版元ドットコム

探せる、使える、本の情報

文芸 新書 社会一般 資格・試験 ビジネス スポーツ・健康 趣味・実用 ゲーム 芸能・タレント テレビ・映画化 芸術 哲学・宗教 歴史・地理 社会科学 教育 自然科学 医学 工業・工学 コンピュータ 語学・辞事典 学参 児童図書 ヤングアダルト 全集 文庫 コミック文庫 コミックス(欠番扱) コミックス(雑誌扱) コミックス(書籍) コミックス(廉価版) ムック 雑誌 増刊 別冊
研究者、魚醤と出会う。 白石 哲也(編) - 文学通信
.
【利用可】

書店員向け情報 HELP

書店注文情報

注文電話番号:
注文FAX番号:
注文メール:
注文サイト:

在庫ステータス

在庫あり

取引情報

取引取次:
八木     ト・日・他     書店
直接取引:あり
返品の考え方: いつでも受け付けます。取次経由は、八木書店(文学通信)岡田了解でお戻しください。

出版社への相談

店頭での販促・拡材・イベントのご相談がありましたらお気軽にご連絡ください。

研究者、魚醤と出会う。 (ケンキュウシャギョショウトデアウ) 山形の離島・飛島塩辛を追って (ヤマガタノリトウトビシマシオカラヲオッテ)

このエントリーをはてなブックマークに追加
発行:文学通信
A5判
224ページ
並製
価格 1,900円+税
ISBN
978-4-86766-037-9   COPY
ISBN 13
9784867660379   COPY
ISBN 10h
4-86766-037-X   COPY
ISBN 10
486766037X   COPY
出版者記号
86766   COPY
Cコード
C0095  
0:一般 0:単行本 95:日本文学、評論、随筆、その他
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2024年4月30日
書店発売日
登録日
2024年4月4日
最終更新日
2024年5月11日
このエントリーをはてなブックマークに追加

紹介

僕たちは山形の離島、飛島に消えゆく魚醤(ぎょしょう)があると知り、調査へ向かった――。

「魚醤」という調味料をご存じだろうか。
秋田のハタハタで作る「しょっつる」や石川の「いしる」や「いしり」、香川の「いかなご醤油」は三大魚醤と知られているが、実はここ飛島でも古くから魚醤が作られている。
しかしその「飛島魚醤」は、消滅の危機に瀕している文化である。本書はその面白さを正しく追及した学術ルポだ。

調査過程を追いかけながら、様々なことがわかるように仕掛けた。島の皆さんへの取材を写真付きで掲載し、飛島魚醤の成分分析、飛島や酒田の漁業の状況など様々な角度から調べ、魚醤を使った料理も考えた。「飛島魚醤」を取り巻く人や文化、そして生物化学的視点からの記録といえるが、本書の深淵は実は別のところにある。それは何だったのだろうか。

伝統とは、文化とは一体なにか?
消え去ろうとしている「イカの塩辛」と人との関係は、なにを問いかけるのか。

気候変動が与える生活への影響や、高齢化・過疎化など、いま飛島が直面している諸問題は、より広い規模で顕在化している問題と地続きにあり、私たちにとって他人事ではない。

執筆は、白石哲也、松本 剛、奥野貴士、高木牧子、五十嵐悠、渡部陽子、高橋恵美子。

小倉ヒラク[発酵デザイナー]推薦!「海と人が溶け合う、人類学のうまみの一滴」

目次

はじめに─考古学者、魚醤と出会う(白石哲也)

魚醤とは何か?/日本と東アジアの魚醤の起源/考古学者、魚醤と出会う/どうして飛島へ?/魚醤という文化

飛島の地図

調査スケジュール

●第1章 はじめて飛島に行く─失われていく魚醤(白石哲也)

ハワイよりも遠い「飛島」/漁師文化の息づく島/イカの塩辛は「魚醤油」だった?/はじめて島へ行く/物々交換のために/島全体で魚醤作り

●第2章 失われるものを記録・保存したい(白石哲也)

魚醤研究の二つの課題/発酵人類学もこなす実践者/生物物理学者でフィールドワーカー/飛島魚醤を保存する!

コラム① 発酵、魚醤の科学(奥野貴士)

●第3章 飛鳥行き研究チーム発足(白石哲也・松本剛・奥野貴士・高木牧子・五十嵐悠)

研究チームの結成(白石哲也)

よりよい未来を模索するために─人類学・松本剛
[四つの下位領域からなる人類学/自己を見つめ直し続ける人類学/目指すべきは他者理解ではなく、ともに未来を創ること]

細胞膜と西洋ナシそして魚醤─生物物理学・奥野貴士
[細胞膜を表現する研究/西洋ナシ畑の環境を表現する研究/細胞膜と西洋ナシの研究の共通点]

魚醤の可能性を世界から探す─山形県水産研究所・高木牧子
[資源利用部の初代研究員/タイへの出張/ハラール適合の魚醤づくり]

