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東アジア的世界分析の方法 水口 幹記(編) - 文学通信
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東アジア的世界分析の方法 (ヒガシアジアテキセカイブンセキノホウホウ) 〈術数文化〉の可能性 (ジュツスウブンカノカノウセイ)

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発行:文学通信
A5判
528ページ
並製
価格 3,500円+税
ISBN
978-4-86766-029-4   COPY
ISBN 13
9784867660294   COPY
ISBN 10h
4-86766-029-9   COPY
ISBN 10
4867660299   COPY
出版者記号
86766   COPY
Cコード
C0020  
0:一般 0:単行本 20:歴史総記
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2024年2月28日
書店発売日
登録日
2024年1月25日
最終更新日
2024年3月8日
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紹介

古代中国に登場し、時にそれは「数術」とも称され、以降中国において思想的にも政治的にも重要な役割を果たすこととなる学問分野のひとつ「術数」。
本書では、その術数をめぐりさまざまな観点が提示されているなか、幅広い文化的現象を統合する用語として〈術数文化〉というキータームを設定する。
東アジア地域文化の共通性や独自性、そしてそれらの複雑な絡み合いを読み解くタームとして〈術数文化〉を使用することにより、多面的な文化の読み解きが可能になるのではないか。

術数の多側面的・多分野的・多地域的な広がりに関心の重点を置き、ディシプリンの分岐や一国史観・一地域史観の壁を超えて、東アジアの歴史上に現れた術数の姿を捉える、総勢27名による野心的な論文集。

執筆者は、水口拓寿/清水浩子/田中良明/髙橋あやの/鄭淳一/山口えり/山下克明/マティアス・ハイエク/佐々木聡/洲脇武志/佐野誠子/山崎藍/深澤瞳/宇野瑞木/松浦史子/小塩慶/ファム・レ・フイ/名和敏光/三浦雄城/椛島雅弘/小倉聖/王祥偉/游自勇/朴杰淳/押川信久/裴伯釣。

【本書は実に多彩な執筆者陣による実に豊潤な内容となっている。もちろん、本書によって〈術数文化〉がすべてわかるわけではない。〈術数文化〉研究は、ようやくスタートを切ったばかりの「若い」研究である。読者諸氏においては、まずは本書により〈術数文化〉という世界があること、そして、それが非常に魅力的な世界であることを感じていただければ幸いである。】……「序」より

目次

序 『東アジア的世界分析の方法―〈術数文化〉の可能性』の意義[水口幹記]
一 〈術数文化〉の可能性と本書刊行の意義/二 本書内容の紹介

第一部 〈術数文化〉の世界―その成立と展開

1 「術数」概念をめぐる省察[水口拓寿]
はじめに―〈術数文化〉研究のために/一 エミックな「術数」概念とその有効性/二 エミックな概念設定の限界/三 エティックな「術数」概念とその有効性/四 エティックな概念設定の陥穽/おわりに―再び〈術数文化〉研究のために

2 陰陽五行説と数[清水浩子]
はじめに/一 筮竹の数と大衍の数/二 五行と天地の数/三 陰陽五行説と「生数と成数」/おわりに

3 中国の天文学―太陽の運行と蝕への理解を中心に[田中良明]
はじめに/一 蓋天説/二 中国の暦法/三 『春秋』日蝕への認識/四 暦法の日蝕理解/おわりに

4 世宗期の天文暦算学における中国知識の受容[髙橋あやの]
はじめに/一 世宗期の天文学と李純之/二 『諸家暦象集』/三 『天文類鈔』/四 朝鮮王朝の官吏登用試験/五 朝鮮天文学の知識の源泉

5 新羅・渤海の使者往来と日本の暦法受容[鄭淳一]
はじめに/一 古代日本における暦法行用の軌跡/二 羽栗翼と宝亀年間の遣唐使/三 新羅使の来航と五紀暦の移入/四 渤海の天文暦法知識と宣明暦の伝来/おわりに
 
コラム●日本古代の災害認識と「理運」―〈術数文化〉は古代を生きた人々にどのような影響を与えたか[山口えり]
はじめに/一 三つの災因とその受容/二 「理運」とは/三 災因の特定方法の変化/おわりに

6 中世陰陽道と『簠簋内伝金烏玉兎集』―その古態本の検討[山下克明]
はじめに/一 諸本とその概要/二 古態とその整理/結びにかえて―中世仏教の「陰陽道」「暦道」観

コラム●十七世紀の出版文化における「易占」と「易書」[マティアス・ハイエク]
はじめに/一 中世後期の易学と十七世紀の易書出版/二 易占書の場合/三 易学と易占を繋ぐ本/おわりに

7 ベトナムにおける天文五行占書の受容と流布について[佐々木聡]
はじめに/一 中国古代以来の天文五行占書について/二 ベトナムにおける天文五行占の受容/おわりに―越南天文五行占書の特徴とそこから見えてくるもの

8 『漢書』天文志の注釈と後漢末の学術[洲脇武志]
はじめに/一 『漢書』天文志の注釈者/二 宋均について/三 後漢末の学術―特に荊州学について/おわりにかえて

9 中国仏教における呪術の立場―中国仏教雑密簡史[佐野誠子]
はじめに―仏教における呪術/一 呪術の伝来とその展開/二 隋から初唐における呪術の受容と拒絶/おわりに―純密の早期衰退と、西域異僧表象の残留

