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続 金属学プロムナード
セレンディピティの誕生そして迷走
- 初版年月日
- 2024年6月5日
- 書店発売日
- 2024年5月25日
- 登録日
- 2024年4月4日
- 最終更新日
- 2024年5月15日
紹介
『金属学プロムナード』(2004年刊行)の続編。
われわれが先人の築き上げた学問や技術を学び継承していく際、それらが生み出された時代背景、またそれらを生み出した人物の人となりと環境を知ることによって、より深く豊かに理解することができる。
本書は、著者が研究者として歩んだ40年の間に、自然科学分野で興味を抱いた事柄、それを解明した人物などに関して調べたことを第1章から第15章に綴った。また、副題の“セレンディピティ”の語源とそのさまざまな解釈を第16章で紹介。
目次
はしがき
1. 本多光太郎の足跡を辿る―交流のあった人々―
本多光太郎と寺田寅彦
本多光太郎のゲッチンゲン留学
金研の原点―臨時理化学研究所の発足
忘れられた物理学者 曽禰武
2. ワインの真正評価法
Chaptalization(シャプタリゼーション)
ワインの検査法
ワインの製造過程における同位体の分別
核磁気共鳴法―同位体比を求める実験手法として―
SNIF-NMR法
おわりに
3. 形状記憶合金 ニチノールの誕生
ニチノール開発秘話―発明者ビューラーは語る―
形状記憶効果発見後の動き
形状記憶と超弾性のしくみ―原子はどう動くか?
おわりに
4. 材料科学の巨人 アラン コットレル卿の足跡
オーラル ヒストリーから
コットレルの講義
発表論文と著書
5. 不完全さの効用 ―結晶格子欠陥研究小史 ―
結晶格子欠陥
点欠陥
色中心―イオン結晶における点欠陥研究
金属における点欠陥研究
線欠陥―転位の“発明”
転位論のその後の発展―転位の発見
結晶成長とラセン転位
おわりに
人物点描 ヨッフェ フレンケル ショットキー サイツ ノヴィック テイラー オロワン ポランニー
6. 結晶転位論と山口珪次博士
山口珪次博士を有名にした 2論文
刃状転位の概念を表す格子模型図
国際理論物理学会議(1953年9月)―新聞・雑誌の報道から
国際理論物理学会議―結晶転位と塑性に関する講演―
山口珪次博士の足跡
山口珪次博士の講義
雑誌「金属」と山口珪次
おわりに
7. W. L.ブラック― X線結晶学の始祖― ―結晶構造解析,そして結晶塑性,泡模型への貢献―
ブラッグ父子のノーベル賞受賞とその選考過程
ローレンス ブラッグ卿
金属の塑性変形 ローレンス・ブラックの抱いた興味と青二才の目から眺めたキャベンディシュ研究所 1950~1953
8. 隕鉄の冷却速度は百万年に何℃?―“ウィドマンステッテン構造”が語るもの―
メタログラフィー(金属組織学)のはじまりと隕鉄の組織観察 ― 117
隕石と隕鉄
鉄隕石(隕鉄)の組織
ウィドマンステッテン組織の形成過程
鉄隕石の分類と冷却速度
隕石の形成過程による分類
Fe-Ni 2元系の状態図
ウィドマンステッテン組織は凝固過程で形成された ??
改めまして「ウィドマンステッテン構造の定義」
隕石保有大国日本―南極は隕石の宝庫
隕鉄製鉄器と隕鉄製刀
おわりに
9. 発表の技法―パワーポイントの功罪―
私のパワーポイント経験
パワーポイントとは?
パワーポイント批判
プレゼンテーションの達人スティーブ・ジョブズ
おわりに
付録:文字“鐵”のアニメーションスライド作成手順
10. 「材料の破壊」のグリフィス理論再訪
グリフィスの生涯と研究歴
グリフィスの破壊理論
グリフィス理論の金属への適用
金属疲労と破壊
FRS(Fellow of the Royal Society)について
11. 小説の中の金属・小説の中の研究者
肌色の仮面(高木彬光著,光文社)1962年
探偵作家 高木彬光
小説金属(K. A.シュンチンガア著,藤田五郎訳,天然社)1943年―
謎の乗客名簿(福本和也著,ベストブック社)1990年
運命交響曲殺人事件(由良三郎著,文芸春秋社)1987年
その他あれこれ
小説の中の研究者
12. 原爆開発・金属研究所創設・金属学史執筆―非凡なメタラジスト C. S.スミスの軌跡―
英国に生まれアメリカ移住
原爆製造:マンハッタン計画に参加
ロスアラモスにおけるメタラジー
プルトニウム 内部に葛藤を抱えた元素
シカゴ大学金属研究所
学術雑誌:Acta Metallurgicaの発行を主導
金属の歴史に関する研究
「ソルビー100年記念シンポジウム」
美的好奇心が技術を発展させる
スミスに学べと唱えた人たち
13. 鋼の中の炭素の発見― C. S.スミスの論文紹介―
鋼の本質についての初期の概念
フロギストン説による鋼
東洋のテクスチャがヨーロッパの科学を覚醒した
鉄の分析に関するベリマンのエッセイ
研究のフロンティアはフランスへ
炭素の受容
要約
14. 化学革命―それに続く化学の基本概念の形成
ギリシャ人の物質観
錬金術
医化学
技術の遺産
17世紀の化学
ボイルと粒子論哲学
フロギストン説
気体化学の発展
ラヴォアジェと化学革命
ドルトンの原子論
アボガドロの分子仮説
元素記号
カールスルーエ国際化学会議
15. 書くこと読むこと 断想 ―執筆・翻訳・書評―
執筆について
翻訳について
書評について
英語の慣用句
16. セレンディピティの誕生と拡散そして迷走
はじめに
辞書をひもとくと…
童話「セレンディップの 3人の王子」
童話「セレンディップの 3人の王子」の諸外国語への翻訳
日本に来ていた「逃げたらくだ」
“serendipity”の拡散
科学における“serendipity”
再びウォルポールの手紙について
曖昧で矛盾に満ちたウォルポールの手紙
異説セレンディピティの語源いろいろ
おわりに
索引 《事項・人名》
上記内容は本書刊行時のものです。