研究職から見る地元の海─山形県水産研究所・五十嵐悠
[好奇心を満たすために大学進学/海は人によって印象が異なる存在だ/想定外だった研究職]

調査メモ① 長浜さん(第二次調査:2023年7月18・20日)
「イカの塩辛作らねば、魚醤なんかまずいらないわけだけどもよ」

調査メモ② 渡部さん(第二次調査:2023年7月18~20日)
「実はわたしはあんまり好きじゃないの。息子が好きで、作ってくれって言うから」

調査メモ③ Sさん(第二次調査:2023年7月19日)
今イカは獲れないが、獲れるようになったらまた塩辛をつくるのか?「作んないと思う。船も解体したし。86歳だもんだから」

●第4章 調査で判明! 飛島塩辛の作り方(五十嵐悠・高木牧子)

「つゆ」と「ツユ」と「魚醤油」/聞き取り後に食い違う製法/山形県庁で引き継がれた資料/①製造の流れ/②基本的な製法/③各家庭の仕込み方/④飛島塩辛のあれこれ

コラム② 飛鳥魚醤を担うモノたち(白石哲也)

調査メモ④ 持ち主が島から去った魚醤樽(第二次調査:2023年7月19日)

●第5章 各家庭の味の違いを調べてみた(奥野貴士)

魚醤の成分を調べてみた/比べることで理解が進む/分析する項目(遊離アミノ酸と塩分)/魚醤を比べてみた

●第6章 イカが消えた海─山形県・日本海北部エリアの漁業(高木牧子)

急速に変わりゆく海/山形県初のブランド施策/「おいしい魚加工支援ラボ」の誕生/そして、魚醤の開発へ/日本海に面する山形の漁業事情/山形県の生産1位のスルメイカ/伝統と結びついた魚たち/獲れなくなってしまった

コラム③ 塩辛と家族の風景(渡部陽子)

取材日記 渡部陽子さんインタビュー

第二次調査の最後に/魚醤を守りたいと思っていない?/世代と、変遷する伝統/魚醤は他の人に見せたくないもの?

●第7章 消えゆく伝統的食文化を前にして思うこと(松本 剛)

ともに考えることから/飛島塩辛の正体/担い手たちの「そっけなさ」の裏に/年貢としてのスルメイカ/姿を消した飛島のシンボル/〝アクターたち〟の動的な関係性の網の目/消えゆく伝統を前に私たちがすべきことはなにか/飛島塩辛の可能性と新たな価値付け

コラム④ 世界の発酵、調味料(松本 剛)

付録 魚醤を使った料理にチャレンジ(Umui 高橋恵美子)

あとがき(白石哲也)

参考文献

執筆者プロフィール

著者プロフィール

白石 哲也  (シロイシ テツヤ)  (

山形大学学士課程基盤教育院准教授。研究分野は考古学。
主要な著書・論文に「宮ノ台式土器成立期の移動・移住―相模湾沿岸地域を対象として」(『法政考古』49、2023年)、「第6章 土器付着炭化物から見る池子遺跡」(共著、『弥生時代 食の多角的研究 池子遺跡を科学する』六一書房、2018年)、「弥生時代における鳥形土製品の役割」(『古代』139、2016年)など。

松本 剛  (マツモト ゴウ)  (

山形大学学術研究院教授(人文社会科学部担当)。今から約1000年前に南米ペルーの北海岸北部で栄えた「ランバイェケ」という先史社会に関する考古学研究。
主要な論文に「第14章 北海岸に花開いた多民族国家 ランバイェケ」(山本睦・松本雄一編『アンデス文明ハンドブック』臨川書店、2022年)、G Matsumoto, G De Los Ríos, J Rivera Prince, M Noguchi, G Villegas Julca, Paisaje ritual de la Gran Plaza en el núcleo ceremonial de Huacas de Sicán. In Paisaje y territorio: prácticas sociales e interacciones regionales en los andes centrales, editado por Luisa Díaz, Oscar Arias Espinoza, y Atsushi Yamamoto, Universidad Nacional Mayor de San Marcos y Universidad de Yamagata, 2021. 松本剛、丸子真祥、ガブリエル・ビジェガス、ガブリエラ・デ・ロス・リオス「パレテアダ土器とはなにか―近年の発掘調査および遺物分析の結果から」(『古代アメリカ』24、2021年)など。

奥野 貴士  (オクノ タカシ)  (

山形大学理学部教授。研究分野は生物物理学。
主要な論⽂に、Inchworm-type PNA-PEG conjugate regulates gene expression based on single nucleotide recognition - PubMed nlm.nih.gov, Prediction of Blood-Brain Barrier Penetration (BBBP) Based on Molecular Descriptors of the Free-Form and In-Blood-Form Datasets - PubMed nlm.nih.gov, https://www.maruzen-publishing.co.jp/item/?book_no=301266.など。

上記内容は本書刊行時のものです。