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読んで、感じて! 古典みゅーじあむ 第3巻 どうぶつ 根来 麻子(編著) - 文学通信
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読んで、感じて! 古典みゅーじあむ 第3巻 どうぶつ (ヨンデカンジテ コテンミュージアム ダイサンカン ドウブツ) 完結

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発行:文学通信
四六判
136ページ
並製
価格 1,500円+税
ISBN
978-4-86766-063-8   COPY
ISBN 13
9784867660638   COPY
ISBN 10h
4-86766-063-9   COPY
ISBN 10
4867660639   COPY
出版者記号
86766   COPY
Cコード
C0095  
0:一般 0:単行本 95:日本文学、評論、随筆、その他
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2024年12月6日
書店発売日
登録日
2024年11月10日
最終更新日
2024年12月13日
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紹介

ようこそ、古典みゅーじあむへ!
古典文学を、もっと身近に、もっと気軽に楽しんでほしい。
そんな想いから、生まれた5冊シリーズ「古典みゅーじあむ」。
古典のエピソードを1冊全12章、48話で紹介していきます。

本書は第3巻「どうぶつ編」。

トラとサメの戦い。犬と結婚した姫。人魚はおいしい!? 今も昔もどうぶつ大好き!
古典文学の中には、たくさんの動物たちが登場します。犬や猫はもちろん、イノシシやウサギ、鳥や魚や虫まで。実在の動物ばかりではありません。豊かな想像力によって、たくさんの「伝説上の動物」を作り上げてきました。
タイムスリップしてそんな世界をのぞいてみます!

万葉集、日本霊異記、竹取物語、源氏物語、今昔物語集、平家物語、宇治拾遺物語、古今著聞集、御伽草子、伊曽保物語、南総里見八犬伝、甲子夜話などからピックアップして紹介します。

推薦・渡部泰明(国文学研究資料館館長)
「探してごらん。古典は、いつも、君のそばにあるよ。」

[特色]
「くらし編」「たべもの編」「どうぶつ編」「ことば編」「もののけ編」の五冊シリーズ
①古典のエピソードを全12章(各4話)で紹介。どこから読んでもOK!
②学校で習う作品から、少しマイナーな作品まで、幅広い古典作品を収録!
③各エピソードにある 「声に出して読んでみよう」で原文の音読に挑戦!
④収録作品の読書案内&年表つき!
⑤全文ふりがなつき(小学校高学年~)
対象は小学校高学年~大人まで。1話2分で朝読にぴったり!

目次

はじめに

この本の表記のルール

第1章 万葉集

奈良時代~平安時代初期に成立した和歌集です。編者は大伴家持といわれ、約四五〇〇首もの歌が収められています。

人はカエルにさまざまな思いを託してきた
①カエルの鳴き声を聞くと……。

見たことがなかったトラのうわさ
②トラに乗って、空を飛ぶ?

夜明けを告げ、別れの時間を告げる
③ニワトリの鳴き声の意味は、人それぞれ?

戦いのためから、生活のために
④馬は大事な乗り物

第2章 日本霊異記

平安時代初期に作られた仏教説話集です。因果応報(いい行いにはいい結果が、悪い行いには悪い結果が返ってくること)をテーマにした話が収められています。

最後まで人間の男を純粋に慕った──。
①キツネのラブストーリー

ヘビをはさみで退治!
②恩返しにきたカニ

かっこいいけど怖い!
③ワシにさらわれた子ども

もったいないと思ってお金を隠したら?
④毒ヘビに生まれかわったお坊さん

第3章 竹取物語

平安時代初期の物語文学です。作者未詳。竹から生まれた美しい「かぐや姫」が主人公のファンタジー作品です。

中国の貿易商が持ってきた
①焼けない火ねずみの毛皮

水や雨を支配する神さま
②竜の首から宝石を取ろうとしたら

宝物をつかんだはずが……。
③ツバメの子安貝?

かぐや姫をだまそうとした人たち
④他の宝物は……?

