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古典の再生 盛田 帝子(編) - 文学通信
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古典の再生 (コテンノサイセイ)

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発行:文学通信
A5判
448ページ
並製
価格 2,800円+税
ISBN
978-4-86766-042-3   COPY
ISBN 13
9784867660423   COPY
ISBN 10h
4-86766-042-6   COPY
ISBN 10
4867660426   COPY
出版者記号
86766   COPY
Cコード
C0095  
0:一般 0:単行本 95:日本文学、評論、随筆、その他
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2024年3月31日
書店発売日
登録日
2024年2月28日
最終更新日
2024年4月6日
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紹介

古典はいかに再生されてきたか、古典をいかに再生すべきか。
「古典」と呼ばれるテキストは、常に再生しつづけている。
その歴史を振り返り、未来に向けて、わたしたちがなすべきことを、日本の古典を学ぶ海外の人々とともに、国際的な視野からも考えようとする。2023年2月の国際シンポジウム「古典の再生」から生まれた議論をベースに作った論文集。
未来につなぐために、多様な観点から論じる、総勢23名で考える「古典の再生」の現在地。
全体を、Ⅰ 再生する古典、Ⅱ イメージとパフォーマンス、Ⅲ 源氏物語再生史、Ⅳ 江戸文学のなかの古典、Ⅴ WEBでの古典再生、の5部に分け、過去と未来を自在に行き来しながら論じる。

執筆は、盛田帝子/エドアルド・ジェルリーニ/ロバート・ヒューイ/アンダソヴァ・マラル/荒木 浩/楊 暁捷/佐々木孝浩/ジョナサン・ズウィッカー/佐藤 悟/山田和人/田渕句美子/松本 大/兵藤裕己/中嶋 隆/山本嘉孝/ユディット・アロカイ/飯倉洋一/合山林太郎/有澤知世/永崎研宣/幾浦裕之/藤原静香/加藤弓枝。

「『古典の再生』は、古典のもつポテンシャルが未来を創造する可能性に満ちていることを感じさせてくれる。」(盛田帝子)

目次

はじめに
[盛田帝子]
1 古典はいかに再生されてきたか、古典をいかに再生すべきか/2 本書の構成


Ⅰ 再生する古典

1 古典×再生=テクスト遺産 過去文化の復興を理解するための新パラダイム
[エドアルド・ジェルリーニ]

1 古典こそは再生せねばならぬ/2 遺産+テクスト/3 複製≠再生/4 社会におけるテクスト遺産の役割/5 日本古典文学における遺産言説の一例/おわりに

2 十八―十九世紀における王朝文学空間の再興
[盛田帝子]

はじめに/1 寛政度内裏の復古的造営と裏松固禅/2 寛政度内裏における復元と再創造 一─清涼殿障子絵作成をめぐって/3 寛政度内裏における復元と再創造 二─光格天皇と『新内裏御障子和歌集』の詠進者/4 御常御殿の御小座敷という空間─歌道伝受、歌会、管弦の会/5 御常御殿の御小座敷という空間─光格天皇のお好みと円山応挙/おわりに

3 琉球における日本古典文化の受容
[ロバート・ヒューイ]

はじめに/1 「崇元寺下馬碑」─最初の一歩/2 文字を移入、文化も移入/3 琉球語辞典『混効験集』/4 琉球人が書いた「文語」

4翻訳にみる古典の再生―『古事記』と『日本書紀』の翻訳を中心に
[アンダソヴァ マラル]

はじめに/1 十九世紀後半における『古事記』および『日本書紀』の翻訳/2 二十世紀後半における『古事記』の翻訳/3 二十一世紀における『古事記』の翻訳/おわりに

[COLUMN]
グローカルな「古典の再生」─東西古今の『源氏物語』続篇をめぐって
[荒木 浩]

はじめに─「古典の再生」シンポジウム参加のことなど/1 ユルスナールの『源氏物語』愛とその続篇創作へ/2 ユルスナール「源氏の君の最後の恋」の内容とその違和について/3 中世日本の『源氏物語』続篇とユルスナールの相反的相似形/4 随行する近臣と女たちの形象─東西の相克/5 花散里の「非在」という主題/6 「お館」六条院という場と〈非在〉/7 世界文学『源氏物語』続篇のグローカル─おわりに代えて

Ⅱ イメージとパフォーマンス

5 絵巻と『徒然草』絵注釈の間―デジタルアプローチの試みをかねて
[楊 暁捷]

1 『徒然草』絵注釈概観/2 絵巻という古典/3 表現方法とテーマ/4 デジタル表現への模索

6 人麿画像の讃の歌
[佐々木孝浩]

はじめに/1 人麿影供の歴史/2 文献にみる人麿画像/3 中世期までの人麿画像の展開/4 中世期までの讃の歌/5 人麿影と讃の歌の近世的展開/6 人麿影の近世的展開/おわりに

7 霊媒〈メディウム〉としての古典―初期テレビと一九五六年の幽霊
[ジョナサン・ズウィッカー]

