書店員向け情報 HELP
書店注文情報
在庫ステータス
取引情報
合唱指揮者という生き方
私が見た「折々の美景」
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2019年6月15日
- 書店発売日
- 2019年6月10日
- 登録日
- 2019年5月5日
- 最終更新日
- 2019年6月12日
紹介
「Nコンの指揮者」としてテレビでもお馴染み!
わが国の合唱界を背負って日々奮闘する「敬一さん」の半生と、
その音楽の秘密が明かされる初めてのエッセイ!
「これは敬一の「履歴書」だ。
感性と知性の歩み、
その広さ奥深さに
僕は感動した。共感した。
すべての音楽人にお薦めしたい!」
──新実徳英(作曲家)
「清水敬一の広大無辺なる「知」は
私の音楽に影響を与え続けている。
この本はきっと
読む人の生き方さえも
大きく変えてしまうはずだ。」
──信長貴富(作曲家)
多くの作曲家から絶大な信頼を受け
どんな合唱団からもベストな響きを生み出す
コーラスのマジシャン──
合唱指揮者・清水敬一のすべて!
『教育音楽』連載中の人気エッセイ「折々の美景」を核に、
自ら半生を語り下ろした「清水敬一・還暦までの道のり」(構成:坂元勇仁)、
著者が影響を受けたディスクや本の紹介、年譜を加えて構成。
目次
いろいろな機会に出遭った美しい風景
清水敬一・還暦までの道のり(構成:坂元勇仁)
第二の故郷、それは台湾
ピアノレッスンのはじまり、そして帰国
ぼくの処世術──面白い人になる
ピアノの練習は嫌い。でもレッスンは楽しかった
ついに合唱と出会う
ワセダに入る──師・関屋晋先生との出会い
関屋先生とコンクール、そして晋友会合唱団誕生へ
晴れて大学生に──合唱三昧の日々
関屋晋流、扉の開け方
人生を変えた《王孫不帰》
たった1カ月半のサラリーマン生活
かくして合唱指揮者人生が始まる
ぼくの流儀
そして田中瑤子先生……
忘れられない《遊星ひとつ》
いつも楽しげである。それが僕の生き方
過去、現在、そして未来がつながる
折々の美景──音楽をめぐる随想
折々の……
タクシー数
多様性
音楽の記憶
紡がれる時間
女性芸術家
予期せぬ出来事
受け取ったことば
お前が愛する人生を生きよ
青を想うこと
4人の作曲家
再び、青を想うこと
良かったじゃないか
蛮勇の行方
時間からの解放
聴こえない音
創立70年
善玉ダブルスタンダード
「新しい知性」もまた
再会の歓び
旅するシルクロード
自由は彼らのものだ
生きよ
生きられなければ
from time to time
繫がれるバトン
不可能性を克服した先に
「わかりやすさ」に抗って
私がピアノを続けられた理由
遠方へ行かん
目標は長生き
キーツのことばから
母音ごとに引き出される感覚
時の川をめぐるゴンドラ
ジャンルを超えて
ツィメルマン・インタビュー
私が影響を受けた11のディスク
私が影響を受けた11冊の本
清水敬一 年譜
前書きなど
いろいろな機会に出遭った美しい風景
清水敬一
月刊『教育音楽』の前編集長、菅井彩子さんから連載のお話をいただいたのは、5年程前のことでした。私などが「教育」の文字を含む雑誌に書くのはふさわしくないだろう、と断ったのですが、同誌へ文章を寄せる機会が何度もあり、記事のためのインタビューを受けることも重なり、私が関わった講習会などへたびたび取材にいらしていた菅井さんは、「清水さんは音楽を離れた話も面白いので、それも含めて書いて欲しい」と粘り強く説得してくださるのでした。数年にわたって依頼が続き、ついには「何を書いてもいい」(正確ではないですが)とまで言ってくださったので、「合唱指揮者」らしからぬことも含めて、自由に文を書くことが許されるのならば、長く生きてきて目撃した、得難い風景などのことを書いてみようか、とお引き受けすることにしました。
鴨長明の『方丈記』にあったことばを借りて、本当に自由に、毎回方向の定まらない文章を書き連ねました。担当の編集者だった星野隆行さんが、毎回おだてて下さるのに気を良くして、楽しく書き続けることが出来ました。菅井さんがアメリカで生活することが決まって退社なさり、その後の編集長は星野さんになったのですが、現在でも、編集長自ら私の担当を続けて下さっています。どの回も、何かしら音楽に関わる話題なので、「音楽を巡る随想」という副題を使っていましたが、3年間の連載を終え、4年目となった今年(2019年)の4月号からは、「合唱指揮者から見た世界」と副題を変えました。けれども、とりとめのないことを書き綴っていることに変わりはありません。
月刊誌に連載を持っていたら、いつか書籍化されないかなあ、とぼんやり考えていた私に、アルテスパブリッシングの木村元さんとユージンプランニングの坂元勇仁さん(お二人とも古くから存じ上げていました)が「本にしませんか」という夢のようなお話をくださいました。「本にするにあたって『清水敬一がどんな人物か』についての文章があった方がいいけれど、自分で書く時間はないでしょう?」と、もっともなことを言われ、坂元さんから「何回かインタビューして、敬一さんの自分語り、という形にぼくがまとめましょうか」という親切な提案をいただきました。
坂元さんがまとめてくださったものを読むと、実際に自分が語ったり、文章にまとめたり(そこには「こう思われたい」という考えが色濃く出ざるを得ないですから)したのでは出会えない表現に満ちていて、(本書にも書いたことですが)自分からは自分が見えていないのですから、「他者から見えている私」こそが私なのだ、と改めて思いました。同じ話題について私が書いたものと比べると、はっきりします。「自分史」を専門家の手で作ってもらえるなんて、なんという贅沢でしょう!
40年来の知己である写真家の山口敦さんが撮ってくださった写真を装丁に使い、新実徳英さんと信長貴富さんに推薦文をいただけるなんて、身に余る光栄です。
私は今年還暦を迎えましたが、強欲にもまだまだ長生きしたいと思っています。でも区切りの年に、「遺すことば」を本の形にできて、本当に仕合わせに思います。
上記内容は本書刊行時のものです。