第4章 源氏物語

平安時代中期に作られた長編物語です。作者は紫式部。光源氏という架空の貴族を主人公とする物語で、主人公とさまざまな女性との恋愛模様が描かれています。

極楽浄土に住むという……。
①人の顔をもつ不思議な鳥

身近な鳥ではなかったフクロウ
②不吉な鳥?

蛍と恋の深いつながり
③ロマンチックな光

着物にこめられた思い
④空蝉──セミのぬけがら

第5章 今昔物語集

平安時代末期に成立したと考えられる仏教説話集です。編者未詳。インド・中国・日本を舞台にした物語が多数収められています。

想像上の生き物たち
①竜に仕返しされた天狗

仏教によって救われる
②お経を聞くサルのその後

インドで起こったお話
③心やさしいウサギ

大きな羽で風を起こし海をからっぽにできる
④竜を食べる巨大な鳥

第6章 平家物語

平氏と源氏との戦いを中心に、平氏一門の栄枯盛衰を描いた軍記物語です。成立は鎌倉時代。作者未詳。琵琶法師の語りによって伝えられたものといわれています。

サルとタヌキとヘビとトラが合体!?
①人々を恐れさせる怪物の正体

仲間のためのうそ?
②頼朝の「いけずき」という名馬

ニワトリどうしを戦わせる「鶏あわせ」
③ニワトリで占う戦いの行方

勝負の行方をイルカで占う?
④イルカの大群がやってきた

第7章 宇治拾遺物語

鎌倉時代前期に作られた説話集です。編者未詳。仏教説話をはじめ、笑い話や不思議な話などが幅広く収録されています。

最強の生き物はどっちだ?
①トラとサメとの戦い

奈良時代に活躍した実在の人物
②魚に育てられた子ども

お寺に現れる仏さまの正体は……。
③人間をだますタヌキ

からっぽのひょうたんからお米が!
④スズメからのプレゼント

第8章 古今著聞集

貴族や庶民のエピソードを集めた説話集です。成立は鎌倉時代中期。編者は橘成季。有名な人物の逸話から不思議な出来事まで、幅広く収録されています。

顔が人間で、口がサル……?
①マーメイドは美しい?おいしい?

不思議なおじいさんの正体は……。
②古い家にすむキツネ

どうやって捕ったのかな?
③魚を捕るサル

漁師の網にかかっていたのは……。
④不思議な海の中のネズミ

第9章 御伽草子

室町時代~江戸時代初期にかけて作られた、絵入りの物語類を指します。分かりやすいストーリーで、その多くは、今に伝わる昔話の原話となっています。

雁とともに東国へ?
①飛んでいった白ネズミ

大ヘビの一族が感謝!
②巨大なムカデ退治

おじいさんになったあと……。
③浦島太郎はある動物に生まれかわった!

不思議な生き物との出会い
④馬と人とが合体!?

第10章 伊曽保物語

ヨーロッパで親しまれている『イソップ物語』を、日本語に翻訳したものです。成立は室町時代~江戸時代初期。訳者未詳。物語の多くは、動物を主人公としています。

やられたらやり返す!?
①キツネとツル

毎日こつこつがんばる
②働きもののアリ

動物の特徴から、それぞれの由来をお話する
③コウモリとツバメの秘密

たとえ話が予言になる!?
④ネズミとカエルのたとえ話

第11章 南総里見八犬伝

室町時代を舞台にした伝奇(ファンタジー)小説です。成立は江戸時代後期。作者は曲亭馬琴。不思議な縁に導かれた八人が、お家再興のために奮闘する物語です。

不思議な物語のはじまり
①犬と結婚したお姫さま

どんな登場人物がいるのかな?
②犬のおなかから玉が出てきた?

八人の犬士、運命の出会い
③同じ玉とあざを持つ犬士たち

みんな名前に「犬」がつく?
④次々と集まる同士たち!