10 中国文学と〈術数文化〉との関わり―祥瑞類書『稽瑞』と顔之推「稽聖賦」を通して[山崎藍]
はじめに/一 「稽聖賦」と祥瑞類書『稽瑞』との関係/二 「稽聖賦」本文について/おわりに―中国文学と〈術数文化〉との関連

11 治病の言説と信仰と呪術[深澤瞳]
はじめに/一 藤原行成の神秘体験/二 治病に繋がる発想/おわりに

コラム●東アジアの輪廻転生譚と〈シルシ〉―ベトナム漢文説話を中心に[宇野瑞木]
一 中国における「輪廻」観の転回/二 「輪廻」のコントロールとその目的の世俗性―復讐、報恩、恋愛成就など/三 天人相関的「瑞祥」から輪廻転生的〈シルシ〉へ/四 見えない因果の次元を可視化する装置―ベトナムにおける高僧の法力と〈シルシ〉の転生譚/五 まとめ

12 五―六世紀の高句麗壁画墓にみる三足烏について―日出づる処の神鳥[松浦史子]
はじめに/一 漢画像石にみる三足烏―日中の陽鳥と西王母仙境の眷属/二 魏晋南北朝の「三足烏」―漢文化の継承と非漢文化の融合/三 五―六世紀高句麗墓の「東方の日象・三足烏」―日出づる処の神鳥/結びにかえて

13 日本の祥瑞の流れ[小塩慶]
はじめに/一 日本の祥瑞と中国の祥瑞/二 祥瑞思想はどこからきたか/三 祥瑞の最盛期―八世紀の祥瑞/四 祥瑞の「中国化」―九世紀の祥瑞/五 祥瑞の衰退―十世紀以降の祥瑞/おわりに

14 東アジアにおける祥瑞文化と仏教―ベトナム李朝期の事例を中心に[ファム・レ・フイ]
はじめに/一 ベトナムの祥瑞文化の起点としての仏教事業―隋文帝による「仁寿舎利塔事業」/二 祥瑞文化の発信地としての寺院/三 僧侶による祥瑞の判断/四 僧侶のリテラシーと祥瑞文化/おわりに

15 占術理論の伝世文献・中国出土資料を用いた遡及的考察[名和敏光]
はじめに/一 陰陽大会/二 陰陽小会/三 行很、了戻、孤辰/四 孤虚/おわりに

第二部 〈術数文化〉研究の最前線

16 董仲舒の符瑞思想―その特徴と継承[三浦雄城]
はじめに/一 董仲舒の符瑞思想と「誠」/二 「信」と「誠」の符瑞思想/三 「瑞」と符瑞思想/四 儒教浸透の一経路/おわりに

17 中国兵学における五星占の理について[椛島雅弘]
はじめに/一 五星の基本的認識について/二 五星占の種類と軍事との関わり/三 五星占に見える理―太白占・辰星占を中心として/おわりに

18 古代中国占術理論の検証―馬王堆漢墓帛書と銀雀山漢墓竹簡の風占の比較[小倉聖]
はじめに/一 帛書に見える刑徳小遊と占辞/二 銀雀山漢簡に見える八風占と帛書に見える風占との比較/おわりに

19 稀有な「狐鳴占」に関する文献とそれに関連した問題[王祥偉/訳・小倉聖]
一 羽44の「狐鳴占」録文紹介/二 「狐鳴占」及びその文献の発生と伝播

20 敦煌写本「百怪図」補考[游自勇/訳・小倉聖]
一 敦煌本「百怪図」の構成/二 「百怪図」内容蠡測/三 結論/附録、敦煌本「百怪図」録文

21 敦煌写本「百怪図」続綴[游自勇/訳・水口幹記]

22 『高麗史』天文志小考[朴杰淳/訳・押川信久]
一 序言/二 天文志の構成上の問題/三 天文志に反映された史観/四 日食記録の検討/五 結語

23 中代時期の越南儒家の筮法の実行と易理の体験について―阮文理を例として[裴伯釣/訳・小倉聖]
引言/一 越南儒家阮文理(一七九五―一八六八)の筮法実践/二 阮文理の儒家の角度からの易理の体験/結語

第三部 東アジアにおける天文占知識の形成と伝播

天文占文献二十三種解題[田中良明/水口幹記/佐々木聡/髙橋あやの]

はじめに/解題目次/凡例/1『史記』天官書/2『漢書』天文志・五行志/3 若杉家文書『石氏簿讃』/4『宋書』天文志・五行志/5『南斉書』天文志/6「歩天歌」/7『乙巳占』/8『晋書』天文志/9『隋書』天文志/10『天文要録』/11『天地瑞祥志』/12『開元占経』/13『礼緯含文嘉』/14『乾象新書』/15『乾象通鑑』/16『霊台秘苑』/17『観象玩占』/18『天元玉暦祥異賦』/19『天文図象玩占』/20『管窺輯要』/21『家秘要録』『天変地妖記』/22 若杉家文書『雑卦法』/23 皆川家旧蔵資料

執筆者プロフィール

著者プロフィール

水口 幹記  (ミズグチ モトキ)  (

立命館大学文学部日本史研究学域教授。研究分野は日本古代史・東アジア文化史。
主要著書に、『日本古代漢籍受容の史的研究』(汲古書院、2005年)、『古代日本と中国文化─受容と選択』(塙書房、2014年)、『前近代東アジアにおける〈術数文化〉』(編著、勉誠出版、2020年)、『人物叢書 成尋』(吉川弘文館、2023年)などがある。

上記内容は本書刊行時のものです。