1 幽霊にも歴史がある/2 歴史と偶然─一九五六年七月の或る木曜日のこと/3 美人とコキブリ男/4 失われたテレビドラマを求めて/5 霊媒師としての脚色家─山下与志一の俤/6 山下与志一のよく見る夢/7 方法としての幽霊

8 江戸期における十二単の変遷―『筐底秘記』を中心に現代の装束に至る
[佐藤 悟]

はじめに/1 江戸時代以前の女房装束/2 江戸時代の女房装束(十二単)/3 天保の御再興

[COLUMN]
芸能としての古典再生―竹田からくりにおけるイメージとパフォーマンス
[山田和人]

1 天神像とからくり/2 太子像とからくり/3 人麿像とからくり

Ⅲ 源氏物語再生史

9 『阿仏の文』から『源氏物語』へ
[田渕句美子]

1 『阿仏の文』・阿仏尼とその娘について/2 『紫式部日記』『源氏物語』と『阿仏の文』の共通性/3 『阿仏の文』から『源氏物語』へ/4 『阿仏の文』の魅力

10 『源氏物語』享受史における詞の表象─色紙形の事例を中心に
[松本 大]

1 問題の所在/2 和歌色紙と物語色紙/3 和歌と地の文/4 地の文への重視/まとめ

11 樋口一葉と『源氏物語』―方法としての和歌
[兵藤裕己]

はじめに/1 『源氏物語』との出会い/2 西鶴の影響/3 『たけくらべ』の中の『源氏物語』/4 「何紫の源氏名計に残れど……」/5 吉原界隈から本郷丸山の銘酒屋街へ/6 一葉の小説文体と和歌/7 「方法学としての和歌」/8 多声化する文体

[COLUMN]
十七世紀の『源氏物語』―版本メディアと古典
[中嶋 隆]

はじめに/1 出版メディアと『源氏物語』/2 教養としての『源氏物語』/3 『源氏物語』への憧憬/4 芭蕉の『源氏物語』受容

Ⅳ 江戸文学のなかの古典

12 柴野栗山の復古論―江戸幕府の儒臣と朝廷の文物
[山本嘉孝]

はじめに/1 柴野栗山と朝廷/2 復古的な内裏造営と大政委任論/3 賢聖障子画の復元における徳川家の役割/おわりに

13 紀行文の中の古典─江戸時代女性旅日記を例に
[ユディット・アロカイ]

はじめに/1 芳春院『東路記』(一六〇〇)/2 井上通『東海紀行』(一六八一)/3 鈴木武女『庚子道の記』(一七二〇)/4 中村いと『伊勢詣の日記』(一八二五)/まとめ

14 上田秋成における〈古典〉語り
[飯倉洋一]

はじめに/1 秋成の『万葉集』関係著述/2 『古葉剰言』・『楢の杣』・『金砂』/3 「歌のほまれ」─『春雨物語』の中の〈古典〉語り/おわりに

[COLUMN]
訓読の中の〝国際〟─教育との関わりをめぐって
[合山林太郎]

はじめに/1 中国語vs日本語という議論の枠組み/2 訓読の具体相─文構造の把握/3 訓読の歴史的変遷から見えるもの/4 今日の訓読批判をどう考えるか/おわりに

[COLUMN]
江戸戯作と古典再生─『万載集著微来歴』を中心に
[有澤知世]

はじめに/1 和歌の美談を茶化す─『万載集著微来歴』①/2 実ハ全て芝居だった源平合戦─『万載集著微来歴』②/3 狂歌界のゴシップ─『万載集著微来歴』③/むすびにかえて─戯作者と考証随筆

Ⅴ W‌EBでの古典再生

15 古典本文をWEBに載せる―TEIガイドラインに準拠したテキストデータ構築
[永崎研宣・幾浦裕之・藤原静香]

はじめに/1 趣旨説明/2 TEI(Text Encoding Initiative)とは何か/3 実践例紹介─『石清水社歌合』を記述/4 実践例紹介─『十番虫歌合絵巻』を記述する/5 視覚化の例/6 今後の課題と展望/おわりに

[COLUMN]
日本古典文学資料のテキストデータ構築をめぐる課題と展望─Lies, damned lies, and statistics?
[加藤弓枝]

はじめに/1 日本文学資料に関連するデジタル技術の整備/2 デジタル時代の日本文学研究/3 日本古典文学のテキストデータ構築の利点と課題/おわりに

はじめに(英訳)
[盛田帝子]

あとがき
執筆者一覧

著者プロフィール

盛田 帝子  (モリタ テイコ)  (

九州大学大学院博士後期課程修了。大手前大学准教授を経て、現在、京都産業大学教授(日本近世文学、和歌文学)。博士(文学)。
[著書]
『江戸の王朝文化復興―ホノルル美術館所蔵リチャード・レイン文庫『十番虫合絵巻』を読む』(共編著、文学通信、2024年)、『天皇・親王の歌』(笠間書院、2019年)、『文化史のなかの光格天皇―朝儀復興を支えた文芸ネットワーク』(共編著、勉誠出版、2018年)、『近世雅文壇の研究―光格天皇と賀茂季鷹を中心に』(汲古書院、2013年)など。

上記内容は本書刊行時のものです。