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さくらばあちゃんのいる街
命とは、生きるとは、カラスと津波で流された老桜の、愛の物語
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2023年10月8日
- 書店発売日
- 2023年10月13日
- 登録日
- 2023年9月1日
- 最終更新日
- 2024年7月26日
書評掲載情報
2023-10-26 | 河北新報 宮城版 |
2023-10-11 | 大崎タイムス |
2023-10-05 | 日刊スポーツ |
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紹介
影が真っ黒だということで気味悪がられ仲間はずれにされているカラスのトビオ。その様子を見つめている桜の老木、さくらばあちゃん。ある日、トビオに話しかける。「あなたには誰よりも強い光が当たっているのよ」毎日さくらばあちゃんから励まされ逞しくなっていったトビオは、生まれ育った街を離れ別の場所で幸せに暮らす。数年後、ばあちゃんに会いたくなり故郷の街に戻ってみると、街は大津波に流され、ばあちゃんの姿も消えていた。嘆き悲しむトビオの耳にさくらばあちゃんからのメッセージが聞こえてくる…。
前書きなど
「そこにいていいよ」
「いまのままのあなたでいいよ」
こんな言葉をかけてもらったり、かけたくなったことはありませんか。
ギャーギャーと鳴きながら跳び回り、我が家のトマトが赤くなる寸前に急転直下食い散らかす、憎きカラス。そこに、黒さゆえにいじめられ、生きづらさを感じているカラスがいるとなると、他人事ではなくなります。そんな迷えるカラスを、大きな愛で包み込むさくらばあちゃんのお話が絵本になりました。
「さくらばあちゃんのいる街」は、2011年3月11日に発生した東日本大震災への慰霊と鎮魂をこめて創作された一人芝居です。
著者の高山広さんは震災後、芝居を通じて被災者の皆さんを励まそうと「劇励」を始め、南三陸SAP(スマイル・アゲイン・プロジェクト)というボランティア団体にも積極的に参加してきました。この絵本は、2013年3月、南三陸SAP第2回総会で初演された同名のお芝居がもとになっています。その後、毎年各地で大切に上演を重ね、さくらばあちゃんからのメッセージを伝え続けています。
お芝居をご覧になった方々から、私たちSAP事務局にもたくさんの感想が届けられました。
「胸の奥にジーンと感じるこの気持ち。これからも大切にして生きていきたいと思います。『命はキセキ』この言葉も私の宝物にさせてください」
「五歳の娘は、高山さんのお芝居がとても気に入っていました。一人で長いセリフを間違えないでよく言えたね。がんばったね! 五歳でも感動して涙でした」
かねてより、各方面から「絵本にしてほしい」という多くの声を頂いてきましたが、十年の
時を経てこのたび待望の出版にこぎつけたとのこと。
絵本という形で、老若男女を問わずさらに多くの皆さまの心に「さくらばあちゃんの」優しいメッセージが届けられますことを願ってやみません。
一羽のカラスが、さくらばあちゃんとの交流から得た「愛」をもとに、東日本大震災という惨禍を乗り越え、未来に向かって飛翔していく姿に、読者の皆さんもきっと
「ここにいていいんだ」という勇気を得られることでしょう。
南三陸スマイルアゲインプロジェクト 事務局長 鈴木悟
版元から一言
鎌倉の小さな幼稚園から発信する一冊の本 宣言
こどもの持つ可能性は永遠であり、無限だ。
その可能性に手を差し伸べ、大海原へと誘うのがおとなである。
しかし、その可能性を小さな箱に閉じ込めて海の底へ沈めてしまうのもおとなだ。
おとなは常にこどもに成長を求める。
こどもに成長を求めるならば、おとなは自らも成長しなくてはならない。
私たちは幼稚園を巣立ってゆくこどもに声をかける。
小学生になる君へ
小学生になって、足し算が苦手だったら、字を書くことが上手な人になってください。
字を書くことが苦手だったら、歌を上手に歌える人になってください。
歌が苦手だったら、誰よりも速く走って運動会でヒーローになってください。
走るのが苦手だったら、虫について詳しい人になってください。
虫が苦手だったら、花を咲かせるのが上手な人になってください。
花が苦手だったら、生き物を育てるのが上手な人になってください。
生き物が苦手だったら、机と椅子を自分で作れる人になってください。
それが苦手だったら、美しい景色を絵に描ける人になってください。
絵が苦手だったら、たくさん給食を食べる人になってください。
それが苦手だったら、クラスでいつも面白いことを言ってみんなを笑わせてください。
それが苦手だったら、本を読んでください。たくさんたくさん読んでください。
そこで私たちは自らに問いかける。
こどもたちにどんな本を読めというのだと。
その答えにたどり着くには、私たちはこどもから多くのことを学ばなくてはならない。
その学びの中から、私たちはこどもを理解し、お互いが成長し、想像力を高めていく。
そして、その先にこどもと力を合わせて作った一冊の本が存在する。
そんな理想を鎌倉の小さな幼稚園から発信するものである。
2023年8月31日
江ノ島ともだち幼稚園 ENOTOMO
上記内容は本書刊行時のものです。