第12章 甲子夜話

肥前の国(現在の佐賀県・長崎県)平戸藩主であった松浦静山の記した随筆集です。成立は江戸時代後期。政治的なことから世間のうわさ話まで、いろいろな話題が取り上げられています。

江戸時代から見たといううわさは絶えない
①河童の目撃談

ヘビがタコ?カエルが魚?
②変身する動物

てぬぐいをかぶり人間のように……。
③踊る猫

オランダからやってきて全国各地をまわった!
④江戸時代のラクダブーム

読書案内
年表
シリーズ案内

前書きなど

はじめに



古典みゅーじあむへ、ようこそ。これからご案内するのは、古典の中に暮らす、動物たちの世界です。

古典文学の中には、たくさんの動物たちが登場します。犬や猫はもちろん、イノシシやウサギ、鳥や魚や虫まで、その種類も実にさまざまです。しかも、ただ登場するだけでなく、物語の主人公になったり、和歌の表現に使われたりすることもあります。今では、野生動物を見かけることは本当に少なくなってしまいましたが、昔の人々にとって、動物はとても身近な存在だったのでしょう。

まず注目したいのは、人間と暮らしを共にしてきた動物たちのお話です。たとえば馬は、奈良時代以前に朝鮮半島からやってきて以来、荷物を運んだり、人を乗せたりするのに大活躍していました。戦いにおいてもなくてはならない存在で、武士たちは馬をよき相棒としてかわいがっていました(第1章④・第6章②)。また犬も、縄文時代から、狩りのお伴として人間と一緒に暮らしてきました。縄文人は、今の私たちと同じように犬をかわいがり、死んだあとはお墓を作って弔っていたことも分かっています。第11章では、ある武将に仕えた犬がきっかけとなって起こる、壮大な物語を紹介しています。猫もまた、平安時代から長らく人間と共に暮らしてきた動物ですが、どうやらこちらは、ただかわいいだけではなかったようです(第12章③)。

人に恩返しをしたり、反対に人をだましたりする動物も、古典の中にはよく登場します。恩返しといえば「ツルの恩返し」が有名ですが、カニやスズメの恩返しの話もあります(第2章②、第7章④)。人をだます動物の代表であるキツネとタヌキは、もちろん悪さをして人間を困らせるのですが(第7章③、第8章②)、中には、人間と恋をして夫婦になったキツネもいました(第2章①)。

現代の私たちにはなじみがあるものの、昔の人にとっては珍しかった動物もいます。そのひとつが「トラ」です。朝鮮半島でトラに出くわし、命からがら逃げた人々の話からは、その驚き・恐怖がよく伝わってきます(第7章①)。また、第12章④では、初めてみるラクダに大熱狂する、江戸の人々の様子が描かれています。

古典文学に登場するのは、実在の動物ばかりではありません。人間は、その豊かな想像力によって、たくさんの「伝説上の動物」を作り上げてきました。代表的なのは、「竜」です。竜は、中国の書物や絵画を通じて日本に伝わった、伝説上の動物です。巨大なヘビのような姿で四本足があり、角とヒゲを持つ姿で描かれます。雨を降らす神様として知られ、竜神様とも呼ばれました。そんな竜にまつわる話は、第3章②、第5章①④で取り上げています。

動物が主人公となって活躍する話も、たくさんあります。第9章①で取り上げる話では、奥さんにおいしいものを食べさせるために大冒険をする、白ネズミの「弥兵衛さん」が主人公です。また第10章で取り上げる『伊曽保物語』では、収録されるお話のほとんどが、キツネやアリなどの動物を主人公としています。ぜひ、動物たちの会話に、耳を傾けてみてください。

著者プロフィール

根来 麻子  (ネゴロ アサコ)  (編著

和歌山県生まれ。大阪市立大学(現・大阪公立大学)大学院文学研究科後期博士課程修了。現在は、甲南女子大学文学部准教授。専門分野は、奈良時代の文学、ことば・文字。幼少時から、昔話や民話、落語などの「おもしろいお話」に親しむ。中学・高校時代に古典や歴史の授業を受ける中で、昔の人々のくらしや文化に興味を持ち、大学では国文学を専攻。好きな古典作品は『古事記』。

上記内容は本書刊行時のものです。