注目したいのは、人間と暮らしを共にしてきた動物たちのお話です。たとえば馬は、奈良時代以前に朝鮮半島からやってきて以来、荷物を運んだり、人を乗せたりするのに大活躍していました。戦いにおいてもなくてはならない存在で、武士たちは馬をよき相棒としてかわいがっていました(第1章④・第6章②)。また犬も、縄文時代から、狩りのお伴として人間と一緒に暮らしてきました。縄文人は、今の私たちと同じように犬をかわいがり、死んだあとはお墓を作って弔っていたことも分かっています。第11章では、ある武将に仕えた犬がきっかけとなって起こる、壮大な物語を紹介しています。猫もまた、平安時代から長らく人間と共に暮らしてきた動物ですが、どうやらこちらは、ただかわいいだけではなかったようです(第12章③)。
人に恩返しをしたり、反対に人をだましたりする動物も、古典の中にはよく登場します。恩返しといえば「ツルの恩返し」が有名ですが、カニやスズメの恩返しの話もあります(第2章②、第7章④)。人をだます動物の代表であるキツネとタヌキは、もちろん悪さをして人間を困らせるのですが(第7章③、第8章②)、中には、人間と恋をして夫婦になったキツネもいました(第2章①)。
現代の私たちにはなじみがあるものの、昔の人にとっては珍しかった動物もいます。そのひとつが「トラ」です。朝鮮半島でトラに出くわし、命からがら逃げた人々の話からは、その驚き・恐怖がよく伝わってきます(第7章①)。また、第12章④では、初めてみるラクダに大熱狂する、江戸の人々の様子が描かれています。
古典文学に登場するのは、実在の動物ばかりではありません。人間は、その豊かな想像力によって、たくさんの「伝説上の動物」を作り上げてきました。代表的なのは、「竜」です。竜は、中国の書物や絵画を通じて日本に伝わった、伝説上の動物です。巨大なヘビのような姿で四本足があり、角とヒゲを持つ姿で描かれます。雨を降らす神様として知られ、竜神様とも呼ばれました。そんな竜にまつわる話は、第3章②、第5章①④で取り上げています。
動物が主人公となって活躍する話も、たくさんあります。第9章①で取り上げる話では、奥さんにおいしいものを食べさせるために大冒険をする、白ネズミの「弥兵衛さん」が主人公です。また第10章で取り上げる『伊曽保物語』では、収録されるお話のほとんどが、キツネやアリなどの動物を主人公としています。ぜひ、動物たちの会話に、耳を傾けてみてください。
上記内容は本書刊行時のものです。